ポリティカルセオリスト 瀬戸健一郎の政治放談

政治生活30年の経験と学識を活かし、ポリティカルセオリストの視点から政治の今を語ります。気軽にコメントして下さいね!

拝啓、市民のみなさまへ

2007-12-07 02:48:56 | 市議会議員として
※2007年12月6日草加市議会12月定例会の開会日、瀬戸健一郎は草加市監査委員に選任されました。
「監査委員は教育委員会とは異なり、委員会という合議体ではなく、代表監査委員と議会選出の監査委員がそれぞれ使命を果たすことになります。議選の監査委員として、厳しく監査を行ってまいりますので、引き続き皆さまのご指導をたまわりますよう、よろしくお願いいたします。」と、本会議で就任の挨拶を行いました。(議長は新任の芝野勝利議長)


拝啓、市民のみなさまへ

師走の候、ますますご健勝のこととお慶び申し上げます。

11月はこのブログ始まって以来、初めて、まったく記事の更新が行われない月になってしまいました。綾瀬川左岸の草加市文化会館の向かい側にあったハリオテックという会社に、木下市長が今年2月、430坪もの草加市民の普通財産を払い下げてしまったことにより、5,000㎡もの整形地が誕生し、これがマンション開発されることになってしまったり、6月に提案した草加市暴力排除都市宣言がようやく今議会に提案されましたが、その間に、市内で暴力団事務所の大移動が完了してしまいました。

今日は、今議会に提案された草加市の機構改革(市役所の組織変更)とそれにともなう教育委員会の職務権限の特例に関する条例(教育委員会の独立性を脅かす提案内容)について、みなさんで、お話ししてみていただきたいと思って久しぶりにこのブログ記事をアップしています。

これまで体育イベントや文化イベントは、以前の機構改革で教育委員会を2部制にして、生涯学習部を立ち上げて、教育委員会として対応してきたわけですが、これがまた課に降格。すべての体育イベントと文化イベントは教育委員会の所管から市長部局に移されて、一元管理される体制になっていく、というのが、この議案の問題点です。

木下市長は「市長部局ですべてのイベントや市民活動を一元管理する方が、市民にとって便利。」という認識のようですが、果たしてそれだけなのでしょうか。

何のために教育委員会は存在しているのでしょうか?
それは学校教育、社会教育、生涯学習といった地域の教育力や教育そのものが、政治の関与を極力受けないようにとの目的。政治と教育を分離する大原則を守る唯一の砦とするためだと私は思います。この議案はその原則を根底から揺るがす重要な機構改革です。

教育委員会内部で、十分にこの体制に移行することが議論されていたのか、委員会の議事録などが残っているのかを調べてみると、これが公式の議題に上ったことはなく、協議会での報告のみで、議事録は残っていないことが分かっています。唐突とも感じさせる動きですが、教育委員会の独立性・独自性は市長の権力の下では弱い立場なのでしょうか?

議案では、この機構改革の受け皿として、市長部局に自治文化部という新しい部が設置されることになるのですが、この中身は、「草加市みんなでまちづくり自治基本条例」に則ったポーズだけで、その実は、市民まつり、宿場まつりなど、スポーツ&文化施策以外のイベントや市民活動も、これに合わせてここにすべて集約させるためのもので、草加市の政策決定に市民を積極的に参加していただくためのものではありません。つまり自治とは名ばかりの、市長による、市民活動&イベント動員型の組織が完成することになります。
※新設されようとしてる自治文化部は総合政策部と明確に区別されています。

この機構改革が通れば、木下市長がすべてのイベントと市民活動を直接管轄することになりますから、まさに大政翼賛体制が創られることになるのです。それは木下市長の3期目の選挙にもつながるのですが、このことを、まだほとんどのみなさんが気づいてはおられせん。

私は昨日付けで、自由市民クラブ議員団の団長を辞任しました。後任は、佐藤勇議員です。議会選出の監査委員にご推挙いただいたからです。そして本日の本会議開会日での人事などの処理が終わり、いよいよ来週から本格的にこの件についても議会は動いていくでしょう。しかし、十分な関係市民団体への説明や調整も終わらぬまま、先月末になって急遽、教育委員会に職務権限の特例が指示されて、組織改変の議案はすでに議案として今議会に提案されてしまっているのです。閉会日までのごく限られた時間しか、実質審議には残されていないのが現実です。

さあ、市民のみなさん。どうしたら、いいでしょうか?

私はこれが、草加市のデモクラシーにとって大きなチャレンジ。正念場だと感じているのですが、あなたは、そのような感覚を共有してくださるでしょうか?

とても急な、問題提起ですが、木下市長から突きつけられた問題です。もし少しでも、あなたが一緒に考えてくだされたら、幸いです。

またまた、長々と、申し訳ありませんでした。

2007年12月6日

瀬戸健一郎
Kenichiro Seto
草加市議会議員
Soka City Councilor
草加市監査委員
Soka City Auditor

※参考記事「教育委員会改革が焦点」(読売新聞2006.11.4)はこちらをクリックしてください。この記事は教育委員会について、さまざまな見地から課題点を端的に整理したものだと思います。
※この記事の中段にある「教育委員会制度は政治からの独立を保つため、1948年に導入された。首長から議会の同意を得て任命された教育委員が事務局を監督する仕組みだ。しかし、近年、形骸(けいがい)化が指摘されている。 」という部分が重要な部分だと思います。
※上記の設置目的が形骸化されるのは市長が予算と権限を事実上、握り続けたまま、教育委員長に地域のあらゆる分野の教育と教育環境に積極的に関与する、テキサス州の「教育コミッショナー」に認められているような実権を与えようとしないことが最大の問題点なのだと思います。
※これは教育に関する政治の問題です。教育改革に専門的に取り組む人材と組織を政治がもっと尊重することで、実効力のある教育委員会をつくるべきです。政治が教育に関わるとは、そのようなことをだと思います。


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3 コメント

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恐ろしい動きです (バットマン)
2007-12-07 11:12:11
大政翼賛会とは古めかしい表現ですが、まさにそういう体制になろうとしています。

市長部局がスポーツ・文化イベントを支配するようになったら、きっと市長選挙の時に大いに役立つでしょうね。
市長に協力しない団体に対するプレッシャーは相当なものになると予想されます。

3つのまつりの合同開催もその動きの一貫なのかもしれませんね。
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人を信頼することが大事。 (市民Q)
2007-12-09 01:06:58
>教育改革に専門的に取り組む人材と組織を政治がもっと尊重することで、実効力のある教育委員会をつくるべきです。政治が教育に関わるとは、そのようなことをだと思います。

この指摘に同感。政治家の仕事は行政実務じゃない。その実務に信頼できる人事をすること。そしてその人事に信任すること。真のリーダーを待望する。
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まさに平成の大政翼賛会草加版 (ようすけ)
2007-12-19 21:09:14
権力者が自己の体制を維持するという私的な目的のために公の組織を作り、その組織を以って市民に強い影響力を持つということは、平成の大政翼賛会というのが適切だと思います。
市民の有志が作ったというような「○○の会」というような私的な組織ならよいのだが、市長部局という市役所の組織を私物化することは許されない!

文化、スポーツ活動というものは政治と一線を画して、政治に左右されること無く行われることが基本です。でないと文化やスポーツのあり方が歪められ健全でなくなるからです。だから、教育委員会という独立した、権限を持つ組織が統括することになっているわけです。

もう一つの問題として、残念ながら教育委員会の権限や存在が市長という権力者によって形骸化させられていることがあげられます。この実態も改められるべきでしょう。

また、市長部局が文化、スポーツを統括することは政治の介入という問題は別にしても、役人仕事でどれだけクリエイティブなものが出来るのか疑問です。
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