
私が始めて「花」を描いたのは、私の初の著作出版「トレース水彩画入門」という絵画技法書内に、花の描き方も入れることになったからです。
それまで花など描いたことがなく、「ふん!花なんぞカンタン・カンタン」とばかりに取り組みましたが、なんと失敗、失敗、また失敗・・・花を物理的に描くのは簡単なのですが、本に載せるだけのレベルまでは遠く及びませんでした。
なぜ魅力的な花の絵が描けないのか?悩みに悩んでようやくその原因がわかってきました。
いろいろな花と対峙する中で、無数の花はそれぞれが際立って個性的であり、かつ圧倒的に美しいというごく当たり前のことを発見したのです。
花の魅力は美しさにあります。だから花の美しさを絵で表現することになりますが、どんなに必死に描いても、実際の花のほうが絵ごときよりはるかに美しく、それを超える絵など描けるわけがないことを発見したのです。
その発見から花を師匠として、美しさを教えてもらう気持ちで描くことにしました。謙虚で素直、無心で描くことのひたむきさが、ようやくそれなりの魅力ある花の絵を描くことができるようになりました。
トレース水彩画で花を描くための3つのポイント
1、あなたの好きな花を素直な気持ちで描くこと
好きな花、思い出の深い花、思い入れの強い花を描きましょう。好きなものは絵で気持ちが伝わります。
そして上記のように素直で謙虚な気持ちで描く姿勢が大切です。
2、美しさを引き出すため、枝や葉・花を思いっきり整理して写真に収めること
トレース水彩画は写真を素に描きます。そのためその花の最高の美しさを写真に収めることが条件となりますが、その美しさを阻害しているムダな枝や葉・花が以外と多いのです。それらを生け花の要領で思いっきり整理すれば、その美しさがグッと引き立ちます。
その中での最高の一枚を写真に撮りましょう。フラッシュは厳禁、アップする場合は接写モードにしましょう。
3、描きはじめたら実物の花を見ないこと
写真に撮った瞬間に、花の魅力のすべてが写真に移行し、実物の花はもぬけの殻たと思ってください。写真をトレースして線画を描き、写真を模写するように彩色していきます。それ以降実物の花を見ないことが上達のポイントです。
絵を描くのに必要なものは、その花の感動のイメージと、一枚の写真で必要充分です。絵の目的は、花のイメージ、描く手段は写真の模写。ムダを省いたシンプルな描き方こそ上達の近道なのです。
実物は立体ですが写真や絵は平面です。立体を平面化するより、平面を平面化するほうが圧倒的にカンタンだからです。
上のホタルブクロの絵は、「初心者のためのトレース水彩画教室・実践偏15」です。久しぶりに花の絵を描きながら、花の絵を描く幸せをしみじみ感じました。
花の絵は初心者の方も取り組みやすい課題です。あなたの好きな花でチャレンジしてはいかがでしょうか。
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