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中島けんです。新しい映画や舞台の感想を中心に、大映の思い出、海外旅行・地元の話題などを写真付きで書かせていただきます。

大映宣伝部・番外編の番外 (75) わがうるわしのカツライス 筆者・林 万夫

2015年08月03日 | 日記

   

     先達て私の大映時代の親友・林万夫のお嬢さんから、拙著「タアのいた季節/わが
     青春の大映回顧録」の感想が届きましたのでご紹介しました。
     実は感想と一緒にお父さんの遺稿が送られてきていたのです。彼が事故死した少
     し前に大手の雑誌社ではなく、同好会用に書いた原稿らしいのですが、大変面白
     いので三~四回に分けてアップします。
     この原稿の関係者の方が、もし居られたら、どうか掲載をご了承くださいますよう
     お願いします。


    「わがうるわしのカツライス」① 林 万夫(もと大映本社宣伝課長)

     かつて、大映映画の名物に「カツラスス」というのがあった。カツライスといっても
     食物のそれではない。
     「カツ」は勝新太郎の勝で「ライ」は市川雷蔵の雷、最後のスは複数のSを意味す
     る。昭和40年頃に私が言いだして、一部のマスコミにも流用された一種の流行語
     である。

     この二人の主演映画を組み合わせた番組が、正月とかゴールデンウィーク、お盆
     など、興行界の書きいれどきには必ずといってもいいほど登場したので、「いささか
     食傷ぎみのお定食」と皮肉をきかせたところがミソである。
     なにもお定食が悪いというつもりではなかったが、どんなにカツライスが好きな人
     でも毎度のことではアキがくるというものだ。

     当時、私は大映本社の宣伝課長をしていた。映画会社の宣伝マンというのは、そ
     の頃は宣伝広告業界の花形で、あの手この手の奇策を弄してはマスコミの話題を
     さらったものである。現在レコード界やテレビの番組宣伝で、さも目新しげに行って
     いる各種の売り込み作戦の原型は、ほとんど私たち映画宣伝マンがやりつくした
     ものといっても過言ではない。

     たとえば新人の売出しのためにマスコミ好みの話題をデッちあげたり、水着やヌー
     ドを週刊誌のグラビアに特写させたり、話題作の内容にちなんで各種の催し物を企
     画したり、スキャンダルから美談まで、スタアの話題をあおったり、といった類のこ
     とは、すべて私たちがなけなしの知恵をしぼって考え出したことであった。
     更に各作品のキャッチフレーズ(惹句)を通して、それぞれの時代を先どりした流行
     語を生み出したりもしたが、冒頭の「カツライス」もその一つであった。 (続く)

      





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