521)甘い果物や蜂蜜はがんを促進する

図:①フルクトース(果糖)は肝臓の中性脂肪の合成を亢進し、高脂血症や動脈硬化を引き起こす。②フルクトースはタンパク質を糖化して、動脈硬化や皮膚の老化を促進する。③フルクトースはインスリン抵抗性を引き起こし、④脂肪合成を亢進して肥満やメタボリック症候群の発症を促進する。⑤インスリン抵抗性は2型糖尿病を引き起こす。⑥フルクトースはペントース・リン酸経路のトランスケトラーゼの活性を高め、核酸合成を亢進する。⑦フルクトースは炎症や活性酸素の産生を高め、酸化ストレスを亢進する。⑧これらの複合的な作用によって、フルクトースはがん細胞の発生や増殖や転移を促進する。⑨フルクトースは強い甘味を有するので、脳内報酬系を刺激し、甘味依存(甘味中毒)の状態から抜け出すのは困難で、甘い食べ物を止めることができない。フルクトースを多く含む甘い果物や蜂蜜の取り過ぎは、がんや循環器疾患のリスクを高める。

521)甘い果物や蜂蜜はがんを促進する

【スイーツは乳がんの発症リスクを高める】
果物や蜂蜜が健康に良いと思っている人は多いようです。がん患者さんの中にも、果物や蜂蜜は多く摂取しても問題ないと思っている人は結構います。
しかし、がんの予防や治療に携わる立場からは、「甘い果物や蜂蜜の摂取を増やすことは推奨できない」と言わざるを得ません。それは、グリセミック指数の高いショ糖(スクロース)とブドウ糖(グルコース)と、肥満とがん細胞の増殖を促進する果糖(フルクトース)が多く含まれるからです。
グリセミック指数の高い食事、特に甘い(砂糖や果糖ブドウ糖液糖などを加えた)食品や飲料が乳がんの発症リスクを高めることが報告されています。以下のような論文があります。

Glycemic index, glycemic load and mammographic breast density: the EPIC Florence longitudinal study.(グリセミック指数とグリセミック負荷とマンモグラフィにおける乳腺密度:EPICフローレンス縦断研究)PLoS One. 2013 Aug 7;8(8):e70943.

EPIC(European Prospective Investigation into Cancer and Nutrition)は「がんと栄養に関する欧州前向き研究」という意味で、国際がん研究機関がコーディネートし、欧州10カ国で被験者を募集した多施設試験です。総計約50万人を対象にした欧州の大規模疫学研究です。
コホート(cohort)というのは、疫学研究では「特定の地域や集団に属する人々」のことです。つまり、この報告は、「がんと栄養に関する欧州前向き研究(EPIC)」で研究対象になった集団のうちのイタリアのフローレンス(イタリア語ではフィレンツェ)に住む集団を解析した疫学研究です。
縦断研究というのは、同一の対象者を一定期間継続的に追跡し、いくつかの時点で測定を行って変化を検討する研究です。
マンモグラフィーによる乳腺密度(mammographic breast density:MBD)は、乳腺組織が女性ホルモンや増殖因子による刺激の蓄積のマーカーとして認識されており、乳がんのリスク因子として知られています。
グリセミック指数やグリセミック負荷の高い食事が、インスリン様成長因子を介する機序で乳がんの発症リスクを高める可能性が指摘されています。
この報告では、EPIC-フローレンスのコホートの女性を対象に、参加の5年後にマンモグラフィー検査を行い、食事や生活習慣に関する詳細な情報や身体測定のデータを得ることによって、糖質摂取量、グリセミック指数、グリセミック負荷と乳腺密度との関連を前向き研究で検討しています。
この研究では、グリセミック負荷および全糖質摂取量と乳腺密度の増強の間に関連を認めています。
以下のような報告もあります。

Consumption of sweet foods and mammographic breast density: a cross-sectional study.(甘い食事の摂取量とマンモグラフィの乳腺密度:一つの横断研究) BMC Public Health. 2014 Jun 26;14:554. doi: 10.1186/1471-2458-14-554.

甘い食品の摂取と乳がん発症リスクの間に正の相関があることが幾つかの研究で報告されています。この報告では、乳がんの発症リスクと強い関連のあるマンモグラフィーでの乳腺密度(mammographic density;MD)と甘い食品の摂取との関連について検討しています。
この研究では、閉経前の776人と閉経後の779人の女性を対象にして、マンモグラフィー検査を行い、甘い食品や飲料の摂取と乳腺密度との関連を検討しています。
横断研究というのは、ある特定の対象に対して、ある一時点において測定して検討を行う研究で、過去にさかのぼったり、将来にわたって調査したりはしない研究法です。
この研究では、乳腺密度をマンモグラフィーとコンピュータを用いた方法で評価し、食事摂取頻度調査票(food-frequency questionnaire)を用いて、砂糖を多く加えた食品や飲料の摂取量や添加した砂糖の量を評価しています。
関連性は多変量一般化線形モデル(Multivariate generalized linear models)を用いて解析し、年齢やボディマス指数などを含めた可能性のある交絡因子を調整して評価しています。
この研究の結論は、「甘い食品や砂糖を添加した飲料の摂取量と乳腺密度の増強は関連する」となっています。
甘い食品や砂糖や果糖ブドウ糖液糖などの糖類を加えた食品や飲料の摂取は、乳がんだけでなく、他のがんでも発症リスクを高める要因になっています。(520話参照)

【フルクトースとグルコース】

それ以上に加水分解されない糖類を単糖(monosaccharide)と言います。複数の単糖が結合すると、結合した単糖の数に応じて、二糖やオリゴ糖や多糖という大きな糖類になります。
生物にとってエネルギー源となる単糖の代表はグルコース(ブドウ糖)フルクトース(果糖)です。ともに6つの炭素から構成され、化学式はC6H12O6で同じですが構造が異なります(異性体という)。蔗糖(スクロース)はグルコースとフルクトースが一個づつ結合した二糖です(下図)。 

図:スクロース(蔗糖)はグルコース(ブドウ糖)とフルクトース(果糖)が結合した2糖で、澱粉はブドウ糖が多数結合している。これらの糖質は消化管の消化酵素でそれぞれの単糖に分解されて体内に吸収される。

食事から摂取する糖質の代表は、穀物やイモ類などに含まれる澱粉(デンプン)ですが、澱粉はグルコースが多数重合した多糖で、植物が光合成で作り出します。
動物は食品中に含まれる澱粉を消化管内の消化酵素で最終的にグルコースまで分解して小腸から吸収し、細胞内に取込まれたグルコースは解糖系とTCA回路と電子伝達系によってエネルギー(ATP)を作って、生命活動に使用することになります。

一方フルクトース (fructose)は、果糖(fruit sugar)とも呼ばれるように果物に多く含まれます。全ての糖の中で最も水に溶けやすく、甘みは砂糖の1.5倍以上、グルコースの2倍以上あり、しかもコストが低いので、加工食品や飲料の甘味剤として多く使われています。

砂糖や異性化液糖がデンプンより健康に悪い理由の一つは、砂糖や異性化液糖はグルコースの吸収が早いので、インスリンの分泌刺激が強いからです。
砂糖と異性化液糖の半分はフルクトースであるため、グルコース単独のデンプンより健康に良さそうに思われるかもしれません。実際は逆で、砂糖と異性化液糖はフルクトースを半分含むので健康に悪いということになっています。
フルクトース(果糖)は人体には必要のない、むしろ毒作用を持つ栄養素です。非常に甘いのと、人工的に安価に作れるという理由で、消費が増えていますが、これががんや循環器疾患を増やす要因になっています。
果物になぜフルクトース(果糖)が多く含まれるのかは、動物に対する植物の生き残り戦略の一つかもしれないという考察もできます。つまり、動物にとってはフルクトースは植物毒の一種かもしれません。取り過ぎは有害だという認識が必要です(後述)。

【グルコースを異性化すると甘いフルクトースに変わる】
穀物の糖質は主にデンプン(澱粉)です。デンプンはグルコース(ブドウ糖)が多数結合した構造をしており、デンプンを酸や酵素で分解するとグルコースが得られます。
グルコースはインスリンの分泌を促進し、あまり甘くありません。
一方、グルコースの異性体であるフルクトースは非常に甘く、しかもインスリンの分泌を刺激しません。インスリンのグリセミック指数は19でグルコースの5分の1です。
異性体というのは分子式は同じですが、原子の結合状態や立体配置が異なるために異なった性質を示す化合物です。グルコースとフルクトースの分子式はC6H12O6ですが、構造が少し違います(下図)。

図:グルコースとフルクトースは異性体の関係にあり、ともに分子式はC6H12O6であるが、立体構造が異なる。グルコースはインスリン分泌を刺激し、甘くない。フルクトースはインスリン分泌を刺激せず、非常に甘い。

砂糖の主成分であるスクロース(蔗糖)はグルコースとフルクトースが結合した二糖類です。砂糖が甘いのはフルクトースが含まれるからです。
フルクトースは天然に存在する糖の中で最も甘く、グルコースの2.3倍、蔗糖の1.7倍の甘さがあり、特に冷たい条件で甘味が増すため、清涼飲料水やアイスクリームの甘味を増すために添加されています。
グルコースをイソメラーゼという酵素やアルカリで処理するとフルクトースに変換(異性化)できます。デンプンを分解して得たグルコースの一部をフルクトースに異性化したものが異性化液糖と言われるものです。
グルコースの一部をフルクトースに変えることによって甘味を増すのが目的です。砂糖と同様にグルコースとフルクトースの2つの単糖からなり、砂糖よりも安価に製造できるため、砂糖の代わりに清涼飲料水など多くの食品に使用されています。
日本では、フルクトース(果糖)の含有率が50%未満のものをブドウ糖果糖液糖、フルクトース含有率が50%以上90%未満のものを果糖ブドウ糖液糖、フルクトース含有率が90%以上のものを高果糖液糖と呼んでいます。
米国ではトウモロコシのデンプン(コーンスターチ)を原料に作成した高フルクトース・コーンシロップ(high-fructose corn syrup)が多くの飲料や食品に添加されています。高フルクトース・コーンシロップの多くはフルクトースが55%、グルコースが45%の組成になっています。
フルクトースはグルコースに比べてインスリン分泌を刺激する作用が弱いので、肥満や糖尿病を防ぐ作用があるように思われますが、実際は全く逆で、肥満や糖尿病や高脂血症や動脈硬化やがんを増やす作用がグルコースより強いことが明らかになっています。

【糖類の取り過ぎは毒になる】
健康に悪い食品のリストを作成する時、栄養学の専門家の多くがトップにもってくるのは「精製した砂糖(refined sugar)」、つまり白砂糖です。
精製した砂糖など糖類の摂り過ぎが肥満や2型糖尿病やメタボリック症候群やがんや認知症など多くの疾患を増やしていることは、多くの研究者が指摘しています。
糖類(ブドウ糖や果糖などの単糖類と蔗糖などの二糖類)の摂取量に関して、世界保健機関(WHO)は今までは総摂取カロリーの10%、つまり1日50g程度を許容していましたが、2014年3月に発表した新しい指針(案)では摂取カロリーの5%以下(1日の糖類摂取量を約25g以下)にすることを目標にしています。つまり、糖類は1日50gでは健康に悪い(毒になる)というのがWHOの意見です。
最近は、白砂糖よりも異性化液糖(高果糖コーンシロップ、果糖ブドウ糖液糖などとも呼ばれる)の有害性が問題視されています。
砂糖も異性化液糖もともにグルコースとフルクトースの2種類の単糖からなります。砂糖はこの2つの単糖が結合している二糖ですが、異性化液糖はそれぞれが単体で存在するので、小腸からの吸収は砂糖より早いのでより健康に悪いと言えます。
精製した糖質や砂糖やこれらで作ったお菓子やジャンクフードはエンプティ・カロリー(empty calories)といって非難されています。
エンプティ・カロリーというのは、カロリーだけしかなく体を作る栄養素(タンパク質やビタミンやミネラル)が含まれていなことを意味します。
一般的な米国人は、カロリーの約20%を添加した砂糖(added sugar)から得ていると報告されています。added sugarは食材にもともと入っている糖類ではなく、食品に人工的に加えた砂糖類のことです。
砂糖はエネルギー密度は高い(食物繊維が入っていない)ので、少量で大きなカロリーを摂取することができます。しかし、満腹感が得られにくいので、多く食べる結果、摂取カロリーが過剰になりやすい食品です。
糖類摂取の増加が肥満や虫歯を増やしていることは多くの疫学研究で証明されています。さらに、砂糖の摂取は様々な病気や症状の原因となっています。
肥満、2型糖尿病、非アルコール性脂肪肝、高血圧、高脂血症、心疾患、腎結石、慢性的な下痢、過敏性腸症候群、胆のう疾患、虫歯、疲労倦怠感、不安、うつ、頭痛、月経前症候群など様々な病気や症状に糖類摂取過剰が関連しています。
精製砂糖は急速に吸収されますが、人間はそのような急速に血糖を上げるような食品に体が対応できません。
急速に膵臓からのインスリンの分泌を刺激しますが、反応性に一時的な低血糖になります。そこで急遽、血糖値を上げるためにエピネフリンやコルチゾール(ステロイドホルモン)の分泌が刺激されます。
このように、急速に血糖値が上昇する食品は、体がなんとか血糖値を正常範囲に制御するために、インスリンやエピネフリンやコルチゾールや、その他、これらに関連する多くのホルモンや伝達物質が絡んでくるので、様々な症状や病気の原因になるのです。

【フルクトースの取り過ぎは体に有害】
フルクトースが生理的に存在するのは精液の中だけです。精子のエネルギー源になるためです。しかし、フルクトースは体内でグルコースから生成されるので、食事から摂取する必要はありません。つまり、食事から摂取する必要のない栄養素と言えます。
フルクトースを摂取すれば体内でエネルギー源にはなるので、適量であれば問題はありません。しかし、フルクトースは摂取量が多くなると、人間の代謝に対して悪い作用を多く持っています。
フルクトースは甘味が強いので、脳の報酬系を刺激して甘味中毒を引き起こし、食事の摂取量を増やします。
糖化作用が強く、動脈硬化や皮膚の老化を促進します。
活性酸素の産生を増やし、肝臓における中性脂肪の合成を促進し、高脂血症を引き起こします。尿酸値を高める作用もあります。
さらにインスリン抵抗性を高めて、肥満や2型糖尿病やメタボリック症候群を引き起こします。さらにがんの発生や進展を促進します。(トップの図参照)
餌にフルクトースを多く加える方法は、メタボリック症候群の動物実験モデルの作成法として確立しています。
摂取カロリーが消費カロリーを上回っているのが肥満の第一の原因であることは明らかですが、フルクトースは食事摂取量を増やし、いくら摂取しても満腹にはならず、余ったカロリーを脂肪に変換させるので、肥満を促進する作用があります。
フルクトースの不健康作用はアルコールと匹敵すると言われています。
アルコールは適量であれば、寿命を延ばすということになっていますが(血液循環を良くして心筋梗塞や脳梗塞の発症リスクを低下させる)、フルクトースにはそのような健康にプラスになる作用は報告されていません。
カロリーが過剰な状況で、お菓子や果物や清涼飲料水から多量のフルクトースを摂取するのはアルコールより健康に悪い可能性があります。
穀物(米、小麦、トウモロコシ、イモ類など)に含まれる糖質はグルコースが多数結合したデンプンが主体です。
果物や清涼飲料水やケーキやアイスクリームなどにはグルコースやフルクトースのような単糖類と、グルコースとフルクトースから構成される蔗糖(スクロース)や異性化液糖(高フルクトース・コーンシロップ)が多く含まれます。
グルコースに比べてフルクトースは血糖上昇作用やインスリン分泌刺激作用が弱い点はメリットです。
しかし、甘味による脳の報酬系の刺激作用、肝臓におけるインスリン抵抗性の誘導作用、肝臓における中性脂肪合成亢進、脂肪肝の発症、高脂血症・動脈硬化・虚血性心疾患の発症促進、肥満・2型糖尿病・メタボリック症候群の発症促進、がんの発生や進展の促進、タンパク質の糖化や老化の促進などの作用においては、フルクトースの方がグルコースより強いことが明らかになっています。つまり、グルコースよりフルクトースの方がより有害であると言えます。

図:様々な作用において、フルクトースはグルコースよりも有害作用が強い。

【フルクトースは肝臓で全て取り込まれる】
食事に含まれるグルコースは消化管から吸収されて門脈に入ってまず肝臓に入りますが、肝細胞に取込まれるのは20%程度で、多くは全身の細胞に運ばれてエネルギー産生に使われます。
グルコースは全ての細胞のエネルギー産生に必要なので、エネルギー産生量に応じて分配されるように制御されています。そして、余ったグルコースは肝臓や骨格筋や脂肪組織でグリコーゲンや脂肪として貯蔵されます。
一方、フルクトースはほぼ100%が肝細胞に取り込まれます。フルクトースを取込むグルコーストランスポーター5(GLUT5)は正常細胞では肝細胞にしか発現していないからです。(がん細胞ではGLUT5が発現しているという報告があります)
グルコースとフルクトースはヘキソース(六炭糖)と言います。これらヘキソースの6位のヒドロキシル基(OH基)をリン酸化するのがヘキソキナーゼです。
グルコーストランスポーターから取り込まれたグルコースがヘキソキナーゼでリン酸化されるとグルコーストランスポーターを通ることができなくなります。つまり、細胞内に取り込まれたグルコースを細胞内に止めるためにリン酸化するのがヘキソキナーゼです。
6位がリン酸化されてグルコース-6リン酸に変換されたあと、解糖系で代謝され、さらにTCA回路と電子伝達系でATPが産生されます。

【フルクトースの代謝はフィードバック阻害が効かない】
解糖系ではグルコース-6リン酸からイソメラーゼでフルクトース-6リン酸に変換され、さらにホスホフルクトキナーゼで1位がリン酸化されてフルクトース-1,6ビスリン酸になり、さらにジヒドロキシアセトンリン酸とグリセルアルデヒドに分解されて解糖系が進行します。
この解糖系ではヘキソキナーゼとホスホフルクトキナーゼのところでフィードバック制御を受けています。
つまり、グルコースが細胞内に多く取り込まれてATPが十分に産生されれば、解糖系の進行を止める制御機構が存在します。
ヘキソキナーゼはその反応産物であるグルコース-6リン酸で阻害され、ホスホフルクトキナーゼはTCA回路で生成されるクエン酸と電子伝達系で産生されるATPによってフィードバック阻害を受けます。解糖系がストップするとグルコース-6リン酸からグリコーゲン合成が進行して余ったグルコースはグリコーゲンとして貯蔵されます。
肝臓に存在するヘキソキナーゼはグルコースに特異的なグルコキナーゼで、フルクトースの6位をリン酸化するヘキソキナーゼがありません。
肝細胞内に入ってきたフルクトースはまずフルクトキナーゼで1位の水酸基がリン酸化されてフルクトース-1リン酸に変換され、さらにアルドラーゼでフルクトース-1,6ビスリン酸からジヒドロキシアセトンリン酸とグリセルアルデヒドに分解されて解糖系に入っていきます。
ヘキソキナーゼや解糖系によるグルコースの代謝は、細胞内エネルギーの状態やインスリンレベルによって厳密に調節されていますが、肝細胞に入ったフルクトースは、解糖系のフィードバック制御が行われるヘキソキナーゼとホスホフルクトキナーゼの反応系をバイパスして解糖系に入るので、フルクトースの解糖系での代謝は歯止めがなく、入ってきたフルクトースは全て解糖系で代謝されることになります(下図)。 

図:肝臓において、フルクトースはフルクトキナーゼでフルクトース-1リン酸に変換されて、ついでフルクトース-1,6−ビスリン酸、グリセルアルデヒド-3リン酸に代謝されて解糖系に入っていく。解糖系はヘキソキナーゼとホスホフルクトキナーゼのステップでフィードバック阻害を受けているので、グルコースの取込みが多くなると解糖系は反応がストップするように制御されている。しかし、フルクトースはこの2つの制御をバイパスして解糖系に入るので、フルクトースが肝細胞に多く取り込まれると、全てが解糖系とTCA回路で代謝される。フルクトースは脂肪合成に関与する酵素の活性を高めるので、アセチルCoAから脂肪酸合成の経路が促進されて中性脂肪の合成が亢進し、肥満や高脂血症や動脈硬化や脂肪肝の発症を促進する。

【フルクトースは肝臓での中性脂肪の合成を促進する】
空腹時にグルコースが不足しておれば、フルクトースはフルクトース-1,6ビスリン酸から解糖系を逆に進む糖新生によってグルコースに変換され血糖の維持に使われます。
エネルギー産生が足りなければ、フルクトースは解糖系とTCA回路と電子伝達系でATP産生に使われます。
細胞内のATPが十分であれば、TCA回路で産生されたクエン酸はミトコンドリアを出て細胞質内でアセチルCoAに変換され、さらに脂肪酸合成へと進みます。
フルクトースは脂肪酸を合成する酵素系の発現と活性を高める作用があります。
グルコースとフルクトースを同時に摂取した場合(砂糖や異性化糖液や果物)は、グルコースが解糖系とTCA回路を占拠するため、フルクトースはもっぱら脂肪合成に回されることになります。フルクトース単独よりフルクトースとグルコースを一緒に摂取すると脂肪合成は3倍になると報告されています。
フルクトースを多く摂取すると食後の血中の中性脂肪やLDLコレステロールの濃度が上がることが知られています。
LDLコレステロールは、肝臓でつくられたコレステロールを各臓器に運ぶ働きをしている低比重リポたんぱくのことです。細胞内に取り込まれなかった余剰なコレステロールを血管内に放置し、動脈硬化を引き起こす原因となります。

【フルクトースは肝臓のインスリン抵抗性を高める】
ラットにメタボリック症候群を発症させる実験では、餌にフルクトースを添加する方法が使われています。つまり、フルクトースの摂取量を増やせば、メタボリック症候群を引き起こすことは動物実験モデルとして確立されているのです。
メタボリック症候群はインスリン抵抗性が亢進することによって発症します。フルクトースはインスリン抵抗性を高めることが明らかになっています。
フルクトースの過剰摂取が肝臓における炎症を引き起こし、非アルコール性脂肪肝の原因になり、さらにインスリン抵抗性を高めて肥満や糖尿病やメタボリック症候群を引き起こすことが報告されています。
極端な摂取でなくても、中等度の摂取でインスリン抵抗性を高めることが臨床試験で確認されています。以下のような報告があります。

Moderate amounts of fructose consumption impair insulin sensitivity in healthy young men: a randomized controlled trial.(中等量のフルクトース摂取が健常な若い男性におけるインスリン感受性を障害する:ランダム化対照試験)Diabetes Care 36(1): 150-156, 2013

【要旨】
背景:高カロリーで高フルクトースの食事が、ヒトにおいてインスリン感受性と脂質代謝に悪い影響を及ぼすことは多くの研究で繰り返し指摘されてきた。しかしながら、通常量のフルクトース摂取の影響については十分に検討されていない。この研究では、中等量のフルクトースとスクロース(蔗糖)の摂取が糖代謝と脂質代謝に及ぼす影響を検討し、グルコース単独摂取の場合と比較した。
方法:健康で正常体重の男性ボランティア(21から25歳)9人がこの二重盲検ランダム化クロスオーバー試験に酸化した。被験者は4種類の異なる糖類を添加した飲料(1日600ml)をそれぞれ3週間づつ摂取した。その4種類とは1日40gのフルクトース(1日40g)、1日80gのフルクトース、1日80gのグルコース、1日80gのスクロース(蔗糖)であった。内因性のグルコース産生、空腹時の血清脂質、血糖値、インスリン濃度を測定した。
結果:インスリンによる肝臓におけるグルコース産生量の低下は、高グルコース(グルコース80g/日)に比べて高フルクトース(フルクトース80g/日)で有意に低かった。抑制率は高フルクトース摂取群で59.4 ± 11.0%、高グルコース群で70.3 ± 10.5%で、統計的に有意の差であった。(注:インスリンは肝臓におけるグルコース産生を抑制する作用があるので、この結果はフルクトース摂取がグルコース摂取に比べてインスリン抵抗性を高めることを意味する)
しかし、空腹時の血糖、インスリン濃度、C-ペプチドには差は認めなかった。(注:C-ペプチドはインスリンが合成される前段階のプロインスリンが、分解されるときに発生する物質で、ほとんどが分解されないまま血液中を循環し、尿とともに排出されるので、血中や尿中のC-ペプチドを測定すると、インスリンがどの程度膵臓から分泌されているのかが評価できる。)
高グルコース摂取(グルコース80g/日)に比べて、中用量フルクトース(フルクトース40g/日)と高用量フルクトース(フルクトース80g/日)、高用量スクロース(スクロース80g/日)を摂取した群では、LDLコレステロールと総コレステロールの値が有意に上昇した。
フリーの脂肪酸は中用量フルクトース摂取で有意に上昇したが、高用量フルクトース群と高用量スクロース群では上昇は認めなかった。
試験中のエネルギー摂取量は試験開始前と変化はなかった。
結論:1日40gという中程度のフルクトースあるいはスクロース摂取は、同程度の量のグルコースと比べて、肝臓のインスリン感受性を低下させ、脂質合成を高めることがこの研究で示された。 

極端に多い量のフルクトースでなくても、1日40gのフルクトースを毎日摂取すると肝臓でのインスリン抵抗性を高めて中性脂肪やコレステロールの合成を高める作用があるということです。
食品に含まれている糖類(グルコース、フルクトース、スクロースなど)の半分以上がフルクトースなので、全糖類摂取量が80gくらいの摂取で糖質と脂質の代謝系に大きな悪影響が起こる可能性を示唆しています。
現在では、多くの食品に砂糖や異性化液糖(果糖ブドウ糖液糖など)が加えられており、米国では全フルクトース摂取量の平均は一人1日80gを超えています。日本でも、砂糖の多いお菓子やケーキや清涼飲料水を多く摂取している人は1日40g以上のフルクトースは摂取しています。

【フルクトースは老化を促進する】
タンパク質を糖化する作用はフルクトースはグルコースの7倍といわれています。タンパク質の糖化は老化を促進します。(タンパク質の糖化については372話参照)
長期的に大量のフルクトースを摂取していると糖化や老化を促進することが報告されています。以下のような報告があります。

Long-term fructose consumption accelerates glycation and several age-related variables in male rats.(オスのラットにおいて、長期におよぶフルクトースの摂取は糖化と老化関連事象を促進する)J Nutr. 128(9): 1442-9, 1998

【論文のまとめ】
1970年代からフルクトースの摂取量が増えており、フルクトースは他の還元糖と同じようにタンパク質をメイラード反応を介して糖化し、糖尿病における様々な合併症の発症と関連し、老化を促進する作用が指摘されています。
そこでこの論文では、ラットを使って実験しています。
飲み水として、250g/Lの濃度でフルクトース、グルコース、スクロース(蔗糖)の糖類液を作成して自由に飲ませ、タンパク質の糖化の度合いや脂質過酸化の程度、皮膚のコラーゲンのクロスリンクの程度、糖化最終生成物(Advanced glycation end products)を比較しています。
この3群の間に血糖値(血中のグルコースの濃度)には差はみとめませんでしたが、グルコース投与や蔗糖投与群に比べて、フルクトース投与群では、血中のフルクトース、コレステロース、フルクトサミン、糖化ヘモグロビンの濃度が有意に上昇し、尿中の過酸化脂質の指標も上昇していました。
皮膚のコラーゲンの糖化やクロスリンクの程度がフルクトース投与群で最も高かったということです。
つまり、この実験結果はフルクトースの摂取量が多いと老化を促進する可能性を示唆しています。

【フルクトースは膵臓がんの発生リスクを高める】
フルクトースの摂取量と膵臓がんの発生率との間に関連がある可能性が疫学研究のメタ解析で示唆されています。以下のような論文があります。

Dietary fructose, carbohydrates, glycemic indices and pancreatic cancer risk: a systematic review and meta-analysis of cohort studies.(食事中のフルクトース、炭水化物、グリセミック指数と膵臓がんのリスク:コホート研究の系統的レヴューとメタ解析)Ann Oncol. 2012 Oct;23(10):2536-46.


食事からの炭水化物の摂取量やグリセミック負荷やグリセミック指数が膵臓がんの発症リスクに影響すると考えられていますが、その関係を検討した疫学研究の結果は必ずしも一致していません。
そこで、この論文では、2011年9月までに発表された論文の中から、膵臓がんのリスクと炭水化物の摂取量やグリセミック指数やグリセミック負荷の関係を検討した10件の前向きコホート研究(13の論文に報告)のメタ解析を行っています。

炭水化物の摂取量やグリセミック指数やグリセミック負荷と膵臓がんの発症リスクの間には関連は認められませんでした。しかし、フルクトースの摂取量が増えると膵臓がんのリスクが高くなることが認められています。

すなわち、1日25gのフルクトース摂取につき膵臓がんのリスクが1.22倍(95%信頼区間:1.08-1.37)になるという結果が得られています。1日50g摂取で約1.5倍程度に発がんリスクが増える計算です。
現在、米国では、フルクトースの摂取量は一人当たり1日に100グラム近くを摂取しているようです。

さらに、果糖が多いとがん細胞内でトランスケトラーゼという酵素が誘導され、解糖系から分かれて核酸(DNAやRNA)合成に必要なペントース・リン酸回路を促進するという報告があります。DNAやRNAの合成が促進することはがん細胞の増殖に有利になります。

Fructose induces transketolase flux to promote pancreatic cancer growth(フルクトースはトランスケトラーゼの活性を高めて膵臓がんの増殖を促進する)Cancer Res. 70(15): 6368-76, 2010


ペントースリン酸回路とはグルコース−6−リン酸を出発点としてリボース−5−リン酸などの5炭糖とNADPH を生成する回路です。
できた5炭糖はホスホリボシルピロリン酸(PRPP)となりヌクレオチド(糖+塩基+リン酸からなるDNAやRNAの構成単位) の原料として用いられます。
つまり、フルクトースの炭素骨格はペントースリン酸経路で代謝されて核酸合成に使われるのです。
NADPH は還元剤として働き、脂肪酸やステロイドの合成、活性酸素の消去など様々な反応に用いられます。
フルコトースはこのペントースリン酸回路を亢進する作用があり、がん細胞の増殖を促進することになります。
フルクトースはグルコーストランスポーターのGLUT5によって取り込まれるますが、多くのがん細胞ではGLUT5は過剰に発現していることが報告されています。
グルコース(ブドウ糖)は血糖を高めてインスリンの分泌を亢進し、がん細胞の増殖を促進します。がん細胞はグルコースの取り込みが増えています。取込んだグルコースはATP産生だけでなく、核酸、脂肪酸、アミノ酸の合成にも使用されます。したがって、グルコースの摂取過多はがん細胞の増殖を促進します。
一方、果物に含まれるフルクトース(果糖)はインスリン分泌を刺激しませんが、細胞内で複数の経路で解糖系へ入り、グルコースと同様にエネルギー産生や物質合成に使用されます。
さらにフルクトースはグルコースより核酸(DNAやRNA)と脂肪酸の合成を促進する効果が強いことが知られています。
また、細胞内の糖タンパク質にフルクトースが取込まれると、その糖タンパク質の性状が変化し、がん細胞の浸潤や転移能が亢進するという報告もあります。動物実験などで、フルクトースの摂取量を増やすとがん細胞の増殖が促進する結果が得られています。フルクトースとグルコースの摂取量が多いと、相乗的にがん細胞の増殖を促進します。
したがって、果物に含まれる糖分はデンプン主体のご飯やパンよりもがんを促進する作用が強いと言えます。

図:果物に多く含まれるフルクトース(果糖)は、細胞内で複数の経路で解糖系へ入り、グルコースと同様にエネルギー産生や物質合成に使用される。フルクトースはグルコースより核酸(DNAやRNA)と脂肪酸の合成を促進する効果が強い。また、細胞内の糖タンパク質にフルクトースが取込まれると、その糖タンパク質の性状が変化し、がん細胞の浸潤や転移能が亢進するという報告もある。つまり、フルクトースとグルコースの摂取量が多いと、相乗的にがん細胞の増殖を促進する。果物に含まれる糖分はデンプン主体のご飯やパンよりもがんを促進する作用が強いかもしれない。

ネズミを使った実験で、フルクトースを投与すると炎症性サイトカイン(IFN-γ, IL-1β, IL-6, TNF-α, IL-1 β and IL-2)の血中レベルが高くなることが報告されています。
ラットにフルクトースを投与するとVEGF(vascular endothelial growth factor:血管内皮細胞増殖因子)の血中濃度が増加することも報告されています。VEGFは血管新生を促進します。
その他、飲料水にフルクトースを添加するなどの方法でフルクトースの摂取量を増やすと、化学発がん剤による発がんが促進されるという動物発がんの実験や、がん組織の発育が促進されるという移植腫瘍を用いた動物実験の結果なども報告されています。
甘い果物には、フルクトースとグルコースが一緒に含まれています。フルクトースはインスリンの分泌を少ししか刺激しませんが、グルコースと一緒に摂取してグルコースによってインスリン分泌が亢進すると、フルクトースのがん促進効果はさらに増強されます。
つまり、フルクトースとグルコースの摂取量が多いと、相乗的にがん細胞の増殖を促進することになり、果物に含まれる糖分(グルコースとフルクトースを含む)はご飯やパン(グルコースのみ)よりもがんを促進する作用が強い可能性があると言えます。

【アボカド以外の果物は糖類が多い】
アボカド以外の果物は多くの糖が含まれています。その糖もすぐに吸収されるグルコース(ブドウ糖)やフルクトース(果糖)やスクロース(蔗糖)などの糖類です。
蜂蜜は約8割の糖分と約2割の水分によって構成され、ビタミンとミネラル類などの栄養素をわずかに含みます。蜂蜜の糖分のうち、グルコースが35%、フルクトースが40%程度です。多くの果物は100グラム当たり10〜20グラム程度の糖質を含みます(下表)。

表:主な果物の可食部100g中の糖質、食物繊維、蛋白質、脂質の含有量とエネルギー量を示す。アボカド以外の果物には糖質が多い。(五訂日本食品標準成分表より作成)

レモンやグレープフルーツでも100グラム当たり8〜10グラムの糖質を含みます。リンゴやブドウや梨は100グラム当たり10グラム以上の糖質を含み、バナナは100グラム当たり20グラム以上の糖質を含みます。
しかも、果物に含まれる糖質の多くはグルコース(ブドウ糖)やフルクトース(果糖)やスクロース(蔗糖)といった糖類です。

がんに野菜や果物が良いという考えが普及していますが、糖質の多いものは避けることが大切です。その中で例外がアボカドで、100g当たりの糖質は1g以下で、食物繊維を5g以上含み、脂質が15g以上で、オリーブオイルと同じオレイン酸が豊富です。

表:食品中のブドウ糖(グルコース)、果糖(フルクトース)、ショ糖(スクロース)、全砂糖の含量(可食部100g当たりのグラム数)。果物や蜂蜜には果糖や砂糖が多く含まれている。(出典:FASEB J. 4: 2652-2660, 1990年)

【「果物はがん予防に良い」を過信すると逆効果になる可能性がある】
がんの発生や再発を予防する食事として、「野菜や果物を多く摂取する」ことが推奨されています。このような植物性の食品の豊富な食事は健康的であることは多くの研究者が認めています。
しかし、野菜や果物を多く摂取してもがん予防効果は極めて限定的、あるいは効果は認めないという研究結果が最近は多くなっています。
昔のケース・コントロール研究では、野菜や果物の摂取が多いほどがんが少ないという結果が得られています。しかし、野菜や果物の摂取量の多いグループは摂取量が少ないグループに比較して、喫煙率や飲酒量や摂取カロリーや肥満の程度が低く、運動量が多いというデータがあり、野菜や果物ががんを予防する直接的効果をもつのではなく、がん予防に良い生活習慣(禁煙、禁酒、運動、標準体重維持、カロリー制限など)の指標に過ぎないという指摘もあります。そして、食事とがんに関する最近のコホート研究の多くで、野菜や果物の摂取ががんを減らす効果は確認されていません。
果物を多く食べる(食べれる)人たちは、喫煙率や飲酒量が低く、経済的にも裕福(したがって、他の生活環境も良好)なので、がんが少ない可能性が指摘されています。(詳しくは304話参照)
さて、グルコース(ブドウ糖)は血糖を上昇させ、インスリンの分泌を刺激して、がんの発生や増殖や転移を促進することは、多くの人が知っています。
フルクトース(果糖)はインスリンの分泌を刺激しないので、糖尿病や肥満の人にも問題が少ない糖質あるいは甘味料として使用されています。インスリンを分泌させないのであれば、がん細胞の増殖も刺激しないということで、「フルクトース(果糖)ならがんを悪化させる心配は無い」と思っているがん患者さん多くいます。しかし、この考えは全くの間違いです。多くの研究で、フルクトースはグルコース以上にがんを促進する可能性が指摘されているのです。
菜食主義の食事を実践していて、肉や脂っこいものもほとんど食べず、肥満もないのに中性脂肪が高い人がいます。
コレステロールは肝臓で作られ、ホルモンの関係で更年期以降の女性はコレステロールが高くなる傾向にありますが、中性脂肪は基本的には、体脂肪が多い場合か食事からの脂肪の摂取が多い場合に上がります。肥満がなく脂肪の摂取が少ないと中性脂肪が上がることは考えにくいのですが、そのような方の食事を聞いてみると、甘い果物(果糖の多い)を多く摂取していることに気づくことがあります。
フルクトースは体内で中性脂肪を増やす作用があり、甘い果物の摂取は中性脂肪の値を高めるのです。フルクトースが中性脂肪を増やす作用はグルコースの2倍という報告もあります。
ケーキやまんじゅうのような砂糖の多いものを避けるため、甘いものが欲しくなったとき果物を大量に食べている人がいます。ドライフルーツを大量に食べている人もいます。そして、このような食事の場合、がんは再発しやすく、進行も早いようです。
つまり、果物ならいくら食べても問題ないという間違った考えの人が結構いるようです。(そのような記載をした書籍もあるようです)
甘い果物や、フルコトースの多く入った蜂蜜や飲料や甘味料の摂取は、グルコース以上にがんを促進する可能性があることを知っておく必要があります。

【なぜ果物にフルクトースが含まれるのか】
生物は生存や繁栄に有利なように進化していきます。動けない植物が動物から食べ尽くされないように様々な毒を持っているのも進化の結果です。
例えば、植物にエストロゲン作用を持つ成分やミトコンドリア毒を持つものが多いのは、草食動物に食べ尽くされないようにするためです。
植物から多くの毒が見つかっており、それらは、適度に利用すると医薬品にもなります。(植物が毒を持つ理由については246話309話を参照)
さて、果実は、その植物の種子を含みます。植物は動けないので、その種を繁栄させるためには、できるだけ多くの種子を遠くまで運んでもらう方が有利になります。つまり、動物に多く運ばれるほど種の繁栄につながります。
そこで、動物に多く食べてもらい、遠くへ種子を運んでもらうために種子の周りにカロリーが多く、甘味の強い糖分(つまり果糖)の多い果肉をつけるようになったと言われています。果糖の多い果実ほど自然淘汰に生き残ることになります。
一方、多くの果実は秋(つまり、冬の前)に熟します。太古の昔は、冬になると食糧が極端に少なくなります。フルクトースは体脂肪を増やす作用があります。余ったカロリーを効率よく脂肪に変換する特徴があります。
つまり、食糧が少なくなる冬になる前に、フルクトース(果糖)を多く摂取して体脂肪を増やしておくことは動物の生存にも有利になります。
植物がカロリーと甘味の強いフルクトースを多く含む果実をつけることによって動物が多く食べることによって種子を遠くへばらまくことができます。一方、フルクトースを多く摂取することは動物にとって食糧の少ない冬を乗り切るのに有利になりという訳です。
つまり、植物と動物の利害が一致することになります。
しかし、植物が動物のメリットになることをすることは、植物の生き残りの戦略からは考えにくいと思います。何らかの裏があるはずです。
フルクトースは動物にとっては不健康な成分です。植物は甘味と体脂肪を増やす(その結果、糖尿病やメタボリック症候群ががんを増やす)フルクトースを使って、長期的には動物の繁殖を抑制しているのかもしれません。
そう勘ぐりたくなるくらい、フルクトースが動物にとって不健康な栄養素であることを多くのエビデンスが示しています。
1960年代にコーンスターチなどのデンプンからフルクトースが安価に製造できるようになり、その甘味に魅せられた人類はフルクトースの摂取が増えました。そして、肥満や2型糖尿病や循環器疾患やがんなど多くの疾患が増えました。
果物に含まれるフルクトースは植物毒だと思った方が良いと思います。
現在、果物は糖度を高めるような品種改良が行われ、甘い果物が増えています。糖度の少ない果物を品種改良するのが健康に有益ですが、甘くない果物を品種改良する勇気のある農家は少ないようです。
ローソンもファミリーマートも糖質制限向けの商品を置いていますが、糖質の少ない果物が出てくるようになれば、がんも糖尿病ももっと少なくなると思います。


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