昭和20年代の家には、ネズミ、蚊、ハエ、ノミ、シラミが我が物顔で同居していた時代だった。とりわけシラミは大半が知らない世代であり、姿かたちから観音様とも言っていた。
シラミには、アタマジラミ・ケジラミ・コロモジラミの3種類があって、皮膚から吸血してかゆみや湿疹を起こす昆虫でシラミにまつわる話題も数々ある。
中でも清潔にしていても衣服に寄生するコロモジラミには大勢の人が悩まされたのではないだろうか。ノミと違って動きが鈍いので手で簡単に捕らえられた。
昭和20年2月に3歳で亡くなった弟が、父が肌着を脱ぐと必ず爪でシラミをつぶすために使っていた小さな板切れを持ってきたとか、父が生前に話していた一粒話を思い出す。