ごっとさんのブログ

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「培養肉」の名称をめぐる議論

2018-10-13 10:33:21 | その他
最近「培養肉」という新たな肉が生産されるようになってきたようです。

この名前を巡ってアメリカでは何という名称にするかで議論が展開されています。培養肉とは、牛や鶏、魚から採取されたごくわずかな細胞をベースとして、研究室で培養される動物の組織のことです。

現在のところこうやって培養された肉は、まだソーセージのような食品となるだけのようですが、動物の組織培養技術が比較的安価な肉の世界まで応用できているということは驚きです。培養肉は、動物をする必要がない、厳密な衛生管理が可能、食用動物を肥育するのと比べて地球環境への負担が低いなどの利点があり、従来の食肉に代わるものとして期待されています。

現在のところ、高価であることが培養肉の課題の一つですが、技術の発展によって従来の肉と同程度までに低価格化することができると予測されています。

2013年には、オランダのチームによって世界初の培養肉ビーフバーガーが実現し、ロンドンでデモンストレーションされました。

余談ですがこういった人工肉の話は、もう30年以上前ですが日本で盛んに研究されたことがあります。これは本物の肉を使うのではなく、微生物にタンパク質を作らせ、それを取り出して肉に加工するというものです。

私が勤務していた研究所も精力的にこれに取り組んでいました。この微生物は炭化水素資化性菌といって、石油中に含まれる成分をエサに育ち、多量のタンパク質をため込む性質を持っていました。

このタンパク質を取り出し、食品グループが通常の肉のように加工するという研究でした。私は専門外ですので、食品グループが作成した肉を食べて評価するという、いわゆる官能検査を手伝っていました。

ラーメンの中のチャーシューのように加工したものでしたが、本物と変わりないような美味しいものに仕上がっていた記憶があります。これならば十分肉として商品化できると思っていましたが、思わぬところから問題が出てきました。

これは当然マスコミも取り上げ大きな話題となりましたが、そのときの名前が「石油タンパク」として報道されたのです。安全性などにも全く問題はなかったのですが、「石油」と「食品」はいわば両極端にあり、とても科学的ではない批判にさらされてしまったのです。

これは科学論争ではなく感情論ですので、商品化自体難しいものになってしまい、この段階で幻と消えてしまいました。

余談が長くなってしまいましたが、このように名前というのはその商品の行く末を左右するもののようです。今回の培養肉もそういった点で何と名付けるかで、所轄官庁も異なり難しい問題となっているようです。やはり食品はイメージが重要ですので、こういった論争が起きるのかもしれません。


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