野に咲く姫百合の恋

2009-07-28 | 【草花】ETC
 ユリの花の季節。ユリと言ってもその種類はきわめて多い。代表的なものでも、このブログで写真もあげたヤマユリ、オニユリをはじめとして、カノコユリ、ササユリ、テッポウユリ・・・・等がある。
 たまたま読んでいた本に、次の和歌が載っていた。万葉集に収められている大伴坂上郎女の作である。
 夏の野の茂みに咲ける姫百合の知らえぬ恋は苦しきものそ
 人知れぬ恋は苦しいものであるということを夏の野にひっそりと人に知られずに咲く姫百合になぞらえて歌ったものだ。
 ヒメユリ(姫百合)ではないが、ヤマユリをまた見かけた。その雄蕊、雌蕊を見ると、生々しく、狂おしいばかりのものを感じる。
 野に咲く楚々とした風情からはほど遠い。

里をば涸れず

2009-07-28 | 【断想】ETC
 今ぞ知るくるしきものと人またむさとをばかれずとふべかりけり(在原業平)
 友人の送別会をセットしたが、その友人がなかなかやって来なかった。
 待たされた業平が詠んだ歌である。
  今となって改めて感じた。
  人に待たされる身が辛いことを。
  妻をいつも待たせるのもよくない。
  絶えず訪ねなくては。
 「さと」は「里」、「かれず」は「涸れず」と漢字にした方が意味が取りやすい。