カモシカさんの山行記録・旅日記etc.

山は心のふるさと。登山(アルプス~低山まで)・ハイキング・小旅行の気ままな記録です。

乗鞍岳 厳冬 <雪山 第6弾>

2014-02-10 | 山行記録

 

   乗鞍岳 厳冬 <雪山 第6弾>

 

  厳冬の乗鞍岳で高山の自然が見せる一瞬の煌き

 

 

 乗鞍岳はおよそ5kmに渡って連なる山々の総称で最高峰は標高3026mの剣ヶ峰。

中腹に広がる森のあたりにはさらさらの雪が降り、冷え込みの厳しい冬ならではの滝が凍りついた景観も見られる。森にはニホンザルやニホンカモシカが見られ、真冬の森でわずかな恵みを糧に生き抜く。
乗鞍岳は氷点下20度まで下がることがある。東には中央アルプスが臨み、その奥には南アルプスが続いている。北には穂高連峰など北アルプスの山々が一望できる。

 

 気温が高い日であった。大きな高気圧圏内ではあるが、夜半から早朝まで、

 この時期のクリアな青空ではなくもやっている。

 冬型が緩み、平地では穏やかな陽気となるであろう1日であった。(因みに、静岡で18℃あった)

 高気圧の中心は足早に日本の東へ抜け、夜には次の低気圧が接近し、

 翌2/2は全国的に広く雨模様の予報だ。高山では、一気に荒天となる可能性大である。

 今回の山行実施にあたり悩む。

 行けるところまで行こうと、気温の高い中 序盤は汗だくで登る。

 位ヶ原に出ても風は微風で、青空をバックに乗鞍岳は真っ白な姿で手招きしていた。

 しかし、通常遠望できる中央アルプスも南アルプスも靄った空の中では見えない。

 かろうじて、北アルプスの奥穂~前穂がうっすら視界に入った程度。

 前置きが長くなるといけません。このような状況だということを念頭に置いて

 本記事をご覧ください。終盤の出来事は、読み進める上で確認くださいませ。

  

 

  朝のスタート

 

 もちろん選択は、「かもしかコース」! 笑

 

 取り付きは、林間ツアーコースを登って行く。

 冬期はほとんどの人が山を滑るのが目的のバックカントリースキーヤー&スノーボーダーの方たちです。

 

 両脇に雪で覆われた針葉樹林があるので、風もあまりなく快適に登って行ける。

 前半は、急登なのでこの日の高い気温では、汗だくで登ることとなった。

 

 ウサギの足跡 み~~つけた!

 

 後足の形や爪の形までくっきり観察できます♪

 

 樹林の上に、真っ白に輝く乗鞍岳の姿を見ると テンションが上がる。

 奥に見えるのは、高天ヶ原(左)と乗鞍の剣ヶ峰(右)。

 林間ツアーコースには、丸札で①~⑥番まで番号がふられていることに気づく。  

 

 樹林帯は、アウターを脱いで、スノーシューで軽快に登っていく♪

 

 唯一文字が書いてあった看板。 さあ、いくぞ~~~!

 ⑥番を越えて急斜面を登って行くと、森林限界の広大な雪原「位ヶ原」はすぐそこだ。

 

 先行するバックカントリーのスキーヤーたちに追いつく。

 樹林帯を抜け、爽快な青空が大きく広がり 実に気持ちいい♪

 

 乗鞍の最高峰:剣ヶ峰がどーんと視界に飛び込んでくる!

 

 位ヶ原に飛び出して、後方を振り返る。小鉢盛山と野麦峠スキー場(中央の白い山腹)が見えているが、

 背後の空はもやっていて、山脈も霞んでいる。

 

 

 「位ヶ原」上の雪原のようすです。文字通り、雪の平原しかありません・・・・。 

 ここまで来ると標高2350mとなり、雲の上の人となれます・・・。

 

 厳冬期はこれが道というものは無く、雪の上を自由に歩けますので、

 ここからは真正面の尾根をダイレクトに登って行く。

 

 高天ヶ原

 

 乗鞍三兄弟・・・・・右から、朝日岳、蚕玉岳(こだまだけ)、剣ヶ峰。

 

 コルは肩の小屋。右へ、摩利支天岳~富士見岳~大黒岳

 

 乗鞍岳方面を見ると、ドォ~~ンと雄大に乗鞍岳がすごく間近に聳えて見えます!

 「わぁ~、きれい!!」  <厳冬期の山の女王>と形容しておこう♪

  

  剣ヶ峰をアップで! もうすぐあそこに立つんだ!

  夏場は何回も登っているが、厳冬期の登頂は初めてだ。期待が膨らむ♪

 

 位ヶ原も登るにつれて 少しづつ角度が変わって山の見え方も微妙に変化する。

 

 高天ヶ原

 

 剣ヶ峰

 

  摩利支天岳~富士見岳~大黒岳

 

 右手には、北アルプス:奥穂~前穂の眺め(クリアなら槍ヶ岳も望めるはず)

 

 

 

 肩の小屋口 (休憩していたパーティに追いつく)

 

 肩の小屋口からの眺め ↑  ↓

 

 

  肩の小屋口から肩の小屋へ。。。

 

  白き大自然を満喫しつつ登る。

 

 

 肩の小屋を目指し、やや急な登りに入る。 気持ちよい登りであるが、

 時折、上部から吹き降ろすようなブリザード! 

 

 

 

 

 風が強いので煽られてバランスを崩さないように注意して、急斜面を登っていく。

 

 肩の小屋が近づく。

 

 シュカブラ

 鋭くえぐられた形状から 如何に激しい強風が吹き降ろすかが読み取れる。

 

 位ヶ原の穏やかさから一変。剣ヶ峰方面は、怪しい雲が広がり始めた。

 一気に風も強まる!

 

  摩利支天岳の山頂には コロナ観測所。

 

 肩の小屋、到着!

  雪が吹き飛ばされて、地面が露出している部分もあり。 

 

 雲ひとつなかった青空が、強風と共に雲が流れ飛ぶ!

 

 強風に煽られながら、千晴の記念撮影。

 カモシカは踏ん張り、千晴が飛ばされないようにしっかり支える。

 千晴の耳も強風で曲げられる。

  

 風が収まった一瞬に写真を撮っていただく。

 乗鞍岳・剣ヶ峰山頂方面は、アイスバーンのコンディションであることが見て取れる。

 この先は、アイゼン・ピッケルは必須! 滑落の危険が高いので注意しながら登って行くとしよう。

 

 あとワンピッチで山頂だ。風は強くなったがフル装備で準備よし。気持ちが高まる。

 一緒になったパーティは、山頂or稜線からスキーでドロップする模様。

 時折、風が弱まる僅かな合間を縫って、肩の小屋の風下でアイゼンに履き替える。

 突然、足が攣った<つった>。 まともにストレッチもできず、苦痛に顔が歪む。

 山で足が攣るなんて、初めてだ。焦った。 痛さを堪えつつもストレッチで回復。

 やれやれと足を着くと 次の瞬間、間髪を入れずに また攣った!

 トリプルアクセルならぬ 「トリプルこむら返り!」

 ストレッチしつつ、呼吸を整え 痛みも落ち着いた。

 しかし、精神的にも、肉体的にもダメージが大きかった。

 風も強まり、雲の動きも怪しい。先へ進んで、また攣ったら・・・・。

 行動不能のシーンが、一瞬頭を過ぎる。。。。。

 天気図からも低気圧が接近していることは、明白だ。

 

 剣ヶ峰に雪煙が上がり、蚕玉岳中腹でも雪煙が激しく巻いている。

 剣ヶ峰<3,026m>は 目前なのに、登頂に踏み切る勇気がなかった。

 

  ブリザードが勢いを増して吹き降ろしてくる! ここで下山を決める。迷いはなかった。

  これ以上のブリザードは経験しているし、それだけならGo!であった。

  その後予想される荒天と 万一、また足がつって行動不能となった時の単独雪山登山のリスクは

  自己責任だ。「前進」か「撤退」か。。。。。遭難の多くは、引き返すチャンスを逸してしまうことにある。

  弱気と思われる方もあろうが、余力がある内の撤退を決めた。

 

 さっき登ったこの斜面の鋭角的なシュカブラは、瞬く間にブリザードでのっぺりと雪を被せられた。

 トレースもかき消されていく。

 

 早く安全圏に降ろう。 ブリザードは容赦なく続く。

 

 「月の砂漠」なら ロマンティックだが、

 ブリザードの「風雪の砂漠」は 辛い。

 

 ブリザードが収まったので 剣ヶ峰方向に視線を向けた。  その時!

 

 突如、剣ヶ峰の左に竜巻!

 

 螺旋状に高速回転している。 巻き上げるものは雪しかないので、真っ白だ!

 剣ヶ峰に向かって進んでいったが、やがて 稜線で消滅し こちらへの影響はなかった。

 

  下山途中の位ヶ原下部にて。ここまでくれば一安心。

  登りの時と比べて、こんなに変化してしまった。 雲一つない青空は、今何処。

 

 樹林帯カモシカコースを下る。白黒写真か?と思わるモノトーンの世界へ。

 登り始めの画像と比較すると一目瞭然。

 

  雲一つない快晴のスタート時とは、雲泥の差の天気。

  天気予報どおりの天気となった。 無理して、山頂アタックをしなくてよかった。

  それにしても、山の天気変化は早い。

 

  麓から乗鞍岳を仰ぐ。  雲の中に消えた乗鞍岳。

  かろうじて、薄ら 高天ヶ原の一部が幽かに見えている。

  山の神様が「今日は、登るのはやめておけ。」というメッセージを

  足が攣るというシグナルにして教えてくれたものと佳きに解釈した。

  山は逃げない。また来ればいいさ。

 

  こんな快晴の日に リベンジすることを心に誓うのであった。

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4 コメント

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Unknown (つれぞう)
2014-02-13 19:31:50
昔若き頃 乗鞍にはスキーを担いでGWに毎年行ってました。剣ヶ峰直下からの滑降はスリル満点でした。5月でも山頂到達率は7割 3000mの雪山はいつでも危険です。
つれぞうさん (カモシカ)
2014-02-13 22:10:51
優美に見えても厳冬期の3,000m級の高山は、侮れない厳しさがありますね。剣ヶ峰からの滑降なんて、カッコーいいですね! 今度厳冬期の乗鞍へ登りましょうよ。
それから、スキーも教えてください。(もちろんゲレンデから)
Unknown (飯塚真穂)
2020-02-07 17:41:08
石田三成
Unknown (乗鞍岳)
2020-02-07 17:41:24
乗鞍岳

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