稽古なる人生

人生は稽古、そのひとり言的な空間

№133(昭和63年3月12日)

2020年11月21日 | 長井長正範士の遺文
新語部門
金賞:「マルサ」伊丹十三・宮本信子
銀賞:「JR」杉浦喬也(国鉄清算事業団理事長)
銅賞:「第二電電」森山新吾(第二電電社長)
表現賞:「サラダ記念日」俵万智(ベストセラー歌集)
    「朝シャン」資生堂セールス商品事業部
流行語部門
金賞:「懲りない〇〇」安部譲二
銀賞:「なんぎやなぁ」辛坊治郎・森たけし
銅賞:「ゴクミ」後藤久美子(美少女タレント)
大衆賞:「マンガ日本経済入門」石ノ森章太郎
    「ワンフィンガー・ツーフインガー」村松友視(ウイスキーの量)
    「サンキューセット」勝田 田(日本マクドナルド社長)
特別部門
特別功労賞:「“国際”国家」中曽根康弘
特別賞:「鉄人」衣笠祥雄



流行語部門の金賞は、刑務所体験を描いた安部譲二氏の小説「塀の中の懲りない面々」から、地上げや財テクに狂奔する現代人の姿を連想させる「懲りない〇〇」が、特別部門は中曽根前首相が繰り返し発言した「“国際”國家」、連続試合出場の世界記録を達成して引退した広島カープ、衣笠選手の代名詞「鉄人」と、それぞれ表舞台を去った二人に関する言葉が生まれたのです。朝のシャンプー(モーニングシャンプー)を縮めた「朝シャン」、ノッてるかと思うとサメている新人類サラリーマンの特徴を表現した「ノリサメ」などがピンとくる人は、流行語感覚のサエている人。日本一から一転して最下位に落ちたタイガースに、ファンのテレビリポーターが、ため息まじりにぼやいた「なんぎやなあ」には同感の声も・・・・。

〇又“業界用語”というのが、どこの世界にもあるようです。政界にも、マスコミにも、ヤクザの世界にも。その分野や職域だけに通用する独得の言葉や、言いまわしや、符丁などで、たとえば「先生、ご案内のように・・・」というのは霞が関官庁街周辺の気になる業界用語の一つと言えましょう。「ご案内」とは、ご存じや、ご承知というほどの意味で、それだけなら、さして奇妙ではないですが、この業界用語には、「内情については先刻ご承知でありましょう。この問題でヤボなご質問などして下さいますな」というニュアンスがあり、先手をとって質問を封じてしまう、けん制球的な高等戦術だ、と解説する人がいました。

今、日本国中を悩ませている業界用語は、竹下語録といわれています。『お一人お一人の努力の積み重ねでありまして』『幅広くご意見をうかがいながら』『汗をかいて、粛々とやってまいろうかなと、考えております。』など、本音をみせぬ、ぼかしの手法は、竹下首相一流の政治スタイルでありましょうか。その点、昔漢文を習っておりました時代が、なつかしく思い出されます。中学時代、漢文の先生が、「鬼(オニ)ト会ったら帰れ」と読み方の基本を明快に、「何々ヲ」「何々ニ」「何々ト」読んだらその字の上にかえって読むんだ、と板書きされたのを見て、何んと漢文は面白い読み方をするんだな!と初めは思っておりましたが、だんだん、と簡にして要を得、ずばり心よく判る漢文に魅力を感じ好きになったものです。続く
コメント
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