渓流詩人の徒然日記

知恵の浅い僕らは僕らの所有でないところの時の中を迷う(パンセ) 渓流詩人の徒然日記 ~since May, 2003~

フルタングのプーッコ

2020年10月08日 | open


フルタングで作られたプーッコはプーッコ
ではないとかの批判もあるようだが、
プーッコやレウクの定義はブレードの長さ
や刃の部分の形状にあるので、耐久性を
向上させるためにフルタングの構造を採用
したプーッコも私個人は大アリなのではと
思っている。

そして、この大泉さんのフルタングの
プーッコは、金額は代理店の販売価格が
54,000円と多少お高いのだが、細かい点
に経験と知見の具現化が図られている事
を看取できる。
このナイフのハンドルボルトの位置。
大泉さんは、戦国期や江戸初期、幕末期
の日本刀に詳しいのではなかろうか。
実用刀剣の二つ目釘について。
刀の二つ目釘は目釘痛みによる抜けや柄
(つか)のがたつきを防止する実用上の実戦
刀の固定方法だ。物理的には一つ目釘より
も絶対に二つ目釘のほうが優れている。
江戸元和以降に一つ目釘が完全に一般化
したのは、それは元和偃武の影響だろう。
実用性をあえて離された所に日本刀は追い
やられた。
それが、幕末期の騒擾の中で、再び戦国期
のように刀剣の実用性が求められて、各地
で荒試しなどが行なわれた。
そして、ナカゴの目釘穴は二つ目釘が復活
した。

この二つ目釘の穴の位置はどこでもよいと
いうわけではなく、物理的な力のかかり
具合からして、控え目釘穴はナカゴ尻に
近いほうが良い。
大泉さんのこのナイフは、一般的なナイフ
のハンドル固定のボルト位置とは大きく
異なり、日本刀の実戦刀の二つ目釘に範を
取っていることが見て取れる。

できるね。ただのナイフじゃない。
そもそも、フィンランド在住のネイチャー
ガイドにしてナイフ製作者の大泉聖史さん
は、剣士ではなかろうか。
だってね、この斧の薪割り解説の時にスッ
と見せたこの構え。
これね、素人じゃないすよ。細かいいろん
な点において。


見る人が見たら即判る。
作るナイフを見ていても、本物のできる
人なんだなあ、というのもよく判る。
こうした本物系は、拝見していても清涼感
がある。

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