ON THE ROAD

適当に音楽や映画などの趣味についてだらだら

『アメリカン・スナイパー』

2015-02-26 19:24:10 | 洋画
オスカーは逃したものの前評判も高くすごく期待していた。実際に観てちょっと気は早いものの2015年ベスト映画と言っていいと思った。しかしながら、劇場の方はオスカー効果もなくサービスデーにもかかわらずまばらな客入り。大丈夫かいなこの映画館は。


実際にイラク戦争で160人を殺した伝説的なスナイパーの物語をイーストウッドがメガホンをとったこの作品。何かと『ブラック・ホークダウン』を引き合いに出されているが、自分はこちらの方が好きだな。
物語は初っ端から少年を殺そうとしているシーンから始まるが、その後の展開を暗示しているようでもある。ただ、舞台は常に戦場というわけではなく戦場とアメリカ国内の日常を行き来しているが、それによって一層戦場の悲惨さが伝わって来る。日常生活でも物音に反応してしまうなど、徐々に心を蝕まれていく姿が生々しい。ただ、回復していく姿はもう少し丁寧に描いてもよかったんじゃないかな。
戦争による精神的な変化も重要だけどもちろん戦闘シーンも迫力満点である。特に敵スナイパーとの戦いは緊張感には触れている。

ラストは「あれっ」て言いたくなるくらいあっけないが、実際に起こったことだからしょうがない。せっかく幸せを取り戻したと思ったのに帰還兵に殺されてしまったとなったら家族はたまったものじゃないだろうな。
葬儀のシーンは違う感じの映像だったが実際の映像だったのかな。

多少アメリカ側に肩入れした感はあるものの、戦争を肯定したというわけではなく、かといって反戦映画でもないと自分は感じた。ただ、イラク戦争について自分はあまりに無知であったなとはつくづく思った。

エンドロールはまさかの無音と来たから驚き。わりと思いつきそうなアイディアではあるが実際にこれをやったという作品は思い浮かばないな。
音楽にクレジットされていたのはイーストウッドとエンニオ・モリコオーネとヴァン・モリソンの「Someone Like You」であった。今ヴァン・モリソンを久しぶりに聴いているが、若いころはミック・ジャガーみたいな歌い方だな。