Light in June

文学やアニメ、毎日の生活についての日記。

さらば、けいおん!

2009-06-27 00:43:19 | アニメーション
別のネタがあるのですが、『けいおん!』が最終回だったので今日はそっちの方を書きます。

今回がほんとの最終回。番外編です。
すごくよかったです。前回もよかったですけど、今回はひょっとしたらそれ以上によかったです。ぼくの中ではベストエピソードだったかも。

まず始まり方もよかったです(「よかった」しか言ってませんね)。みお、りつ、つむぎたちの日常を台詞抜きで描写、最後に唯と憂の姿を映して、「寒いねえ」と唯に語らせる。で、OP。しびれました。冬の気配というものが画面全体から伝わってきて、無言であることが冬の緊張感をいやがおうにも高めます。唯が沈黙を破ることで、緊張感が一気にほぐれ、続いて「がちで…」と弾けた歌が始まる。引き込まれました。

前半は、唯を除いた部員たちの日常の「秘密」がさりげなく暗示され、彼女たちもそれぞれ抱える事情があるのだということに気が付かせてくれます。特に気になるのはりっちゃんですね。「彼氏」という言葉に敏感で、少し顔を赤らめる。好きな人でもできたか?と思わせといて、後半に突入。

結局、皆たいしたことはない「秘密」なのでしたが(いや秘密ですらなかった)、それぞれに生活があるんですねえ。唯は、わたしを置いて大人になっちゃやだよぉなんて言っていましたが、こうして皆少しずつ自分の時間を過ごしてゆくのかもしれません。

秘密が提示され、それを詳らかにし、そこに危機が到来して、しかしやがて唯のおばかなメールで皆の心を溶かしてゆく、という全体の語り口も見事でしたが、ぼくはなんと言っても前半の、秘密があるらしいぞ、というぼんやりとした提示の仕方にひどく惹かれました。それを支えていたのは風景描写ですよね。冬の雰囲気作りがとにかく巧い。息を白く、といったやや面倒な作業を怠らないのはもちろんとして、雲の色彩や画面全体の淡さによって張り詰めた空気感をよく表現していたと思います。

部員それぞれの日常を描き、最後は唯がかすがいのような役目を果たす、という構成は、まさしく最終回に相応しいものでした。緊密な構成による完結した話、かわいいキャラ、いいものを見せてもらいました。