昨日、インド旅行のことを書いた際に、最近よくインド映画を見ていることを
書きました。近隣の国が抗日を題材に取り入れているのとは大違いだし、登
場人物の心情が日本人と共通しているところがあるので、余計親身に思え
るのでしょう。という訳で今日もインド映画です。
主人公バルフィ(ランビール・カプール)は、生れつき耳が聞こえず話もできま
せんが、表情と身ぶり手ぶりで己の感情をストレートに表現する純粋な青年
です。
偶然に出会った絶世の美女シャンティ(イリアナ・デクルーズ)は、資産家の男
性と婚約しているのですが、言葉はなくても情熱的なバルフィに惹かれ恋に
落ちます。
しかし母親に大反対されて、婚約者との安定した未来を選ぶのでした。
一方、バルフィの幼なじみのジルミル(プリヤンカー・チョープラ)は、人づきあい
が苦手で心を閉ざして生きてきた自閉症少女。偶然バルフィと再会、その優し
さに心を開いて行きます・・・。
明るく生きる主人公が2人の女性の不幸な人生を好転させていく物語も感動
的ですが、チャップリン作品をはじめ、数々の名作映画にオマージュをささげ
たシーンも見どころで楽しいです。
インドは年間約1000本の映画を製作していますが、これはアメリカとほぼ同数
です。技術面でも早くからハリウッドと提携しており、優秀な技術者が上手く育
ったのでしょう、今作の脚本・監督はアヌラーグ・バスですが、演出の巧みさと、
俳優の使い方の上手さに舌を巻きます。
主人公も熱演ですし、愛情を受けずに育った女性ジルミル役は、ミス・ワール
ドのプリヤンカー・チョープラは、監督の好リードでピカピカ光っています。
更に今作も従来のような歌と踊りではなく、自然な使い方が微笑ましいです。
上映時間は151分ですから、正直言って少し説明不足かなと思わぬ場面も無
くはないのですが、それ以外が素晴らしく、久しぶりに涙腺が緩んで、細かい
点はパスです。とにかく絶対のお薦めです、是非ともご覧ください。