高校生がメディアを逆取材! あのときテレビは何を伝えたか。あれから十年、何が変わったか。メディア・リテラシーの旅。
★森 達也さんの推薦コメント★
読み終えてつくづく、かれらのビデオ作品の製作過程そのものに、今のメディアの本質が現れていることを実感した。
ニュースは間違える。ときには知っていて知らない振りをする。そしてときには、知らないのに知っている振りをする。そして開き直る。その理由は何か? 保身はもちろんある。競争原理も働いている。商業主義に従属していることも事実だ。
でもそれだけじゃない。もっと大きな理由がある。弱いからだ。高校放送部の部員たちは、その構造を見事に露呈させた。メディアの端に棲息するこの僕は、読みながら恥ずかしさで身が縮む。この弱さは麻痺を促進する。本物のメディア・リテラシーへのヒントがここにはある。
松本サリン事件の真実。善良な一市民が、ある日突然、無差別テロ事件の犯人に仕立てられる恐怖。その疑惑を晴らし、警察、マスコミによるいわれなき人権侵害と闘う著者を支えるものは、今もなおものいわぬ妻・澄子さんの回復を信じ続ける、愛と希望の日々である。
一九九四年夏、長野県松本市、援けを求める一本の電話は思わぬ闇へと繋がっていった…松本サリン事件の記録をもとに、警察とマスコミによる犯人捏造の構造を暴き、真実を求めて闘う人々の勇気を描いた熊井啓監督の最新作。シナリオと監督日誌に加え、河野義行、佐高信、佐藤忠男氏らのエッセイから、事件と現代日本の裏面に迫る。