日々の泡盛(フランス編)

フランス在住、40代サラリーマンのどうってことない日常。

ペソアとリスボン

2007-03-24 19:35:11 | 海外(フランス、スペイン以外)
ブエノスアイレスのボルヘス、ダブリンのジョイス、パリの
モンディアノ。どの首都にもその都市固有の有名な散歩者がいる。
リスボンにもすばらしい素晴らしい散策者がいる。ポルトガルの
大詩人、フェルナンド・ペソアだ。

ポルトガル随一のメトロポール、リスボンは彼の作品の中心
になっている。1935年彼が他界したとき見つけられた膨大な
数の未発表の作品の中には、1925年ごろ書かれたと思われる
リスボンのガイドが残っていた。彼の作品の中にこれほどまで
リスボンが重要な位置を占めるのは、確か母の結婚相手が
領事に任命された南アフリカにわずか9歳で移り住み、そして
彼の地の滞在を本当の「島流し」のように感じた経験によるものと
思われる。1905年、17歳でリスボンに戻ってから、彼は死ぬまで
この街を離れなかった。テージョ川の河畔で事務員として
つつましい生活を送ったペソア。
夜が来ると、独身のペソアは毎晩流行のカフェに通った。
アルコールへの長期間の依存はついには女中部屋のような
狭いアパートでの生活を余儀なくさせた。