心の色を探して

自分探しの日々 つまづいたり、奮起したり。
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見よう見まねで

2013年03月27日 | 母のこと
母が最近やり出したことの一つに 絵を描くということがある。弟が描こうと思って用意していた絵の具や鉛筆が入った箱を見つけたのだ。白い紙の束も見つけたので 一式をコタツの周辺に置いていた。

一日テレビばかり見ているのもなんだし、ベッドに横になってばかりいてもだめだし 何かをしなくてはと思っていたらしい。手が不自由なので 指に力を入れる作業は無理がある。鉛筆で力を入れずさらさらと描いたり、筆でとんとん押すくらいなら 大丈夫とのことで、思いついたときに紙を出しては描いているようだ。

いつものように行く前に母に電話した。
「どう?今日は具合いい?」というと、なんとなく歯切れが良くない。これは 何かあったか?と気になって急いで行った。
どうかしたの?と言いながら 居間のドアを開けたら、母がテレビを見ていた。元気だ(笑)
なぁ~んだ 心配しちゃったよ。と言って 母のほうを見たら 母がテレビの後ろの本棚を指差した。そこには4枚の絵が貼ってあった。

あらぁ~いいじゃないの!特に左側がいいねぇ。と言ったら、まんざらでもない顔で
「だと思ったんだよ。夕べ 横になっていたら なんか昼間に描いたスズメの絵が気になってね。起き出して二枚続けて描いてみたんだよ。お前が夜中に起きて何かを夢中になってやってしまうってこと わかる気がしたよ」と言った。

手本は姪が送ってくれた『星野富弘画文集』の中にあるスズメの絵だった。昼に二枚描いたときは鉛筆だけだったが、それもなかなかいい感じだった。でも母には三羽の雀のうち一羽の顔がどうしても描けないらしく だめだとぼやいていたのだ。それで夜中にはたと思いだして 絵の具でも描いてみようと・・・
そんなことをしているものだから 具合はどうか?って聞かれても 歯切れの良い返事が出来なかったらしい。

母の絵を見ていると スズメの特に冬のスズメの仕草がすごくわかる。お腹を膨らませて三羽で寒さをしのいでいるのが伝わってくる。元の絵が上手いのもあるけど、スズメがすごく好きな母の気持ちがこめられているようで 見ていて楽しい。
母とスズメは 長年の友達なのだ。
わたしが小学校の頃から 母はスズメを飼うことが好きだった。特になついた子スズメがいた。チュン子と名付けて 可愛がった。夕飯のときなど家族が食べるそばをちょんちょんと歩いて こぼしたご飯粒をつついていたのを思い出す。寝るときは母の懐に入って寝ていたりもした。それほど人懐こい子スズメだった。
母はそういった生き物を可愛がることが好きな人だ。

今年の冬も 冬は食べ物がなくて困るだろうと雪で埋まった庭に米粒や かぼちゃやらを置いて キジや他の鳥が食べるようにしていた。初めは食べなかったけど、そのうち食べ物があるのを知ったのか キジとかがやってきて食べていっているのがわかった。母は鳥のこともよくわかる。車で通りかかった垣根の樹の枝に小鳥が止まっていた。じっとして動かない。綺麗な鳥だった。しばらく車を目の前に止めて見ていた。
わたしが
「あれ~ あの鳥 逃げないねぇ」と言うと
「ちゃんと鳥もわかるんだ。車の中だってことをね。手を出せないって。」
窓でも開ければ 飛んでいってしまうのかもしれないけどね。

春になって あちこちで鳥のさえずりが聞こえるようになった。母の庭にも色々な鳥が顔を出すだろう。家の中からやってきた鳥たちの様子をしあわせそうな顔で見ている母が目に浮かびそうだ。
母の絵も これからどんどん増えていくといいな♪