セルロイドの英雄

ぼちぼちと復帰してゆきますので宜しくお願いしまする。

【映画】かもめ食堂

2006-03-26 00:19:27 | 映画か行


2005年日本
監督)荻上直子
出演)小林聡美 片桐はいり もたいまさこ ヤルッコ・ニエミ タリア・マルクス マルック・ペルトラ
満足度)★★★★★ (満点は★5つです)
シネスイッチ銀座にて

フィンランドの首都ヘルシンキでサチエ(小林聡美)が街の片隅で開いたかもめ食堂。日本の定食屋のような地味な食堂に来るのは日本オタクの青年トンミ(ヤルッコ・ニエミ)だけで、なかなか客は増えてゆかない。
それを苦にするでもなく飄々と店を続けるサチエの元に、やがて様々な人たちが集まりだす。


良い映画の条件って色々あると思うのですが、「ロケーションが魅力的」「食べ物が美味しそう」というのも結構大きいのでは、と僕は常々思っております。
ロケーションの良さをきちっと切り取っていたり、美味しそうな食べ物をちゃんと美味しそうに表現している映画というのは、やはり映画全体にもその気遣いが浸透しているような。
この作品もそんな作品です。

主人公のサチエさんの作る日本の定食の数々、本当に美味しそうです。とんかつ、焼いた鮭、豚肉の生姜焼。全然特別な料理では無いのに、すごく特別に見える。
それは何故かというと、料理を作るサチエさんの凛とした、それでいて肩の力の抜けた立ち居振る舞いにあるのではないかと思います。
料理だって、凛として、それでいて肩の力の抜けた味に違いないと。
それは作品全体に流れる雰囲気も同様です。凛として、それでいて肩の力の抜けた空気が全編に漂う。

ゆったりとした空気感が気持ち良く、癒される映画なのですがそれと同時に妙に心揺さぶられるものがあります。それは、何と言うか、「こういう人生も選択肢としてありえるのではないか」と思わせられるところなのでは、という気がしています。日本であくせくしている自分に対して、「じゃあ他の国に行っちゃえば?」と言われてるような気分。
それは確実に逃避に過ぎないんだろうけれど、同時に励まされるような感じもします。
もしかしたらこういうのを大人の御伽噺というのかも知れませんね。

小林聡美、片桐はいり、もたいまさこという配役も何とも魅力的なこの作品、自分の中では今のところ今年のベストであります。


コメント (52)   この記事についてブログを書く
« 【映画】ラストデイズ | トップ | 【映画】ふたりのベロニカ(... »
最新の画像もっと見る

52 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
ご馳走の定義 (現象)
2006-03-26 18:06:15
いつもコメントTBありがとうございます。

有名フレンチとか高級中華よりも、

おにぎり、鮭の網焼き、ぶたのしょうが焼きがご馳走に見えました。

食の魅力って大きなシェアを占めてますよね。

サチエさんみたいな人がつくるからおいしそうなのだと、

彼女の魅力もまたステキ。

何とも居心地が良かったです。
こんにちわ (かのん)
2006-03-26 18:37:21
とても心地良い作品でした。素晴らしい空気感に包まれ幸せなひとときを過ごすことができました。機会があればもう一度観に行きたいくらいです。ホント食べ物もロケーションも素敵でしたが、そこに間違いなく心がこもっているというのがこの作品の良さのような気がします。
星5つ♪ (0120 Blog)
2006-03-26 19:18:34
こんばんは。

私はめったな事がないと星5つを付ける事が無いのですが、今回は星5つを付けてしまいました。

観る人を引き付ける魅力が沢山詰まっていたし、もっともっと観ていたい・・・と感じさせる作品でしたね。
コメントありがとうございます! (Ken)
2006-03-26 20:42:22
現象様、

>サチエさんみたいな人がつくるからおいしそうなのだと

豚の生姜焼なんて、僕はあまり好きじゃないのに、この映画ではやけに美味しそうに見えました。小林聡美さんって本当に味のある女優さんですよね。

満員に近い会場が終始和やかな雰囲気に包まれていたシアワセな作品でありました。



かのん様、

食べ物もロケーションも登場人物もみんなが祝福されているような、そんな素敵な作品でした。この映画の撮影って和やかだったんだろうなあ、と思います。

女性監督らしい優しい作品でした。



0120 Blog様、

僕も★5つ滅多につけませんねー。

ブログをはじめて以来、映画館で観た作品では多分はじめてです。この作品は、和むだけではなく、きちんと一本筋の通った人生観が描かれていたような気がします。それで★5つつけてしまった次第です。



ありがとう (ぢもと)
2006-03-26 22:47:40
TB返しにコメントまでいただいちゃってありがとうございます!

衣装も料理も雰囲気もセリフもトータルコーディネートが

彼女ら3人にとても合っていて

観ていて気持ちよかったですね。

それにしてもおなか空きました。

とりあえず小林聡美さんの「超熟」パンを食べてみたのですが・・。

おにぎり、おいしくにぎれるように頑張ります!
こ、これも! (みつこ)
2006-03-26 23:13:42
これも、とっても観たいのにまだ観ていないんです!・・・最近そういうコメントばっかですね(笑)



食べることって、生き方に通じていくものだとう思います。これ、絶対観ます!!



それはそうと、Kenさん逃避願望強まってますね(笑)一度どこかに逃避すると、東京のセカセカした生活も楽しめる余裕が出てくる・・・というのが逃避経験アリ(笑)のアタシの意見です。

今忙しくて大変でも、煮詰まったらまたどこかへ行けばいいよ、って思えちゃいますね。これっていいのか悪いのか・・・
大人の御伽噺 (マダムクニコ)
2006-03-26 23:18:42
>癒される映画なのですがそれと同時に妙に心揺さぶられるものがあります。



1本芯が通った潔さに、励まされますね。

貴方が言われるように、大人の御伽噺という表現はぴったりだと思います。

全てにおいて完璧な作品といえますね。

TB&コメントに感謝!
コメントありがとうございます! (Ken)
2006-03-27 00:23:29
ぢもと様、

小林聡美さんって「やっぱり猫が好き」も「超熟」もそして今作も、まったくイメージが変わらないですよね。しかもどれも良い。

僕はこの映画を観た後、トンカツ食べてしまいましたよ。こういう、ダイレクトに体に影響を与える映画って良い映画だと思います。



みつこ様、

毎度です!

『メルキアデス~』『アメリカ~』そして『かもめ食堂』、本年度のKenの脳内アカデミー賞で現実逃避部門に立派にノミネートしておりますです。

そんな3作品を観たい作品と仰るみつこさんも現実逃避、結構いけるクチではと推測しております(笑)。



>今忙しくて大変でも、煮詰まったらまたどこかへ行けばいいよ

これ、まさにこの映画に通じますよ!

みつこさん、これはますます観なければ、ですよ。



マダムクニコ様、

>1本芯が通った潔さ

観た後すごく清清しいですよね。自分のペースでキリッと生きるサチエさんの姿、これは男女を問わずグッと来ますよ。

和む、癒される、という感覚を超えた力をこの作品からは感じました。



こんばんわ。 (orange)
2006-03-27 00:23:50
またまた失礼します。

こちらにもコメント&TBありがとうございます!

いやいや良かったですね。この作品はとても幸せな気分になれました。

邦画の良さがヘルシンキの町とシンクロして、実に美味しい作品になってたと思います。

サチエさんの生き方ってシンプルな様で中々出来る事では無いですよね。

簡潔なセリフで彼女の考え方が心地よく伝わって来ましたね。

Kenさんのおっしゃるように、凛としていて肩の力が抜けている。その感覚が観客をももてなそうとしているように受けました。これは小林聡美にしか出せない魅力かもしれないですよね☆そして片桐はいりともたいまさこのバランスの取れた配役の絶妙さが素晴らしかったです。

確かに、1位も納得ですね♪

今日は、沢山コメント&TBありがとうございました☆

セルロイドの英雄をこれからも楽しみにしてますよ。

では失礼します♪

orange様 (Ken)
2006-03-27 00:41:28
本当に4本ともコメントいただいてありがとうございますです!

萩上直子監督作品の飄々とした味とヘルシンキがうまーくマッチしていて、良い味がでていた作品でした。

>観客をももてなそうとしているように

小林聡美さんの最後の「いらっしゃいませー」な感じですよね。この映画の作り手も役者も悪い人いないんだろうなあ、と思わせる幸せな作品でした。

こちらこそ、これからもちょくちょく寄らせていただきますので宜しくお願いします!

コメントを投稿

映画か行」カテゴリの最新記事