渓流詩人の徒然日記

知恵の浅い僕らは僕らの所有でないところの時の中を迷う(パンセ) 渓流詩人の徒然日記 ~since May, 2003~

組太刀

2020年08月19日 | open



んなアホな。
日本の伝統武芸の規矩を破壊する文化
破壊者かいな。
かといって、どちらか一方だけしかでき
ないというのも宜しくない。

大昔、試験的に流派組太刀でトーナメント
を行なったことがある。
土佐から連盟範士八段の流派皆伝者を招い
ての大規模な古流研究会でそれが執り行わ
れた。
参加者は全国から集まり、かなり多かっ
た。

試合形式はあくまでテストピースであり、
杖道の試合のような形式だった。
そして、剣道連盟の段位別ではなく、フル
オープントーナメントとなった。
組太刀の試合では、打太刀か仕太刀のどち
らが来るかは分からない。
行なうのは日本剣道形ではなく、英信流
「太刀打之位」のうち三本である。
直前まで、どの業が指定されるか分から
ない。
私は剣道連盟初段であったが、あれよあれ
と勝ち進み、全日本連盟六段をも数名
打ち破って気づくと準決勝に駒を進めて
いた。
結果はそこで2-1で敗北して総合三位だっ
た。
私は土佐の御大の大先生に大そう気に
入られたようで、夜のお歴々の懇親会に
特別枠で招かれ、範士から私の横に来な
さいと上席に呼ばれて、いろいろ流派の
歴史や術技要諦を説いてくださた。

この組太刀試合はあくまで試験的開催で
あったが、その後は諸般の事情により、
講習会においても開催されることはなく
った。
どうやら、フルオープン無階級制で「実力
ある者が勝つ」という定理の設置に著しく
反発する人たちの意向が作用したらしい。
もう30年も前の事だ。

日本刀での空気切りだけをしている人は、
決められた発声さえも気合を入れて発する
ことに躊躇するようだった。30年前でさ
え。
私は剣道の猿叫のように体育館に甲高く
一際響き渡る発声を成した。
しかも一本調子ではなく、緩急をつけて
相手の気と同調させつつ、相手の気を削い
だり、あるいは引き寄せて切られるように
誘導したりをした。
組太刀というものは、カタチでもカタでも
ない。
また、単なる剣の動きのテニヲハでもな
い。お遊戯や健康体操ではないのだから。
組太刀は、かなり奥が深い。
木刀であれ、刃引き真剣であれ、本当に
「相手に切られる、殺される」と心の底
から思わせる、あるいは逆に相手からその
気勢を引き出させることができない組太刀
などは全く以って意味がない。
組太刀は「動きのイロハ」ではないのだ。

動画サイト受けするようなお遊戯体操は、
別な部活とかでやったほうがよい。
「やってみた」とかの題目動画で。




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