「けやぐの道草横丁」

身のまわりの自然と工芸、街あるきと川柳や歌への視点
「けやぐ」とは、友だち、仲間、親友といった意味あいの津軽ことばです

#13.砥部焼 工藤省治陶磁器集 A Collection of Shoji Kudo's Pottery

2013年05月29日 | 工芸
 お気に入りの砥部焼(とべやき)のうつわについて、ブログにする前に確認しようと思い、何気なくネットを探していたら、「工藤省治陶磁器集」の文字が目に入ってきました。
 感激と驚きに、深夜でしたが、即ネットで発注すると翌昼には届き、またまた感激です!

 ページをめくるにつれ、昭和30年代からの日本のクラフト運動の足跡そのものを見る思いがします。
 温かな作り手の想いが伝わってきます。
 陶磁器の一見冷たい写真集なのに、こんなに心が温まる本を他に見たことがありません。
 ものづくりにことばはいらないというのはこのことです。
 いつどこで見かけても「砥部焼だ!」とわかる親しみ深い唐草文様、未来に向けての産地のアイディンティティであり、ランドマークとなる企画、デザインをなしとげるという稀有な大仕事をされたことなど、どこにも見あたりません。

 30年以上前でしょうか。
 砥部へ初めて伺ったときに、たまたま松山で個展を開かれていた工藤さんにお会いしに行きました。
 自作のたっぷりとした白磁の湯呑みで、焼酎のいちばんうまい飲み方、熱い玉露割りをごちそうになりました。
 ホスピタリティあふれる眼差し、きらきらしつつしかし鋭い眼線で、酒の飲み方を見つめていらっしゃいましたね。
 無知とはいえ「砥部の窯跡から、この唐草の破片が出てくるのですか?」とお聴きしたら、大声で笑っていらっしゃいましたね。
 今でもたいへんな失礼を申し上げたと、ふるえるほど後悔しています。

 「作品集」ではなく、単に「陶磁器集」と銘を打たれた工藤さん。
 ほんとうは、生涯一職人、一窯ぐれ職人、と書きたかったのではないですか?
 恥ずかしがり屋の工藤さん。
 座右の書にし、生涯、工藤さんのふるさと、青森の隣町で生まれたといいふらしたいと思っています。
 工藤さん、ご出版心からお祝い申しあげます。そして、ありがとうございました。


唐草の向こうに見えてくる心  蝉坊


▲ 「 工藤省治陶磁器集 」
2013.4.30発行/創風社出版/協力・梅山窯/@3,000- + tax





▲ 染付ひとつ唐草文布目たたき鉢/砥部焼/梅山窯/愛媛
縁径:220mm/底径:170mm/高:38mm/重:580g
ダイナミックでメリハリのあるつけたて紋
落ち着いた呉須の色合い
ざっくりとした厚手の存在感が
いろいろに使いやすい。
30年ほど前、東京・東池袋・S百貨店で。
2枚のうち1枚は夢の島へ・・。
(「陶磁器集」には収録されていません。)




《 関連ブログ 》
●けやぐ柳会「月刊けやぐ」ブログ版
会員の投句作品と互選句の掲示板。
http://blog.goo.ne.jp/keyagu0123
●ただの蚤助「けやぐの広場」
川柳と音楽、映画フリークの独り言。
http://blog.goo.ne.jp/keyagu575

2 コメント

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工芸で実感するくらし (蝉坊)
2013-06-05 03:22:58
はい。ご明察です。
いつだったか新築祝に献上させていただいたように思います。
名品でくらしを実感していただきたく、末永くご愛用ください。
こうしてみると、工芸とのつきあいにはまさに、My 「History of Love and Respect」という面もあるのですね。

サッカーっておもしろい。やはり「打って」みないと何が起こるかわからない。結局本田くんの独壇場でしたね。浦和の気温がますます上がったのではないでしょうか。
工藤さんの「陶磁器集」を肴に今度また一杯やりましょう。
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砥部焼 (蚤助)
2013-06-04 22:19:28
だいぶ以前、蝉坊さんから頂戴した少し大ぶりの砥部のぐい呑み。
「省」の銘が入っていますが、これが工藤省治さんの作品だったのでしょうか。
呑み口が少し厚手ですが、手にぴったり馴染んでいてお気に入りです。
もっとも、容量が他の杯よりあるので、ついつい酒が進みすぎるのが難ではありますが…。
貴重なものをどうもありがとうございました。
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