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「猫目小僧」

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 週間(週刊)女性セブンをパラパラと繰っておりますと、何と、楳図かずお先生の「猫目小僧」が掲載されておるではないですか。もう随分昔の楳図作品のリバイバル連載のようで、この分の「猫目小僧」も昔々の少年誌に連載された「妖怪千手観音の巻」の一部ですが、僕は実はこの「妖怪千手観音の巻」というエピソードは読んだ事がなく、これが、当時のどの少年誌に掲載されていたのかは知りません。「猫目小僧」が最初に発表された「少年画報」ではないと思うから、その後の長期連載の「少年キング」か、それからしばらくして連載された「少年サンデー」か(?)。解りません(少年キングのような気はするけど‥)。僕の読んだ事のあるコミックス単行本ではこのお話は収録されていなかったような‥。僕の読んだ記憶にあるのは、「妖怪肉玉の巻」「妖怪潮まねきの巻」に「小人ののろい」‥くらいですね(収録されてたけど、その刊は読み落とし‥、かも)。

416247903  「妖怪千手観音」のお話は、もうまんま昔話の言い伝えか怪談話のような、シンプルなストーリーでした。美貌のおばさんの尼さんが、自分の深く信心する木製彫りの千手観音像に生血を飲ませている。その生血採取の為に、尼さんは殺人を犯している。尼に捕らわれた猫目小僧の前で、今正に木彫り像が動き、妖怪千手観音が生まれようとする…。というところまででした。この号の女性セブン掲載分では。


 これで知ったんですけどねえ、小学館では豪華版の楳図漫画群を新たに出版しているし、何でもこの「猫目小僧」、今年の夏頃に映画公開するそうじゃないですか。実写版で。何か「おろち」も映画化決定らしい。僕は、少年時代に魅了された当時の少年サンデー連載の、怪異美少女「おろち」は、ちょっと誰がやるのかにはうるさくなりそうな感じ。というか、ヘタな女優ではやめて欲しい。ただ単に美少女というだけでは。でも、この役にハマル女の娘って難しいよねえ。相当(何か、映画が出来てみれば、オロチ役の娘見て、がっかりしそうな悪い予感があるのは、僕だけでしょうか?)。
 楳図かずおさんの、漫画作品群はもう何度も、コミックス単行本文庫で出版されていますけど、ここに来てまた俄かに楳図怪奇漫画ブームが訪れているようですねえ。当の先生自身は利き腕を悪くされていて、もうしばらく執筆はされていないようですけど。

Nekome_swc01 Nekome_swc02  えと、「猫目小僧」の話ですが、僕は週間(週刊)少年キング連載時代はよく知ってるんですが、その後に週間(週刊)少年サンデーで連載されていた時は、全く知りません。多分その頃は僕は漫画はほとんど読んでなかった時代だと思う。その当時は僕はちょっと俄かな文学青年で、真面目な文学小説ばかりを訳も解らず読んでいた‥時でしたね。あの頃は漫画本、読んでなかったもんねえ。もっともちょっとしてまた漫画青年に戻りましたが。今度は青年漫画主体の。で、当時、少年サンデー連載と同時に、ゲキメーションと称してTV放映されているらしい。このゲキメーション「猫目小僧」は、TV放送の過去の番組を探って、ゲストタレント達がワイワイやるバラエティーなどでも、僕は見たコトありません。だからゲキメーションはどんなのかてんで解りません。何でも、切り絵に特殊視覚効果を与えて何たらかんたらで、らしいんですけど、どういうものか、さっぱりイメージも解りません。タイトルは「妖怪伝・猫目小僧」で、現テレビ東京他ではローカル3局しか放送されなかった貴重な番組なんだとか。それと、ど~も、この「妖怪千手観音の巻」は少年キング連載後の、また戻った「少年画報」で何回か連載でやったものらしい‥です。この辺は読んでないから解んねえなあ。

  

 今回はねえ、ホントは「猫目小僧」お題じゃなくて、「ゲゲゲの鬼太郎」やるつもりだったの。goo blogのnaojiiさんとこの「生きたまま極楽!」で、京極夏彦やってたんで、こっちは京極夏彦がらみで、水木しげる先生の「鬼太郎」にしようと。それが、「猫目小僧」は導入で、当時人気大爆発の少年マガジンの「ゲゲゲの鬼太郎」に対抗して、の、少年キングでの妖怪漫画「猫目小僧」連載、というのをきっかけに、「鬼太郎」の話に持って行くつもりが、いやあー、「猫目小僧」が長くなっちゃって…。とうとう主客転倒じゃないけども、「鬼太郎」は消えて、「猫目小僧」お題の話になってしまった。今夏の映画公開とか、今旬といえば、旬な話題になるしね。ここのとこ、じわじわ楳図かずおブーム到来の感だしねえ。小学館の新たな豪華版、1200円とちょっと高いけど、売れてんのかなあ。映画はあと、あのホラー大作「神の左手、悪魔の右手」も、平成「ガメラ」の金子修介監督で今年の7月公開だというし、2006年はもう、楳図かずおブームの年、なのでしょうね。

 モチ、こういうブームも今や、商業本位メディアが作って行ってるんだろうけど。別に皮肉るつもりじゃないけど、市場経済社会の趣味娯楽分野だからなあ。しかし勿論、楳図作品はサブカル芸術作品として、ある意味とても高度で素晴らしいし、楳図作品によって得るものも多いと思う。やっぱり、皆さん、感覚面であれ、アタマに得た何が将来役に立つやら、ホント解らないですもんねえ。いったい何が脳味噌の栄養になっているのか、こればかしは各々解りませんよ。経済アナリストの、森永卓郎さんもおっしゃっている、「これからは知的創造社会が来ますよ」と。当然、専門的知識・教養は必要でしょうが、独自性を作る為の「感覚」を育てないといけない。だから、普通の専門分野の勉強と硬い書物の読書だけではダメで、それだけでは新しい感覚が作れないのだ(飛躍し過ぎか)と思う。

 僕は、楳図漫画作品では、「おろち」と、この「猫目小僧」が一番好きです。後は、「笑い仮面」かなあ。みんな、古いのばかりだけど。楳図かずお最初期の貸本時代の作品だったら、少女系明朗青春ものとか、「ガモラ」とかのSFもかなり思い入れが深いけれど。

 「猫目小僧」は楳図版「鬼太郎」だと思うけれど、だいたい、楳図かずおと水木しげるは、同じ怪異漫画を描いていて、全然違いますね。その作風、雰囲気、ストーリー展開。作者の言いたい事。なんぞが、全く違う、二人のアーティストなんだと思います。

 
 猫目小僧と鬼太郎は、妖怪と人間のアイノコだとか、人間を味方するヒーローなんだけど、異形というアウトローであるという、同じような存在ですけど、やっぱ違う。だいたい、漫画で生まれた特殊なヒーローは、TV化されて、平たく全国のお子様向けのアニメヒーローになっちゃうと、変えられてしまいますねえ。無毒な単なる正義ヒーローになってしまう。楳図先生も水木先生も、当時の、裏側の弱小メディア「貸本」の世界から生まれたクリエイターだから、元々、独特の感性などを持っているんですよねえ。鬼太郎も本当は、誕生した当時は、勧善懲悪の自己犠牲的な正義の味方、なんかでは決してなかったし。本当のところ言うと、猫目小僧も鬼太郎も人間なんか好きじゃない筈なんだ、と僕は思っちゃうんですけどねえ。

 

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コメント
 
 
 
ZOOの記事のほうにコメントどうもでした~ (さくさく)
2006-04-02 22:26:58
ZOOの記事のほうにコメントどうもでした~
コミックを多く読んでらっしゃるようですが
もし乙一さんに興味があるのでしたら
GOTHのコミック版を読んでみたらどうでしょう
ちょっと気持ちの悪いところもありますが
そんなに怖くありませんでした
では~
 
 
 
はじめまして (オコ坊)
2006-04-03 23:15:33
はじめまして
TB&コメントありがとうございました。

素晴らしい記事ですね!

「猫目小僧」がどんな映画に仕上がっているか楽しみです。
「おろち」は美少女アイドルのプロモーションビデオ化されないことを祈ります。
「おろち」はビジュアル的な怖さよりも精神的な怖さを描いた漫画だと思いますので、その辺がしっかりと表現されていると嬉しいですね。

ゲキメーションと称された「猫目小僧」はLDで発売されていたようですが、今は廃盤のようで入手が出来ません。
数年前にスカパー!で放送されたようですが、知らなかったので録画できず残念です。

ホラーブーム、楳図かずおブームが再来している今、廃盤になったものも再発してくれるとうれしいですね。

#長文ですみませんでした。
 
 
 
オコ坊様、TBとコメント、どうもありがとうござ... (Ken)
2006-04-04 03:03:30
オコ坊様、TBとコメント、どうもありがとうございます。
これを機にどうぞよろしくお願いします。
「おろち」は、可愛いだけのアイドルがイメージ壊さないで欲しい!でも、あの役こなせる女優って居ないような気もします‥。
 
 
 
さくさく様、コメントありがとうございます。小説... (Ken)
2006-04-04 03:12:28
さくさく様、コメントありがとうございます。小説だと読み上げるのけっこう大変ですもんねえ。コミックであれば‥。今度探します。
さくさく様は信じてないんですねえ。私は10年に1回くらい、あるので、それが激疲労の時だからか何か不明ですけど、
信じたくはない、方です。
守護霊様だとかは嬉しいけど、他のは、
無い、方が絶対イイですね。
 
 
 
こんにちは、猫目小僧は好きですよ。コミックスも持... (漫画ファン)
2006-04-05 12:11:35
こんにちは、猫目小僧は好きですよ。コミックスも持っています。全篇コミックスになっているのかどうか知りませんが、映画になるので、コミックスが復刻する事を願っています。
 
 
 
まんがファン様。コメント、どうもありがとうござ... (Ken)
2006-04-07 13:30:37
まんがファン様。コメント、どうもありがとうございます。
まんがファン様は古書漫画コレクターのご趣味もお持ちでいらっしゃるのですね。
朝丘光志さんの貸本なんて、垂涎もので見たい本です。僕はコレクターという訳ではありませんが‥。
まんがファン様の記事には、懐かしく、共感するものがあるので、覗かせていただきます。よろしくお願いします。です。
 
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