【その名は食用のニラのような臭気から】
ヒガンバナ科ハナニラ属の球根植物。原産地は中南米のメキシコ~アルゼンチンで、日本には観賞花として明治の中頃に入ってきた。繁殖力旺盛で、最近では関東以西で野生化し公園や河川敷などでも見かけられるように。3~5月頃、高さ10~15cmの茎の先端に、直径3cmほどの6弁花を上向きに1輪ずつ付ける。花色には白や青紫、黄色などがある。
ハナニラの名は葉の形が野菜のニラに似て、葉や茎にもニラのような臭いがあることから。ネギ属のニラはギョウザやニラレバに欠かせない食材だが、ハナニラは食用に適さない。ただ「花ニラ」と呼ばれる食用のものもあるから少しややこしい。これはニラと同じ仲間で、花茎とネギ坊主のような若い蕾(つぼみ)が炒め物などの食材になる。
ハナニラにはかつて食用とされたアマナ(甘菜)にちなみ「セイヨウアマナ」という別名もある。ハナニラとアマナは先が尖った花びら6枚の花姿がそっくり。英語では星のような花の形から「スプリング・スターフラワー」というロマンチックな名前が付けられている。学名から「イフェイオン」や「ユニフローラ」とも呼ばれる。「花韮やいつもつましき母なりし」(川上弥生)。(写真は京都・鴨川の河川敷で)