散歩するなべさん

しょうがなくも所在なく散歩するなべさん。近頃野鳥に目覚めて鳥見お散歩の日々。病気もしたけど時には山歩きに物思い旅ね。

猛暑の鳥枯れですから、読書日記でも

2022-08-03 14:27:38 | 

 

暑さを押して、野山散策と出かけても鳥さんさっぱり。
段々とこちらもお出かけの元気がなくなって、引き籠りとなってしまいます。

ですので、久々の読書ネタでもと思う次第。でもってアトランダムに。

 

 


・「独ソ戦ー絶滅戦争の惨禍ー」大木毅(岩波新書)

プーチンのウクライナ侵攻以来、その戦争の傍若無人で裸形の野蛮さは
時代が100年も逆戻りしたような空恐ろしさを与えます。
その野蛮さはもちろん戦前の日本軍のアジア侵略の行為を思い起こしも
するのですが、それにしても兵士の野蛮さを是としつつ、自らも率先して
前面に押し出していくプーチンの鉄面皮共々、日本のそれとどこか質の違いも
感じさせるのであります。あまりにも大陸的ということでしょうか。


第2次大戦での「独ソ戦」についてはスターリングラードの激戦など
はなはだ断片的な知識だけで、全体像を結んでいませんでした。
ソ連側でだけでもおよそ2000万を優に超える死者を出したという戦争。
その戦争の内実は今回のウクライナ侵攻にもどこか地続きになっているだろう
と思っての読書でありました。

ヒトラーとスターリンがまるで合わせ鏡のようになって、
その悲惨さを増幅させていった戦争をつらつら眺めてみれば、
プーチンをヒトラーにもスターリンにもなぞらえてみたくなります。

それにしても大国である隣国の傍若無人に翻弄されてきて、
今また翻弄されている東欧・北欧諸国民の苦難はいかばかりでありましょう。


・「熱源」川越宗一(文春文庫)

「独ソ戦」を読み終える頃、この本が文庫化されて売りに出ました。
単行本の折から少し興味をひかれていましたから早速購入。

明治維新前後から第二次大戦直後までのサハリンを舞台にした群像劇。
皇帝暗殺事件に連座して、流刑となったポーランド人とサハリンアイヌとの出会いを
軸としながらの物語。
否応なく滅びへと運ばれていく民族の運命へ抗して人々の、
時代へ翻弄されながら、それでも生きていく「熱」を描いていくものであります。
こちらも一気に熱っぽく読まされてしまいます。
ビウスツキというポーランド人民族学者、ヤヨマネフクというサハリンアイヌの存在など、
色々啓蒙されるところがありましたね。                                             ウリヤノフというレーニンの兄、大隈重信、金田一京助、二葉亭四迷、横山源之助、                 南極探検の白瀬中尉などもエピソード的に次々と登場したりします。

独ソ戦からサハリンへ転戦してくる女性兵士の話が小説の導入部となっており、
直前に読んだ「独ソ戦」と奇妙に符合するところもありました。


ロシアといえば、ウクライナ侵攻の少し前に読み直していたのが
「カラマーゾフの兄弟」。
若い時に読んだ本は処分しておりましたから、新訳で評判の良さそうなこちら。

・「カラマーゾフの兄弟」亀山郁夫訳(光文社文庫1~5)

評判通りよくこなれた訳文で面白く読みました。若い時に読んだ分は何だか
読んだことがあるのかどうかさえ、記憶があいまいになっておりましたが、
それは訳文の悪さがあったのかもしれません、と訳者に失礼ながら思ってしまいましたな。

 

 


でもって、この流れでチェーホフの戯曲4部作も読み直してみます。

・「かもめ」「ワーニャ伯父さん」「桜の園」「三姉妹」(新潮文庫)

こちらは赤茶けた昔の文庫本のそのまま。
ドストエフスキーのような重々しさはなく、明るいパステル色のイメージですが、
もうひとつピンとこないところがあります。実際の舞台ではどのように演じられるのか
見てみたいと思ったところ。
たしか中村雄二郎がチェーホフを推奨して論じていた思って
蔵書を探してみましたが、見当たりません。たぶん処分してしまったかと。

 

年金生活者ですから、残している古い本を読み直したり、未読の本を
読み解いたりしております。ブックオフで安い本を見つけると買ったりも致します。
それでもたまには世相に近づきたくなって新刊本も無理して買ったりします。
頭で予算を組み立てながら、読書にもなかなか苦労するのであります。


危険な暑さが続く日々、皆さまどうぞお気を付けくださいませ。

 

コメント (2)
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