#303: スタンダーズ・トリオ

2010-11-13 | Weblog
 ゲイリー・ピーコック(b)、ジャック・ディジョネット(ds)とのトリオで、キース・ジャレット(p)はすでに30年近くにわたって演奏活動を続けてきた。驚くべきことに、彼らの演奏は今もなお新鮮さを保っている。多くの人々によって演奏されたり、歌われたりしてきたスタンダード曲の数々が、彼ら3人の手にかかると、まるで彼らのために新たに書きおろされた曲のように聴こえる。俗に「スタンダーズ・トリオ」と呼ばれているこのユニットだが、最初に発表された「スタンダーズVOL.1&2」(1983)から現在まで、どの作品も、創造性を変質させることなく、高い水準を保っている。まことに称賛に値することである。

 キースのデビューは1960年代半ばで、チャールズ・ロイド(ts)率いる清冽な四重奏団で評判となり、その後マイルス・デイヴィスのグループで修業をしてから、次第に新時代のピアニストとして注目されるようになった。また、「平均律クラ―ヴィア曲集第1・2巻」、「ゴールドベルク変奏曲」などバッハへのアプローチは、クラシック・ファンからも好評を得ている。

 彼は1970年代から現在に至るまでソロ・ピアノに積極的に取り組んできた。「フェイシング・ユー」(1972)でゴスペル、フォークなど曲ごとに彼の音楽の多面性を示した傑作アルバムだが、何と言っても「ケルン・コンサート」(1975)の抒情性に富んだ即興演奏が素晴らしい録音で記録されていて、愛すべき作品となった。



 (↑)キースがスタンダード・トリオというユニットを結成する直前のソロ・コンサートを1982年9月、北海道厚生年金会館で聴いた。9月12日(日)、座席は13列27番であった。その前、1976年に東京で行われたソロ・コンサート5回分を収録した6枚組「サン・ベア・コンサート」は大作中の大作だったが、この年の日本ツアーのソロ・コンサートも素晴らしい演奏であった。演奏中のあの唸り声も生で聴いたことになる(笑)。

 冒頭に掲げた画像は「スタンダーズ・ライヴ」(邦題「星影のステラ」)で、ジャレット=ピーコック=ディジョネットによるトリオの初めてのライヴ録音(1985)。多くのミュージシャンによって数え切れぬほど繰り返し演奏されてきたスタンダード曲を全く新しい解釈で演奏している。

 このジャケットは落書きのように奔放なタッチのドローイングだが、作家フランツ・カフカの1914~1923年にかけて記した日記から採られたというクレジットがある。画面の右から左に歩いている人間が駆け出して前方へジャンプする一連の動きを描いているように見えるし、3つの絵柄が「スタンダード・トリオ」の3人を表しているようにも見える。まるで、スタンダード曲を新たに現代に甦させる3人の、新次元にジャンプしようとする瞬間の姿を描いたもののようである。

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 暑い、暑いとぼやいていても、季節は確実に移っています。そろそろ冬の足音も聞えてきました。今年は「全席SOLD OUT」の年ですね。「空きがない=秋がない」…

 寒さに備えて、手編みのマフラー、ほっこりとした暖かさをあの人に…

「マフラーのここまで前のカレの分」

「手作りとなぜか書いてる手芸本」




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