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疲労物質=乳酸はもう古い

2018-11-06 10:37:03 | 自然
近年、過労死やメンタルヘルスが問題視される中で、これらをいかに対処するかという機運が高まり、「疲労の科学」が注目を集めいています。

「疲れが取れない」ことを理由に病院を受診しても、検査で原因が判明することはほとんどありません。ここでは「疲れ」のメカニズムにつて紹介します。

「疲れる」ということはヒトが生命活動をしていくうえで必要なサインで、過剰な活動によって疲弊したり病気になるのを防ぐための重要な症状と言えます。この疲労は、カラダとアタマを守るための機構として2種類に大別されます。

一つはカラダの疲労、運動などによる肉体的な疲労である「末梢性疲労」と、もう一つは肉体的な限界に至る前に感じられる疲労の「中枢性疲労」です。

これまで「乳酸」が疲労の原因物質と考えられていましたが、近年の研究によりその考え方は過去のものになりつつあります。血中に放出された乳酸は体内のpHの低下(体液のバランスが酸性に傾く)を生じさせることに加え、乳酸が脳に回り、これが筋肉疲労を脳に知らせているシグナルで、かつ脳の疲労の原因物質であるかのように単純に考えられた時代もありました。

しかし乳酸は疲労を抑制するように働くという、従来と真逆の研究成果が注目を集めています。乳酸は運動により筋肉から血中に放出されますが、筋肉や心臓に取り込まれ、エネルギー源として利用されることが判明しました。

また脳でも乳酸が神経細胞周囲の細胞によって作られますが、疲労の抑制やエネルギー物質として利用されることが分かってきたのです。

この疲労現象は、筋肉に存在するグリコーゲンなどのエネルギー源の枯渇、血液の恒常性の失調や調整機能失調などによって、筋肉が発揮できる力が減り、俊敏性や巧緻性も低下します。

また筋肉痛は、運動中に生じた筋肉の損傷後の炎症に伴う機械的刺激や科学的刺激によって起こります。しかしこの末梢性疲労は炎症の終息と共に回復するのが特徴で、十分な休息と栄養を取ることが末梢性疲労を解消するカギになります。

一方中枢性疲労は精神的な疲れで、「寒い」「痛い」などの感覚に近いものと言えます。疲労の度合いはカラダやアタマを酷使する量と比例せず、心理的な疲れであると言えます。

長時間続く会議など、ストレスや緊張状態が続くことで疲れてしまうように、ストレスの感じ方が中枢性疲労には重要になってきます。この中枢性疲労には、活性酸素などの酸化ストレスや脳内のセロトニンなどが関与することが分かってきましたが、なかなか難しいテーマのようです。

現在のところ末梢性疲労を休息によって回復するぐらいしか手段はないのかもしれません。


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