Light in June

文学やアニメ、毎日の生活についての日記。

ベティ・ブープ

2009-06-04 23:23:23 | アニメーション
実は、字幕つきの「ベティ・ブープ」シリーズは初めてでした。これまではYouTubeで鑑賞していただけだったので、いまいち意味がよくつかめませんでしたが、今度はしっかり内容が頭に入るぞ、と期待していました。

でも、このシリーズはもはや論理を超えてますね。アニメーションの戯れとでも言えばよいでしょうか。色々な遊びが画面に横溢していて、リアリティなる桎梏から完全に自由です。意味などというものに拘るのは、非常に窮屈な見方であるように思いました。意味という重力の魔を笑い殺す「軽さ」の掲揚。こんな遊びに溢れた「ベティ・ブープ」は、愛すべきアニメーションですね。

ぐにゃぐにゃとした動きが特徴だと言われますが、確かにそうで、人間はおろか無機質のモノでさえコンニャクやウナギのように曲がりくねります。またしばしば身体は変形し、ときには一部が体から離れ、踊り、また元の場所におさまります。木々やモノ、細胞にまで、万物に生命が宿り、アニミズム精神が謳歌される画面。これはアニメーションの一つの方向だろうと思います。日本では、それとは別の潮流が主流となり、リアリズム路線が打ち立てられ、リアリズムは『人狼』で頂点に達しました。ところが「ベティ・ブープ」はそれとは違う世界があることを教えてくれます。アニメーションとしての動きのおもしろさ。

去年、「ポニョ」を「ベティ・ブープ」と比較した人がいましたが、その「動き」が注目されたということです。なるべく動かさないようにする、という日本のテレビアニメの伝統の中にあって、「ベティ・ブープ」の想像力豊かな自在な動きが再評価されるといいですね。as well as「ポニョ」。

古本屋を巡る~西荻窪編2~

2009-06-04 00:18:03 | 文学
またまた西荻窪界隈を探訪。
前回見落としていた、ないしは閉まっていたお店を訪ねました。
これで、西荻窪の古書店はほぼ制覇したはずです。
今回は、前回よりも大きな収穫がありました。
それでは、文学愛好家のための古本屋案内↓

・比良木屋(ひらきや)
漫画にしろ文学にしろ、なかなかよい本が置いてあります。
しかし、いかんせん値段が高い。絶版本の価格が、かなり高いんですよね。また百の随筆集は他の古書店でもよく見かけますが、ここのはずば抜けて高かったです(ということだけ覚えていて、肝心の価格は忘れてしまいましたが)。しかし、リファテールの理論書などもあり、けっこう渋い品揃えです。お金には余り困っていない、という人にとっては掘り出し物を入手できてうれしいかもしれません。

・音羽館(おとわかん)
すばらしいお店です。
独断と偏見で西荻窪№1に認定します。
とにかく安い。ちょっと異常なくらいの低価格で売られている本があって、驚きました。しかも、品揃えがいい。たとえばユアグローのハードカバーが100円でした。帯つきの新品同様の状態の本です。ぼくは白水uブックス版のを持っているので買いませんでしたが、もしなければ即買いです。他のお店だったら、1500円は下りませんよ。なぜこんなに安いのか…
クライストの短篇集とか、谷崎潤一郎の犯罪小説集とか、レスコフの長編とか、文庫は軒並み安いですね。あの怪奇小説傑作集が5巻揃いで1000円なのには驚きました。なぜ?また、『ユビュ王』だとかラクー=ラバルト『近代人の模倣』だとかロシア・アヴァンギャルドの理論書だとか、いいものを置いています。色んなものが欲しくなります、このお店にいると。
中央線沿線にお住まいの方は、一度は足を運ばれるといいと思います。
ぼくもまた行きたいな。

・ねこの手書店
隣の荻窪や高田馬場などにも系列店のある古書店。しかし名前は全て異なります。たとえば荻窪のお店は「象のあし」で、高田馬場は「キノコノクニヤ書店」(笑)。
ここはとても幅広いジャンルのラインナップで、どんなお客さんにも対応できそう。まあまあの価格設定で、中にはけっこう安いものもあります。福武文庫のアポリネールの短篇集が250円なのはお得ですね。福武文庫はぜんぶ絶版ですから、どの古書店でも高めのお値段なんですよね。
ぼくは文学とアニメーションに興味があるので、どちらにもいいものがあるというのはうれしいです。

12軒のお店の中に実際に入ってみましたが、前回のを含めて6店ほどが特に印象に残りました。とりわけお薦めは、盛林堂書房と音羽館です。末永くお店を続けてもらいたいですね。