
音楽には、一般的にクラシック、ポップス、ジャズ、ロックなどでは、「調性」を決めて曲が書かれます。
「〇〇〇協奏曲 ハ長調」 とか、「交響曲△△△番 イ短調」など、曲名に調性が付いていることもめずらしくありません。
ポップスやジャズでは、書いてないですけどね。
これは、クラシックでは、調を変えて演奏するということが、基本的にないからです。
数多くの弦楽器、管楽器、(ティンパニなどの音程のある)打楽器で演奏されるクラシックは、
基本的に、その楽器の得意とする調性を元にして、曲が書かれているからなのです(それを逆手にとるケースもありますが)。
ですので、調を変えると、その曲が物理的に演奏できなくなることだってあるわけでして、ですので、最初から調が決定いしてるのです。
ポップスやロックは、歌い手がいるケースが多く、当然、ケースバイケースで、曲のキー(調性)がかわることもしばしばあります。
また、使用される楽器も、転調が容易なものが多く、ピアノなどはその代表ですが、
どんな調でも、楽器そのものの問題で弾けない、ということはまずないのです。
(当然、慣れによって、弾きやすいキー、弾きづらいキーはありますけどね。)
また、ギターなどは、バイオリンなどと同じく「解放絃」というものがありますから、
弾きやすい調、嫌な調はあるのですが、カポの使用や、半音下げチューニングなどを行うことで、
管楽器などと違って、比較的、どんな調性の曲でも弾けるのです。
でもやっぱり、調性によって、響きの明るい、暗い、というのは、絶対音感がなくても、感じることはあります。
聴き慣れの問題かな、と思っていたのですが、どうやらそうではなく、
やはり、倍音という、音響学的な根拠基づいて、その理由は明らかにもなっているのです。
そういったことを、こうして本などを通して勉強するのも、また楽しいものです。
「嬰二短調(変ホ短調)」は、「♭(フラット)」、または「♯(シャープ)」が、いずれか6個もつくという、
ちょっと譜面の見辛さではナンバーワンでは、といえる調ですが、
実際、クラシックでもこの調は避けられることが多かったそうです。
ロックでは、単純に一番弾きやすい「Em(ホ短調)」で曲を作って、半音下げチューニングで弾く、というのはよくあります。
生楽器を使用して、半音下げチューニングなどはしないジャズでは、やはり、演奏のしにくさ故か、避けられることが多いのですが、
そう、「ROUND MIDNIGHT」という、名曲中の名曲が、この調でした。
作曲者である、セロニアスモンクのオリジナルバージョン。
そして、
より聴きやすい、ビル・エバンスのトリオバージョン。
そして。
圧倒的な美しさではこの人が一番です。
キース・ジャレットのソロピアノバージョン。
「夜」と「ジャズ」を、これほど感じさせる曲は他にないでしょう。
メロディとコードの素晴らしさ、面白さは勿論、
この難しいキーだからこそ、いつか、しっかり弾きこなしてみたい、そんな曲です
。
ではー。