一身二生 「65年の人生と、これからの20年の人生をべつの形で生きてみたい。」

「一身にして二生を経るが如く、一人にして両身あるが如し」

1968年 反乱のグローバリズム

2018年03月15日 | 社会
「1968年は全てを変えてしまった年ではなかった。それまでにあまりにも多くのことがすでに進行しつつあった。
だが〈68年〉以後はほとんど何ひとつもとのままではなくなった」

なぜ学生が、なぜこの時点で、なぜ事実上西欧世界のいたるところで反乱を起こしたのか?
「ベトナム戦争反対」という共通軸が結果としてあり、運動の形態は似ていても、
原因や動機は各国ばらばらであった。
大学の管理主義への不満や様々の偶然から生じたフランスのパリ68年5月、
シット・インなどの抵抗運動を雛型とした黒人運動に起因するアメリカ、
ナチズムという克服されざる過去の問題と対峙したドイツ、
60年安保以後の左派の分裂、反米闘争、学費値上げ反対などが絡まった日本、
工場労働者と結びついたイタリア、ユニークな形態を示したオランダ、ポップカルチャーの興隆を背景としたイギリス、
そしてチェコ、ポーランド、東ドイツ……
本書は各国の詳細な分析を通し、縦軸と横軸、その可能性と限界を説得的に描く。
〈1968年〉を世界史の中で位置づけた、現代史家による最も評価の高い書。

【目次抄】
パリ、1968年5月
1章 はじめにはアメリカがあった
2章 ドイツ固有の道?
3章 西側世界での抗議運動
日本
イタリア
オランダ
イギリス
4章 東欧での運動
チェコスロヴァキア
ポーランド
ドイツ民主共和国
5章 なんだったのか、なにが残ったのか
「68年」の理念
ドイツ連邦共和国の総決算
原注/あとがきと謝辞/訳者あとがき/訳注/文献抄録/索引
内容
なぜ学生が、ほぼ世界同時に、反乱を起こしたのか?フランス、アメリカ、ドイツ初め日本を含む各国の詳細な分析を通し「1968」を世界史の中に位置づけた快作。
著者について
ノルベルト・フライ
Norbert Frei
1955年フランクフルト・アム・マイン生まれ。1979年、ミュンヘン大学で博士号取得。1979年から1987年、ミュンヘン現代史研究所所員。現在はフリードリヒ・シラー大学イエーナの近現代史担当教授。同時にこの間、1985年から1986年にハーバード大学フェロー、1995年から1996年にベルリン科学コレークのフェロー、2004年にエッセン文化科学研究所フェロー、2007年にハンブルク社会研究所客員研究員を歴任。
著書『総統国家』(1987、2007 第8版、邦訳:岩波書店 1994)『ヒトラー独裁下のジャーナリストたち』(共著 1989、邦訳:朝日新聞社 1996) Vergangenheitspolitik. Die Anfange der Bundesrepublik und die NS-Vergangenheit (1996、2003 第2版) Hitlers Eliten nach 1945 (共編著 2001、2007 第3版) Das Dritte Reich im Uberblick. Chronik. Ereignisse. Zusammenhange (共編 1983 旧版、2007 新版)『過ぎ去らぬ過去との取り組み――日本とドイツ』(共編著 岩波書店 2011)その他多数。

下村/由一
1931年生まれ。東京大学大学院修了。千葉大学名誉教授。ドイツ近現代史専攻。