渓流詩人の徒然日記

知恵の浅い僕らは僕らの所有でないところの時の中を迷う(パンセ) 渓流詩人の徒然日記 ~since May, 2003~

梅花皮(カイラギ)

2020年08月14日 | open


おいらぁ、このスタイルは嫌いじゃない
よ。
厭世的な反逆の剣客、眠狂四郎。
市川雷蔵が演じる眠狂四郎は梅花皮(カイ
ラギ)鞘の大小を愛用していた。刀身は
ムソウ正宗だ。

梅花皮鞘自体は細川さんの考案。
洒落者の数寄者だったね。
桃山から江戸初期の拵だ。
ただし、幕法でその仕様での登城は禁止
された。赤鞘も禁止だ。
徳川実紀では、江戸初期に千代田城付近
で赤鞘を差していた武士をたまたま大番頭
が見つけて見咎めている。
武士は、まだ地方から江戸に下ったばかり
であり、その足であるので、これはいかさ
ま失態でござった、直ぐに藩邸に到着次第
に刀を差し替えますゆえ、ご了承いただき
たしと申し述べ、幕臣はさようならばあい
分かった、卒なきようめされい、と申し
渡している。
江戸期には元和偃武以降は厳格な武具に
関する規制が敷かれるようになっていた。

私は四半世紀前の一時期、目玉が飛び出る
位高い梅花皮鞘を愛用していた。
あんなでっかい一枚巻きのエイはもう獲れ
ないだろう。今は刀共々、川崎の道場の
後輩が持っている。
幕法に反するので、それを差して登城勤務
などできない事などは解っていた。
ただ、私は眠狂四郎が好きだっただけ(笑)
今は幕法に合致する拵の仕様にしている。
シンプルな黒一色のフォーマル拵だ。
ただし、下緒は会津藩の剣術指南番の指定
色のハナダ色の下緒にしている。スカイ
ブルーの和色みたいな色ね。てか、ハナダ
色は紫陽花の色。
会津藩の記録を見ると剣術指南番は「芸
者」と記されており、武芸者は指南役で
あっても格が低い武士とされていたこと
が読み取れる。
わたくしは、広島藩における下緒の規定
の記録が見られないので、やむなく会津
御家中にあやかりたる事にて、面目次第
もござらぬ。

カイラギ鞘を愛用していた昔のをれ。


狂四郎の円月殺法で刀を下に下げた時に
裏に返すやり方は市川雷蔵が考えた。
これは原作者の柴田錬三郎先生はいたく
気に入っていたという。


しかし、市川雷蔵はどの作品でも、とこ
とん殺陣が下手だった。
刀の持ち方さえ知らなかった。

こりゃしどすぎる(笑)。
百姓がクワ握るのでもここまでしどくは
ないやい。

この記事についてブログを書く
« 伊豆大島 | トップ | 靴底 »