『北の零年(きたのゼロねん)』(2004)
士魂潰えた明治の新時代。
明治新政府は次々と徳川政権
の模倣のような改易転封(てん
ぽう)を命じた。
これは戊辰戦争で新政府軍側
に就いた藩に対しても断行され
た。
淡路島の武士たちは、極寒の蝦夷
地へと追いやられた。
この物語は裏切り者と、みにくく
さもしい者と、心が空っぽに
なった生ける屍のような者と、
武士の心を忘れぬ者、そして、
独立自尊の士魂を思い出した士族
たちの物語だ。
17歳の石原さとみの熱演に目頭
が熱くなる。極寒の地で幼な子の
頃から少女に成長した時、人間の
許されざるものを突如理解させら
れる悲劇が訪れた。
そのシーンを今思い出しても
涙がこぼれる。
この映画作品は切なく悲しい物語
である。
裏切りが普通になる世の中ほど
汚れた世は無い。
士の魂、たれか知るらむ。