く~にゃん雑記帳

音楽やスポーツの感動、愉快なお話などを綴ります。旅や花の写真、お祭り、ピーターラビットの「く~にゃん物語」などもあるよ。

<キエビネ(黄海老根)> 森林の中、遠目にも鮮やかな黄花が林立

2015年05月20日 | 花の四季

【主に西日本に自生、環境省は絶滅危惧種に指定】

 ラン科エビネ属の多年草。エビネが主に関東、中部など東日本に多いのに対し、キエビネは比較的暖かい近畿以西の西日本の樹林内に多く自生する。花の形などはエビネに似ているが、全体に大型なことから「オオエビネ(大海老根)」の別名を持つ。花の黄色が鮮やかなため、遠くからでもよく目立つ。

 花期は4~5月ごろ。高さ40~50cmほどの花茎をまっすぐ伸ばし、1本の茎に10個前後の大きな花を円錐状に付ける。「海老根」は地下茎の形をエビになぞらえた名前。学名は「Calanthe sieboldii」で、江戸時代後期に長崎・出島に滞在したドイツの医師・植物学者のシーボルト(1796~1866)にちなんだ種小名が付けられている。

 エビネとキエビネはかつて日本の東西でほぼ棲み分けていた。ところがエビネの分布域が次第に西日本に広がるにつれて様々な自然交雑種が生まれた。その1つがタカネ(ソノエビネ)。エビネとキエビネの雑種で、四国や九州に多く分布する。他にヒゼン(エビネ×キリシマエビネ)、サツマ(エビネ×キエビネ×キリシマエビネ)などがある。

 エビネ属の植物はもともと近くに分布する同属と交雑しやすい性質を有する。加えて乱獲などで群生地も減少し、純粋なキエビネの野生種は極めて少なくなってきた。環境省のレッドリストでは近い将来に野生での絶滅の危険性が高いとして「絶滅危惧IB類」に分類されている。「ひめゆりの花芽伸び立つ傍らを黄えびね幾つ群れなして咲く」(碇弘毅)。


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