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幹細胞の老化が寿命を決めるのか

2021-05-24 10:25:45 | 自然
生物の寿命を考えると、ある種の魚や昆虫のようにプログラムされた寿命できっちり死ぬ種もありますが、ヒトは「老化」の過程で死ぬとされています。

このブログでも「老化細胞」を除去することによって寿命が伸びるという説やある種の薬によって老化細胞を除去できるなどを書いてきましたが、ここでは幹細胞の老化が寿命を決めるという説を紹介します。

老化は細胞レベルで起きる不可逆的な「生理現象」で、細胞の機能が徐々に低下し分裂しなくなり、やがて死に至ります。

細胞の機能低下や異常はさまざまな病気を引き起こし、表面上はこれらの病気によって死ぬ場合が多いのですが、大元の原因は免疫細胞の老化による免疫力の低下や、組織の細胞の機能不全によるものです。

ヒトのような多細胞生物も元は1つの細胞(受精卵)から始まります。これが何度も分裂して、細胞の数を増やしていきます。細胞分裂で最も重要なイベントはDNAの複製です。細胞分裂を重ねて細胞の数が増えてくると、それぞれの細胞が異なる役割を持つようになり、これが細胞の「分化」です。

組織や器官が形成されていく過程で、大きく3種類の細胞に分かれます。1つ目は組織や器官を構成する体細胞で、一番数が多いのですが細胞が分裂するたびに老化して、やがて失われて行きます。ヒトの体細胞は約50回分裂すると分裂できなくなり死んでしまいます。

この失われた細胞を供給するのが2つ目の「幹細胞」となります。例えば皮膚の幹細胞は表皮の下の真皮に存在し、新しい皮膚の細胞を供給し続けます。最後の3つ目の細胞が、卵や精子をつくる生殖系の細胞です。

幹細胞と生殖細胞は生涯生き続けますが、ゆっくりと老化します。幹細胞の老化は新しい細胞の供給が悪くなるため、全身の機能に影響が出ます。歳を取るとケガが治りにくくなったり、感染症に罹り易くなったり、腎臓、肝臓などの内臓の機能が低下する一因となっています。

細胞の入れ替えの周期は、組織によって異なり一番短いのは腸管内部の表面の襞にある上皮細胞で、数日で新しくなります。皮膚が4週間、血液が4か月、一番長いのは骨の細胞で4年ですべてが入れ替わります。

入れ替わらない心臓と脳は傷ついたらそれきりですが、他の組織は幹細胞が新しい細胞を作るので、いつも若々しく維持できます。新しい細胞を供給する時、幹細胞は2つに分裂して一つは幹細胞、もうひとつが例えば皮膚の細胞を作ります。

このように幹細胞は基本的にはいつも一定量維持されています。しかし加齢とともに幹細胞も老化し、老化した幹細胞は分裂能力が低下して十分な細胞を供給できなくなります。

このように幹細胞の老化が寿命を決めているという説ですが、なかなか納得性があるような気がしています。


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