kenroのミニコミ

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ロミオとジュリエット   2010英国ロイヤル・バレエ団公演

2010-07-06 | 舞台
ロミオとジュリエットというとバレエより映画や演劇で有名なので、今更あらすじを確認することもないのが幸いした。ただ台詞のない分、踊りでどれほど登場人物の感情を表現できるか興味深かった。
ジュリエット役のロベルタ・マルケスは西欧のバレエ・ダンサーにしては大変小柄(ブラジル出身という)、ジュリエットの少女のイメージがよく出ていた。もちろん04年からロイヤル・バレエ団のプリンシパルをつとめるだけあり、そのパフォーマンスは申し分ない。親が決めた婚約者を嫌がる様、ロミオに会ったときのときめき、ロミオとの二人きりの夜、そしてロミオの死を知ったときの絶望。表情も豊かで、その軽やかな舞は戸惑い、幸福、悲嘆をポアントのまま10メートル以上もバックする繊細な動きで表現。随所に見える完璧な基本動作の数々は、幼く可憐で、その無知さ加減もよく出ていて喝采ものだった。
数幕に渡る演目では多くのプリンシパルは登場しっぱなしではないという。その例外が「うたかたの恋」のルドルフとロミオなそうな。出っぱなし、踊りっぱなしで、ハードなことこの上ない。その上、今回はジュリエット役が小柄な相手とは言え、リフトも多い。男性ダンサーはつくづくハードだなと思ったのが今回で、それをこなしたのがスティーブン・マックレー。マルケスと同じ年にロイヤル・バレエ団に入団し、ロミオ役ははまり役なそうな。バレエの男役というとたいがい単純、幸福と絶望を繰り返し演じる単細胞である。というか、やはりプリマの相手役に過ぎないという部分はある。けれど、それでもキュピレット家に対する敵愾心あらわに血気盛んな様、友人が倒されると思わずキュピレット家のティボルトを刺し殺し、死んだように寝ているロミオの後を追って自ら命を絶つ。ばかである。
そのばかさ加減がマックレーの踊りにはよく現れていた。そして美しかった。バレエにおける男性ダンサーは(女性ももちろんだが)美しくなければならないという原則中の原則を体現してくれていたとも言える。表情とともに振りが大きく変化するジュリエット役のマルケスとともに大げさな動作で、といっても、超絶技巧は多くない。それがよいのだ。
全3幕、結構長いステージに飽きさせない甘美を送ってくれたロイヤル・バレエ団の実力に満足の公演であった。
ただ、兵庫公演は最終日だったので、カーテンコール後になにかサービスがあるかと期待したが、わりとあっさりしていた。疲れていたのか、ロイヤル・バレエ団のしきたりとしてそうなのか分からないが、それはそれでよし。本編の感動が薄れるものではないから。

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