#301: 川柳、あれこれ

2010-10-31 | Weblog
 柄井川柳(1718-1790)こと、柄井八右衛門正通は、前句附の点者(選者、先生、批評家)として名を挙げたが、本職は、現在の蔵前4丁目にある龍寶寺の門前町の名主であった。前句附というのは、下の七七の句に五七五の句を付ける言葉遊びで、元々上方で流行したものが江戸に入ってきたものだという。

 五七五に世相や風刺、人事を詠む「川柳」は、この柄井川柳の号から名付けられたものである。当時、多くの点者が存在したが、柄井川柳の選ぶ句が、的確で面白かったことから、江戸中の評判となり、人気を博した。この前の句の五七五が独立したもの、というより柄井川柳が選んだ句は、下の七七がなくともそれだけで十分な表現力を発揮する句ばかりだったことから上の五七五だけを川柳の号をとって「川柳」と呼ばれるようになった。世界広しといえども、個人の名前が文芸の名称になっているのは、後にも先にも「川柳」だけである(笑)。

 その龍寶寺に、柄井川柳の墓があるのだ。境内に入ってすぐ門柱の右側にひっそりと建っている。



 一見、句碑のようだが、刻まれているのは「木枯しや後で芽をふけ川柳(かわやなぎ)」で、これが柄井川柳の辞世の句といわれているものである。
 
 ところが、この龍寶寺から300メートルほど北のところに「龍宝寺」という同名の寺院がある。龍寶寺の方は、俗に「川柳寺」と呼ばれているのだが、案内書や地図によっては「龍宝寺」の方に「川柳寺」とあったり、「柄井川柳の墓」と書いてあったりするので混乱する。また、柄井川柳は浅草阿部川町の名主だったとする本もあって、素人を混乱させるばかりである。ものの本によれば、浅草阿部川町というのは、北にある「龍宝寺」と、当時あった新掘川という川を挟んだ対岸にあった町だったそうで、龍寶寺と龍宝寺が混同された故の誤りではないかというのだが、はたして事実はどうなのだろうか。

 さて、蚤助が、蝉坊さんの薦めでNHK川柳に投稿を始めてから4年ほどになるが、この間、今日現在までに選に入ったのが67句ほどある。もっとも、その陰には死屍累々たる「ボツ句」の山があるわけだが…(笑)。

 特に「大賞」受賞句は、

 「犯罪にあって浮気にない時効」
 「社のトップ目指し謝罪の稽古する」
 「勝ち力士鼻息だけのインタビュー」
 「より変になって出てくる美容院」
 「湯豆腐が別れ話を聞いている」
 「だんだんと本気に変わる枕投げ」

の6句。特にこの週末には、2週連続で「大賞」を頂戴した。これというのも、「初代柄井川柳」の墓参の功徳だったかもしれない(笑)。「大賞」受賞だからといって、さすがは、天下の「NHK=日本薄謝協会」…(笑)。初めは、「ドーモ君の携帯ストラップ」、次に「目覚まし時計」、現在は「ドーモ君のハンドタオル」が景品である(爆)。



でも何だか知らぬが、「ハンドタオル」を入れた袋には、誇らしげに(?)「MADE IN JAPAN」という表示があるのが笑えるのであった…アハハハハ!

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 近頃、「草食系」「肉食系」という言葉がマスコミを賑わしている。

 草食系男子 「前を往くカノジョの背中頼もしい」
 肉食系女子 「FAの権利カレシにちらつかせ」

 若者たち、「♪君の往く道は、果てしなく遠い…」
 がんばれ!





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2 コメント

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初めまして (翔龍)
2010-11-01 07:59:42
さすが大賞受賞句、にやり笑いが込み上げたり、身につまされたり、そうだそうだと思いあたったり、みんな共感を覚える良い句ですね。勉強させていただきました

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翔龍さん、こんばんは (管理人)
2010-11-01 23:33:54
初めまして。
ご感想ありがとうございます。下手の横好きですが、五七五をお気軽に楽しんでおります。
もしよければ、「けやぐ柳会」でご一緒に楽しんでみませんか。
まあ、素人集団ですが、それなりに脳のしわを辛うじて減らさぬ効果があるような気がしております(笑)。
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