映画が中心のブログです!

中島けんです。新しい映画や舞台の感想を中心に、大映の思い出、海外旅行・地元の話題などを写真付きで書かせていただきます。

映画 「サンザシの樹の下で」

2011年08月30日 | 日記

 

     今や世界的な名匠の一人とまで言われるようになったチャン・イーモウ監督
     が、新たなミューズを得て撮った実話に基づく純愛映画と聞いていて楽しみ
     に待っていた作品です。

     この作品の背景・舞台は文化大革命下の中国です。
     都会育ちの女子高校生ジンチュウは、再教育のために送られた農村でスン
     という青年に出会います。
     エリートでありながら明るく誠実な彼に思いを寄せるようになったジンチュウ
     でしたが、それは身分違いの許されない愛だったのです。
     一生に一度の運命の恋をする二人に、時代という障害が大きく立ちはだかる
     のでした・・・。

     まずいいことから書きますと、チャン・イーモウ監督が国内の芸術学校を回り、
     2,500人の中から探して女子高校生役に抜擢したチョウ・ドンユイは素晴らし
     い逸材です。
     デビュー当時の山口百恵の面影を宿している彼女は、映画初出演にもかか
     わらず、男の人と一緒に布団の中に入っただけで妊娠すると思い込んでいる
     ような純情女子学生役を上手くこなして合格点だし、相手の青年役ショーン・
     ドウも好感の持てる演技でこの人も将来が楽しみです。

     問題はチャン・イーモウ監督です。
     森や川での場面の美しさはイーモウ監督ならでわの映像で楽しませてくれる
     のですが、挿話を継ぐごとに字幕で説明する手法は、昔の無声映画を見てい
     るような気を起こさせます。
     しかも全体的にスローテンポだし、見ていて歯がゆくなってきます。

     中国では記録的な大ヒットだそうですが、中国以外でどれだけ評価されるか
     疑問だし、サンザシの花は本来は白いのに、ここにあるサンザシは日本軍に
     殺された多くの中国人の血が浸みて赤くなったという挿話が冒頭にあり、文化
     大革命で数千万人を死に追いやったことはそっち退けの描写で、期待していた
     気持ちが白けました。

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする