渓流詩人の徒然日記

知恵の浅い僕らは僕らの所有でないところの時の中を迷う(パンセ) 渓流詩人の徒然日記 ~since May, 2003~

ピースメーカー 〜マルシン 1974年製〜

2021年03月13日 | open



フルロード重量1055g。
本体重量915g。1974年式。
実銃は、グリップにもよるが、この4.75
インチバレルモデルで本体重量は39オンス
=1105gである。

TRC(東京レプリカコーポレーション=
中田商店)のピースメーカーと全く同じ
金型を用いたマルシン製だ。
TRCはCMCと全く同寸のブレット部可動
式の貫通シリンダーだったが、77年規制
により、シリンダーにインサートがある
MGC方式のシリンダー内発火式に変更
になった。
中田TRC金型のピースメーカーはCMCと
同じく、ハンマーの前進によりカートの
先端が銃身基部に移動して銃身根元のデト
ネーターと接触してカート先端の平玉火薬
を発火させる仕組みだったが、規制により
シリンダー内発火のMGC方式に変更になっ
たのだ。中田からの販売は終了し、マルシ
ンからのリリースのみになった。それが
この個体のモデルだ。SMGマーク無しの
時代の物だ。フレームには1974と刻印が
打たれている。
中田物はCMCとは異なり、銃身のみは
71年規制後には完全に閉塞させていた。
バレル中央に鋼鉄の丸棒が銃口まで突き
抜けていて周囲をダイカストで包む完全
閉塞。銃身の違法改造は物理的に不可能
だ。穴は開けられない。
CMCは71年規制後も通称豚鼻と呼ばれた
銃身中央にのみ太い鋼鉄インサートがあ
り、銃身内壁とインサートの間には隙間
をぐるりと設置した特殊な構造だった。
そのため、CMCのピースメーカーのみが
全メーカーの中では金属モデルであって
も銃口から発射火炎を噴いた。ガスコンロ
のような輪っかの火炎だが、発射炎を噴く
金属モデルガンはCMCだけが製造してい
た。
CMCのピースメーカーは作動音は透き通る
音がした。亜鉛ダイカストの材料も硬質
だったと思われる。中田マルシンやMGC
はハンマーコックの音は「チャコン」と
いう音だが、CMCだけはチーンという高音
を発した。
他メーカーは1971年規制によりすべて
銃身を完全閉塞していたが、CMCのみ
どういうわけか、規制を潜り抜ける技法
での製品化に成功していた。
77年規制により、全て金属製は貫通シリ
ンダーが禁止となる。

作動性に関しては全メーカーの中でTRC
=MKK(マルシン工業株式会社)の金型の
物が一番良かった。細かい設計が抜群な
のだ。
壊れないのはMGC製だったが、実銃とは
内部構造をMGCは大幅に変更し、板バネ
さえ廃してコイルスプリングにしていた。
実銃と全く同じ機構で頑丈だったのは、
間違いなく中田マルシンのモデルだった。
この個体もそうだが、ハンマーをコック
するとシリンダーストッパーボルトが上昇
するのだが、シリンダーを一切引きずら
ない。ゆえにSAAにありがちな一直線の
引きずり痕がシリンダーにつかない。
これは、後にプラスティックモデルとなっ
ても、CMCなどは引きずりまくりであり、
プラでは唯一ウエスタンアームズ製のみが
完全設計で引きずり無しのボルトタイミン
グの製品だった。六研の六登部氏による
コクサイ製の販売WA製モデルだ。CMでも
宣伝していた。「比類なき作動性」と謳っ
て。
そのSAAはすぐにWAオリジナルブランド
として販売が委譲された。当初はMGCの
サービス部でもそれが発売されていた。

その後もWAはSAAの改良を続け、プラ製
ではWA製が一番の作動性を持つSAAと
なった。天ぷら構造も年に何度も変更され
ている。
ただ、当時、ABS樹脂は開発され切れて
おらず、非常によく割れた。自然にパキン
と大きなクラックが入るのだ。
のちにWAは樹脂メーカーとABSの共同
開発に入り、国内最高峰のABS樹脂を使っ
たトイガンメーカーとなる。
MGCにしろコクサイにしろWAにしろ、
初期のプラガンがやたらと割れたのは、
それはABS樹脂にブリネル値で高い粘り
を出すことが技術的に困難だったからだ。
さらに、金型での湯じわにメーカーは悩
まされていた。歩留まりが悪すぎるのだ。
5丁金型に溶かして1丁程度しか製品になら
ない。これでは商売上がったりだった。
国内のプラガンの品質が飛躍的に向上した
のは、WAの功績と蜜月時代のMGCの販売
力の合体に支えられていた。
プラガンの登場により、金属製モデルガン
は作動させる為のものから観賞用に変化
して行った。
そして、1980年代にリアルな外見のエアソ
フトガンが登場するに至り、トイガンの
人気は火薬を発火させるモデルガンから
丸玉を飛ばすエアソフトガンに完全に移行
したのである。

この1974年金型のマルシンモデルは、今
でも優れた作動性を保っている。
ハンマーコックによるシリンダー引きずり
は一切無い。
外見上は、ローディングゲートのみが1st
ジェネレーション形状となっている。

この個体のピースメーカーは、かなり気
に入っている。
もう47年前の製造物となるが、愛着あり。
画像ではシルバーに見えるが、実物はゴー
ルドメッキだ。金が薄れて光の加減でやや
銀がかって見える。クロームやニッケル
メッキの金属モデルガンのハンドガンは
1971年銃刀法改正より黒色金属と同じく
所持禁止。長物は金属製であろうと何色
でも現在でも良い。
金色は銃刀法規定の「白または黄に塗る」
という規定に対し警察の「お目こぼし」
によりOK。だが、銀色は実銃にあるから
駄目、という取締当局の法解釈だ。
繰り返すが、長物は金属製であろうと、
何色でもよい。これは現在でも。
要はピストルについては極めて厳しい規定
が玩具銃には課されているということ。


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