私が離婚を決めた理由

離婚するまでの経緯のつもりでしたが、考えているうちに、AC、共依存などにぶつかっています。

過去の想い

2006-05-07 23:08:04 | 本箱
身の回りの片づけが出来なくなっている。
仕事の荷物やらの段ボール箱が使わない部屋に散乱し、読み終わった本も、整理できずにいる。
そんな中で、ふと目に付いた本を少し読んでみた。

 それは不意にやってくる。
 たとえばラッシュの朝、駅の階段をたくさんの人と同じ足取りで歩いている時。仕事の手があいて、窓から午後のオフィス街をぼんやりと眺めている時。居間からの家族の笑い声を、ひとり部屋で聞いている時。ベットの中で目を閉じた瞬間。何も予定がない休日の午後。それは何の前触れもなくやって来て、志織の胸を締めつける。
 最初は皮膚の内側がひりひりするような感じがある。そして、暗い洞窟の前に立った時のような不安が忍び寄る。ああ、また来たと思う。消えて欲しいと願っても、暗闇はどんどん近づいてきて、やがて志織を包み込む。
 志織は諦めにも似た気持ちで身体を丸め、両手で自分を抱き締める。それが何なのか、よくわからない。寂しさのようにも刹那のようにも、後悔のようにも感じる。けれどもやっぱりよくわからない。わからないまま泣きたくなってしまう。そして気がつくと、本当に泣いている。
 それを孤独と呼んだら、誰かに笑われてしまうだろうか。


そんな書き出しの本に、思わず続きを読まずにはいられなくなった。
そう、この感じ。
私は、こんな風にふと寂しくなる。切なくなる。
同じだ・・・・・

平成10年8月25日初版発行と書かれたこの小説。
8年前、真っ直ぐに家に帰れなくなり、本屋を彷徨っていた頃に購入した本だ。
あの時も、たぶん同じ気持ちでこの本を手にしたのだろう。

主人公の悲しみや苦しみに共感しながら、自分の心の苦しみを表現できないもどかしさを、本を読むことで癒して、いや癒そうとしていたんではないかと思う。
この苦しみの中にいるのは、私一人ではないと、そう思いたかったのかもしれない。

 そう、そんなことは志織だって百も承知している。人は確かに変わるのだ。それは今まで何度も何度も自分に言い聞かせていた。なのに割り切れないのだった。胸の中にはどうしても解けないパズルのようなもどかしさがくすぶり続けている。こんな自分はやはり子供なのだろうか。みんなはちゃんとそれを理解し納得できる大人になって、志織だけがおいてきぼりをくってしまったのだろうか。

「顔のお化粧は落とせるけど、この中(胸の中)のお化粧は落とせない。どんどん厚化粧になって、いつか自分でも、素顔の自分が見えなくなってしまう。そう、私も自分が見えないの。・・・・」


あの頃、主人公の志織と同じ気持ちで過ごしていた。
大人になりきれない自分が、ひとりそこから取り残されたような気持ちをいつも抱いていた。
そして、そんな戸惑いから、化粧をすることも出来ずにいた。
偽りの姿を演じているような気がして、心苦しかった。

私と同じだと共感しながら、それでもなおかつひたむきに生き続ける主人公に、私は心惹かれていたのだなと思う。
そして、自分もそうありたいと願っていたのではないかと思う。
8年前、私はそう願いながら、苦しみの中で、前向きに生きようとしていたのだ。

そんな想いを抱かせてくれる本を求めて、私は彷徨っていたのかもしれない。
私は、私で居たいと、必死に生きてきた、私の姿が、その本の中に見えてきた。
あの頃、何故真っ直ぐ帰れないのか、子供が待っているというのに、少しでも早く帰ったほうが楽なのに、どうしても帰ることが出来なかった私が、見えてきた。
自分の存在を消してしまいたくて、それでもなおかつ生きようと必死だったのではないかと・・・・・

むさぼるように読んだ本も、私の中に、生き続けている。
文章や内容を覚えてはいないけれど、あの時共感し、感じたことは心の中に残っている。
そう思う。

「不幸はあるのよ。それは現実として存在しているの。でも、幸福はないの。ないっていうのはね、つまり、幸福かどうかっていうのは現象じゃないってこと。どんなことでもいい、それを幸福だと感じられるかどうかで決まるの。・・・・・・」

本の中の言葉に、共感し、ストンと落ちる。
幸せを感じるられるようになりたい。
本を読んだあの時も、願っていたのではないか、そう思う。


サマー・バレンタイン」唯川恵 幻冬舎文庫より抜粋


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