浪人生の息抜き

浪人生活の息抜きとして、勉強のこと抜きでまったり書いていきます!

4月16日 黒猫の遊歩あるいは美学講義

2016-04-16 13:43:01 | 小説
 こんにちは。熊本や大分が大変なことになってますね…迅速な支援が被災者

の方々に行き届くのを願うばかりです。

 さて、今日の本は『黒猫の遊歩あるいは美学講義』著者 森 晶麿 ハヤカワ

文庫 です。

 ≪あらすじ(裏より)≫でたらめな地図に隠された意味、しゃべる壁に隔てられ

た青年、川に振り掛けられた香水、現れた住職と失踪した研究者、頭蓋骨を探す

映画監督、楽器なしで奏でられる音楽…日常に潜む、幻想と現実が交差する瞬間。

美学・芸術学を専門とする若き大学教授、通称「黒猫」と、彼の「付き人」をつ

とめる大学院生は、美学とエドガー・アラン・ポオの講義を通してその謎を解き

明かしてゆく。第一回アガサ・クリスティー賞受賞作。

 ≪感想≫現在第6巻まで出ている「黒猫シリーズ」第一巻です。ミステリ小説

なんて本当に有名どころしか読んだことがなく、それもなんか自分の肌に合わな

いなぁという感じでしたので、あまり自分の好きなジャンルではありません。で

はなぜこの本を読もうと思ったかといいますと、友人にめちゃくちゃ推されたか

らです。そいつが割かし本読んでるのは知ってましたし、結構自分と合うなぁと

感じていたので、長いタイトルに若干不安を抱きつつも読んでみることに。さっ

き書いた通り、自分はあまりミステリーを読んだことがなく、ポオの作品も「黄

金虫」くらいしか読んだことがなかったのですが、この本にドはまりしましたね。

まず言っておかなければならないことは、別にポオやマラルメ(自分は過去に詩集

に手をだし挫折)の作品を知らなくても十分に読めるということです(読んだことが

あればもっと面白いでしょうが)。その話の中に出てくるポオの作品についての概

要は最初に触れられており、ここを読んでおけば十分です。

 この作品にはいろんな論文の話が出てきます。例えば、『竹取物語』は本当の

タイトルを『竹取の翁の物語』というが、なぜ『竹取物語』に落ち着いたのか。

これは『竹取物語』の主題を月と人間の距離だととらえると、『かぐや姫』では

月しか見えず、『竹取の翁の物語』では人間しか見えない。だが『竹取物語』だ

と「竹」の中にはかぐや姫がいたから月の象徴としてとらえられ、それを「取」る

のは翁だから人間の象徴としてとらえられる。すると月も人間も視野に入るから、

この題名たり得ている。「人はもっとも見やすいように見る」んだね。みたい

な話がごろごろ出てきます。ミステリが苦手な僕はこうした話があったから楽し

めたのです。人物がセリフの中で入れてくるので口語調でわかりやすいですよ。

まぁ、わかりやすいということは表面部分をなぞっただけということですが、

専門的な知識がなくても言わんとしていることがわかるということは著者の筆が

立っているということです。脱帽ものですね。「付き人」の大学院生の視点で

書かれていますが、彼女が、読者が?ってなるところを代弁して尋ねているのも

うまいですね。疑問→解決っていう流れを組み込むことで格段に読みやすくな

っています。

 ただ、解説にも書いてありましたが、事に及ぶ人物の心情があまりにも論理的す

ぎてこじつけ臭く、う~ん…となってしまうところがあります(個人的には壁の話

と頭蓋骨の話が特に)。でも、それを踏まえても十分に楽しめるのは間違いないか

と。興味があれば、ぜひ読んでみてください!

 では、また次回。

4月14日 放課後さいころ倶楽部

2016-04-14 20:15:40 | 漫画
 こんにちは!最近今日が何日で何曜日かをよく忘れます。

 さて、今日の本は『放課後さいころ倶楽部』著者 中道 裕大 小学館 です。

 ≪あらすじ≫おとなしく引っ込み思案な女子高生武笠美姫、天真爛漫な転校生

高屋敷綾、優等生で委員長の大野翠、三人がさまざまなボードゲームを通して友

情を深め、成長していくボードゲーム漫画。

 ≪感想≫麻雀とかチェスとか王道のボードゲームを題材にした漫画は山ほどあ

りますが、マイナーなボードゲームに焦点を当てたものは珍しいのではないでし

ょうか。現在6巻まで出てますが、自分が知ってたゲームなんて片手で数えられ

る程度です。3人の女子高生それぞれのプレイにそれぞれの性格が表れていて面白

く、心理戦も読んでてワクワクします。ゲームの大まかなルールもつかみやすく、

ゲームの少し細かい説明も各話のあとに書かれているため、わけわからん、なんて

ことは決してありません。むしろこの漫画を読んで知って、やりたくなるボード

ゲームが出てくるくらいです。ほんとにやりたくなってきますよ!

 内容がおもしれ~っていうよりは、このボードゲームおもしろそ~って漫画です。

もちろんストーリーも面白いのですが、やはりボードゲームのほうに意識がいっち

ゃいますね。

 あまり感想らしい感想をかけてない気がしてなりませんが、まぁ女の子がボード

ゲームしてる姿って魅力的ですよね!それがとにかく言いたかったのです。興味が

あればぜひ読んでみてください!

 では、また次回。

4月12日 夜の翼

2016-04-12 06:54:26 | SF
 こんにちは!初夏かと思えば秋並みの気温になり、もうむちゃくちゃです。

体調管理に気を配らなければいけませんね。

 さて、今日の本は『夜の翼』著者 ロバート・シルヴァーバーグ ハヤカワ

文庫 です。

 ≪あらすじ≫蝶のように精妙な翼で<翔人>が空を飛び、<監視者>は超感覚の

増幅装置を手押車に載せて旅をする。<支配者>には<中性人間>がかしづき、

<記憶者>はあらゆる事象を保存する―これこそ、外敵の侵入に怯えながら、滅

びゆく、数万年後の未来の地球の姿だった。一生を侵略者の見張りに捧げてき

た老<監視者>は、<変型人間>や美しい<翔人>の娘とともに古都ロウムを訪れる

が…ヒューゴー賞、アポロ賞受賞の名作

 ≪感想≫この本との出会いは、僕が中学二年生の時です。僕の叔父は比較的

本を読むほうで、割とSFが多めでした(中には『パンセ』のようなものもあった

が)。そんな叔父に夏休みの読書感想文用の本を借りに行った際この本をくれま

した。それまで僕はSFものなんて読まなかったし、発行年が1977年とあったの

で、どうせ型っ苦しくてつまらんだろうと勘ぐっていましたが、いざ読みだすと

止まりませんでした。なんと美しい叙述か、なんと細やかで繊細な描写か、と

感動しっぱなしで、寝食を忘れて読み耽っていましたね。登場人物は比較的少

なめなのですが、物語のスケールは広大で、全体として幻想的な雰囲気を醸し出

しています。その一方で、登場人物たちのかけひきが極めて人間的なのがまたたまり

ません。

 この本をきっかけに、幻想SFというジャンルは僕の大好物となりました。SFと

ファンタジーの組み合わせは想像もつかない産物をもたらしてくれます。両者の

いいとこどりですかね。幻想SFと言ったらこの本のほかに『夢見る宝石』とかが

有名ですね。まだまだ可能性を秘めたジャンルです。

 著者シルヴァーバーグの人となりも大変興味深いです。彼は小説工場と揶揄さ

れるほど執筆がはやく、ほかの作家との語らいの中でスランプの話になった際、

シルヴァーバーグは自分も15分ばかり筆が止まったことがあると言ったそうです。

また、執筆活動のジャンルは多岐にわたり、作家仲間のバリイ・マルツバーグの

説では彼の全著作のうちSFの占める割合は15パーセントほどだそうです。さまざ

まなペンネームを使っていたことも有名ですね。この『夜の翼』が、彼の家が火

事となった後初めて書かれた著作だというのも興味深い話です。

 この本は僕のバイブルであり、おすすめのSFは?と聞かれたら迷わずこの本を

挙げます。ちょっとSFは…という人もぜひ読んでみてください。幻想SFというジャ

ンルの魅力をきっと感じとることでしょう。

 では、また次回。

4月9日 惡の華

2016-04-09 19:55:20 | 漫画
 こんにちは!初夏を迎えた地域があるなんておかしなことになってますね…日本の

気候の行く末はどうなってしまうのでしょうか。

 さて、今日の本は…とその前に、前回紹介した『謎の彼女X』で言葉足らずなところ

があり、書き忘れたこともあるのでここに書いておきますね。唾液に幻想を抱いてしま

い惜しい、なんて書いてましたが、あらためて読んでみるとそれがあってこその作品だ

と気づき、自分の認識の甘さを痛感しました。また、この作品では「夕日」が象徴的に

取り上げられており、夕日の場面はどこか郷愁的です。特にアニメ一話の最後のほうで

一斉に建物の明かりがつくシーン(あまり書くとネタバレになってしまうので気を付けな

いと…)はぜひ見るべきですよ!

 さて、気を取り直して今日の本は『惡の華』著者 押見 修造 講談社 です。

 ≪あらすじ≫ボードレールの『惡の華』に心酔する中学生春日高男は同級生佐伯奈々子

に片思いしていた。ある日の放課後、春日が忘れ物を取りに教室に戻った際、意図せず

佐伯の体操服を盗んでしまう。そして春日は、同級生の仲村佐和にその場を見たと脅

されて…

 ≪感想≫この本は『このマンガがすごい!2011』にランクインしており、知っている

人も多いでしょう。アニメはロトスコープを使用した前衛的なもので、賛否両論でしたね

(個人的には、この作品の何とも薄暗くドロドロとした陰鬱な雰囲気を映像として伝える

には限りなく実写に近い形で映像化する必要があったと思いますし、何より非現実的な

話でなく、思春期の若者には他人事ではない話だと訴えるには、原作の絵柄ではダメだ

った気がします。ただ、最後のほうが未読者にはわけわからんことになっていたのが

残念でしたが)。漫画のほうは全11巻からなり、中学生編と高校生編がメインです。読む

と何とも言えないいや~な気分になりますが、それでも続きが気になって仕方がない、

という本当にはまると抜けられなくなる作品で、僕も友人を3人ほど引きずり込みました

よ。内容は、もうどろっどろのぐちゃっぐちゃで、これは思春期まっただ中の奴が読むと

精神衛生上よくないです。でも心底面白く、何度も何度も時期を空けて読み返したくなる

漫画ですので、かなりおすすめです。これはバイブルの一冊ですね。

 主人公の春日高男は、『惡の華』を含めたくさんの高尚な文学作品に触れていることで

周囲の同年代の奴らより自分のほうがすぐれていると思い込んでいます。このあたりから

自分なんかはドキィってしちゃいました。僕が中学生の時は、エリアーデの『世界宗教史』

と、叔父にもらったパスカルの『パンセ』が自分のアイデンティティーを保つための本

だったので、少しだけ春日に自己投影しちゃいましたよ。やっぱりパスカルの『パンセ』

や、ボードレールの『惡の華』みたいに文言がめちゃくちゃ厳かで、いってることもよく

わかんないっていう本は、中学生のちょっと背伸びしてかっこつけたい時期にはドンぴしゃ

なんですよね…今振り返ると赤面ものです。

 この作品自体は思春期の葛藤の陰鬱な部分を切り取ってそのまま本にした、みたいな

内容で、僕みたいに熱狂的なファンは割といます。まだ読んだことない人はぜひ読んで

見てください。あと、今年の7月末に舞台があるので、興味ある人は見に行ってみては

どうでしょうか。ちなみに僕は行くつもりです(浪人生なのに…はNGで!)。予約は明日

の10時からです。楽しみだなぁ。

 では、また次回。

 

4月7日 謎の彼女X

2016-04-07 19:38:29 | 漫画
 こんにちは!おひさしぶり?です。

 恥ずかしいことにPCの調子が悪くなってしまい、業者さんに診てもらってたため

火曜の更新ができませんでした…すいません。

 気を取り直して、今日の本は『謎の彼女X』著者 植芝 理一 講談社 です。

 ≪あらすじ(wikiより)≫普通の高校生椿明とクラスに転校してきた「謎」の少女

卜部美琴は、美琴が放課後の教室でうたた寝したときに机に残された唾液を明が舐

めたことをきっかけに、交流を始める。間もなく明は美琴に告白し、「独創的」な

アプローチを受け入れた美琴は明の彼女となる。美琴は、明が初めての性体験の相

手になるとか、ゆくゆくは明の「謎」の妻になりたいというような言動をする一方

で、普通に手をつなぐことや肩を抱かれることを拒否するなど独自の価値観を持っ

ており、明を戸惑わせる。しかし禁断症状を予防するために美琴の唾液を毎日のよ

うに舐めるうちに、明は次第に美琴の考え方を受け入れるようになってゆく。

 ≪感想≫前回紹介した『ディスコミュニケーション』と同じ作者による恋愛青春

漫画です。こちらは『ディスコミュニケーション』とはうってかわりオカルト的要

素がほとんどなく、フェチズム全開の内容、特に唾液に焦点を置いた内容となって

います。全12巻で、最初と最後では絵柄が少し変わっており、個人的には前半の

『ディスコミュニケーション』のゴチャゴチャ感を残しつつ、顔の描き方が最近の

可愛さによっているけど線が濃い、っていうのが大好きで、後半の絵柄も嫌いでは

ないですがちょっと物足りなさを感じてしまいます。とにかく美琴ちゃんが可愛い

んですよ。あのミステリアスな感じがたまらなくグッときます。少し前にアニメが

放送されましたが、これがまたいいんですよ。美琴ちゃんの声優がめちゃくちゃあ

ってます。あの棒読み感?普通にしゃべってる感じで、つくった声ではないような

のがやみつきです。アニメ『それでも町は廻っている』(また紹介します)の嵐山歩

鳥の声もそんな感じだったのですが、やっぱり自然な声、少しぎこちないような声

は現実味があってたまりません。

 アニメの話はおいておいて、この漫画の内容は恋愛漫画が好きで、でも同じよう

な型にはまった恋愛劇に飽きてきている人には自信をもっておすすめできます。

ただ、あまりに唾液に頼りすぎているため(たとえば、相手の唾液をなめることで考

えていることがわかるとか、運命の人かが分かるとか)唾液になんか幻想を抱いてし

まい、唾液への背徳感?官能的な視線?を見失い、だ、唾液なんかなめてる///って

いう一巻あたりのドキドキ(読者側の)が薄れていっていしまうのが惜しいところです。

 決して多くない巻数で本当にうまくまとまっている作品です。唾液に抵抗のない

人はぜひ読んでみてください。

 では、また次回。