こんな気持ちでいられたら・・・一病理医の日々と生き方考え方

人生あっという間、私の時間もあと少し。
よりよく生きるにはどうしたらいい?

福祉というもの

2016年07月26日 | 病理のこと、医療のこと、仕事のこと

神奈川県相模原市の障害者施設で、多くの入所者が殺されるという痛ましい事件が起きた。思いもかねない不運に巻き込まれた方々のご冥福をお祈り申し上げる。犯人の人物像や動機は今後明らかにされていくだろうが、どんな理由を作ったとしても、生きたいと考え、生きている人の命を勝手な考えで奪うことは決してして許されることはない。

日本は、医療、福祉を大事にしている国だ。そのせいで、財政は逼迫しているが、それでも何とかならないかと多くの人が頭をひねっている。

もう、破綻寸前という国の借金だって、社会保障費が予算の何割かをしめているほどだ。枝葉末節をみたら、いろいろな問題があるだろうが、助け合いの精神は保たれている。医療亡国論などというひどいことをいう役人もいたが、それはそれで悩んだ末の言葉だったのだろうと今では思っている。

私たち日本人は病気の人、年老いた人、そして障害を持った人皆を仲間として、救おうとして力を合わせて生きている。それが、日本人という優しい民族の国民性であり、いいところだと思う。だから、こういう事件が起こって、社会的弱者に対する変な、危険な考えがうかんだり、蔓延してほしくない。何故なら誰もが、いつでも弱い立場になりうるのだから。そして、そういった人たちが生きていくことを否定してはいけないのだ。

優生思想というのは危険だ。自分のいるレベルの世界を唯一無二のものとして、優劣をつけるということに、全く意味はない。オリンピックに出たはいいが予選落ちで帰ってくる選手は山ほどいる。だが、おそらくその誰もが、国家レベルの優れた能力を持っている。美人コンテストも100人集まって、順位をつけたらビリはいる。それが人間というものだ。だが、それらの尺度はほんの一部を見てつけたものにすぎない。誰もが、素晴らしい一面を持って生きているのだし、生きている価値がある。

 決して奪ってはならない

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