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斬新な陶芸、安寧の正体  加守田章二展

2005-07-07 | 美術
自分に合う窯を探して各地を渡り歩く作家は少なくないかもしれない。加守田は栃木県益子に居をおき、柳田国男で有名な岩手県遠野に足をのばし、新境地を開いたという。遠野時代の作品の原点は須恵器である。日本におけるロクロ技術の大成とその大胆な可能性に挑戦した作品群は、色合いはもちろん、形も、大きさもどこか懐かしく、大地に近づいた感さえ覚えさせる心地よさを醸し出している。
益子焼と言えば、普段使いの安価な陶器と捉えがちであるし、加守田もお高くとまった陶芸をそこに見いだそうとしていたのではない。というのは、今回の作品群を見ていて、思ったのは「この花瓶にはどんな花が似合うだろうか」、細高いきりりとした一品には百合の一輪挿しだろうか。あるいは、須恵器の特有の泥臭い雰囲気の平鉢には、「白身の刺身と白髪ネギだろうか」なんて、その器が実際使われることを前提として醸し出された加守田の仕事に見入ってしまったからだ。
そう、陶芸展は器そのものに焦点をあて、その器がどう使われたら、供されたら美しいかについてはあまり想像力をかき立てる方向にいかない。それはそうだろう。陶芸展でいちいち花を生けていたら、その作品がかすんでしまうかもしれないし、まして花は高くつく。洗練された陶芸作品は、そのもの自体で自己完結していると言われればそれまでだが、益子焼の地で修行した加守田の作品に、古代人、平安人が愛した、あるいは普段使いとした須恵器に思いを寄せる加守田の心根になかなかたどり着けない。ような気がする。
加守田の作品にどこかほっとする陶芸素人に、斬新さとは必ずしもアバンギャルドではないという確信をある意味で与えたくれた本展である。
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2 コメント

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