「ミケランジェロ・プロジェクト」
ジョージ・クルーニーが自ら製作・脚本・監督・主演を務めた作品。第2次世界大戦で
ヨーロッパ各国に侵攻したナチスドイツが重要な美術品略奪を繰り返していた中、ル
ーズベルト大統領から任務を託された7人の美術専門家チームが、危険な状況下で
美術品保護のための作戦を遂行して行くサスペンス映画です。
主演のクルーニーほか、マット・デイモン、ビル・マーレイ、ジョン・グッドマン、ジャン・
デュジャルダン、ケイト・ブランシェットという豪華キャストでもあります。
映画の展開にもう少し起伏をつけるとか、戦闘に無縁のチームならではの滑稽さを
加えても良かったと思いますが、実話を基にした作品だそうですから仕方無しかも
しれません。それにして1人4役(製作・脚本・監督・主演)をやり遂げたジョージ・ク
ルーニーの奮闘ぶりには脱帽です。
「シネマの天使」
122年間の歴史を誇るも、建物の老巧化などから去年の8月に閉館した広島県
福山市のシネフク大黒座が舞台です。映画館の閉館をめぐるさまざまな人たちの
思いを、大黒座での実話などを盛り込みノスタルジックに描いた作品で地元が大
応援した作品のようです。
監督は本作同様に広島を舞台にした「ラジオの恋」を手がけた広島県出身の時川
英之。出演は藤原令子、本郷奏太、石田えり、ミッキー・カーチスに、先日亡くなっ
た阿藤快も出ています。
作品を見ていて、地元の応援や協力が並大抵ではなかったことを感じますが、そ
れでもこの程度の作品しか出来なかったのかと思います。この原因はスタッフ・
キャストの貧困です。作品の中のセリフで、最近はテレビなど無料で見ることが
出来る映像が多いことが映画館の衰退を招いている…とありますが、この作品の
完成度ではお金を払ってまで映画館に来てくれないでしょう。
画面に永田雅一社長や大映関西支社の名前が何度か出てくるので邦画も上映
していたのでしょうが、ラストに出てくる壁一杯に貼られたチラシは洋画のみとい
うのも不思議でした。残念作としか言えません。
原節子さんにしても川崎敬三さんも、亡くなって数か月後に発表されるなんて切ないですね。
台湾から帰ってまたまた精力的に映画を見ていますが、最近の作品は質がどんどん落ちて
来ているのがこれまた切ないです。
ご旅行に川崎さんの訃報と、いろいろと気疲れだと思いますが、どうぞご自愛ください。
珍しく洋画にコメントします。ナチスドイツから美術品を守るというモチーフの作品に、バート・ランカスターとジャンヌ・モローが主演した「大列車作戦」がありますね。バート・ランカスターがフランス人に見えないのがご愛敬ですが、美術品を積んだ列車を、ぐるぐる同じところを回らせるという作戦が珍しかったです。「ミケランジェロ」も見ようと思います。