こんにちは。熊本や大分が大変なことになってますね…迅速な支援が被災者
の方々に行き届くのを願うばかりです。
さて、今日の本は『黒猫の遊歩あるいは美学講義』著者 森 晶麿 ハヤカワ
文庫 です。
≪あらすじ(裏より)≫でたらめな地図に隠された意味、しゃべる壁に隔てられ
た青年、川に振り掛けられた香水、現れた住職と失踪した研究者、頭蓋骨を探す
映画監督、楽器なしで奏でられる音楽…日常に潜む、幻想と現実が交差する瞬間。
美学・芸術学を専門とする若き大学教授、通称「黒猫」と、彼の「付き人」をつ
とめる大学院生は、美学とエドガー・アラン・ポオの講義を通してその謎を解き
明かしてゆく。第一回アガサ・クリスティー賞受賞作。
≪感想≫現在第6巻まで出ている「黒猫シリーズ」第一巻です。ミステリ小説
なんて本当に有名どころしか読んだことがなく、それもなんか自分の肌に合わな
いなぁという感じでしたので、あまり自分の好きなジャンルではありません。で
はなぜこの本を読もうと思ったかといいますと、友人にめちゃくちゃ推されたか
らです。そいつが割かし本読んでるのは知ってましたし、結構自分と合うなぁと
感じていたので、長いタイトルに若干不安を抱きつつも読んでみることに。さっ
き書いた通り、自分はあまりミステリーを読んだことがなく、ポオの作品も「黄
金虫」くらいしか読んだことがなかったのですが、この本にドはまりしましたね。
まず言っておかなければならないことは、別にポオやマラルメ(自分は過去に詩集
に手をだし挫折)の作品を知らなくても十分に読めるということです(読んだことが
あればもっと面白いでしょうが)。その話の中に出てくるポオの作品についての概
要は最初に触れられており、ここを読んでおけば十分です。
この作品にはいろんな論文の話が出てきます。例えば、『竹取物語』は本当の
タイトルを『竹取の翁の物語』というが、なぜ『竹取物語』に落ち着いたのか。
これは『竹取物語』の主題を月と人間の距離だととらえると、『かぐや姫』では
月しか見えず、『竹取の翁の物語』では人間しか見えない。だが『竹取物語』だ
と「竹」の中にはかぐや姫がいたから月の象徴としてとらえられ、それを「取」る
のは翁だから人間の象徴としてとらえられる。すると月も人間も視野に入るから、
この題名たり得ている。「人はもっとも見やすいように見る」んだね。みたい
な話がごろごろ出てきます。ミステリが苦手な僕はこうした話があったから楽し
めたのです。人物がセリフの中で入れてくるので口語調でわかりやすいですよ。
まぁ、わかりやすいということは表面部分をなぞっただけということですが、
専門的な知識がなくても言わんとしていることがわかるということは著者の筆が
立っているということです。脱帽ものですね。「付き人」の大学院生の視点で
書かれていますが、彼女が、読者が?ってなるところを代弁して尋ねているのも
うまいですね。疑問→解決っていう流れを組み込むことで格段に読みやすくな
っています。
ただ、解説にも書いてありましたが、事に及ぶ人物の心情があまりにも論理的す
ぎてこじつけ臭く、う~ん…となってしまうところがあります(個人的には壁の話
と頭蓋骨の話が特に)。でも、それを踏まえても十分に楽しめるのは間違いないか
と。興味があれば、ぜひ読んでみてください!
では、また次回。
の方々に行き届くのを願うばかりです。
さて、今日の本は『黒猫の遊歩あるいは美学講義』著者 森 晶麿 ハヤカワ
文庫 です。
≪あらすじ(裏より)≫でたらめな地図に隠された意味、しゃべる壁に隔てられ
た青年、川に振り掛けられた香水、現れた住職と失踪した研究者、頭蓋骨を探す
映画監督、楽器なしで奏でられる音楽…日常に潜む、幻想と現実が交差する瞬間。
美学・芸術学を専門とする若き大学教授、通称「黒猫」と、彼の「付き人」をつ
とめる大学院生は、美学とエドガー・アラン・ポオの講義を通してその謎を解き
明かしてゆく。第一回アガサ・クリスティー賞受賞作。
≪感想≫現在第6巻まで出ている「黒猫シリーズ」第一巻です。ミステリ小説
なんて本当に有名どころしか読んだことがなく、それもなんか自分の肌に合わな
いなぁという感じでしたので、あまり自分の好きなジャンルではありません。で
はなぜこの本を読もうと思ったかといいますと、友人にめちゃくちゃ推されたか
らです。そいつが割かし本読んでるのは知ってましたし、結構自分と合うなぁと
感じていたので、長いタイトルに若干不安を抱きつつも読んでみることに。さっ
き書いた通り、自分はあまりミステリーを読んだことがなく、ポオの作品も「黄
金虫」くらいしか読んだことがなかったのですが、この本にドはまりしましたね。
まず言っておかなければならないことは、別にポオやマラルメ(自分は過去に詩集
に手をだし挫折)の作品を知らなくても十分に読めるということです(読んだことが
あればもっと面白いでしょうが)。その話の中に出てくるポオの作品についての概
要は最初に触れられており、ここを読んでおけば十分です。
この作品にはいろんな論文の話が出てきます。例えば、『竹取物語』は本当の
タイトルを『竹取の翁の物語』というが、なぜ『竹取物語』に落ち着いたのか。
これは『竹取物語』の主題を月と人間の距離だととらえると、『かぐや姫』では
月しか見えず、『竹取の翁の物語』では人間しか見えない。だが『竹取物語』だ
と「竹」の中にはかぐや姫がいたから月の象徴としてとらえられ、それを「取」る
のは翁だから人間の象徴としてとらえられる。すると月も人間も視野に入るから、
この題名たり得ている。「人はもっとも見やすいように見る」んだね。みたい
な話がごろごろ出てきます。ミステリが苦手な僕はこうした話があったから楽し
めたのです。人物がセリフの中で入れてくるので口語調でわかりやすいですよ。
まぁ、わかりやすいということは表面部分をなぞっただけということですが、
専門的な知識がなくても言わんとしていることがわかるということは著者の筆が
立っているということです。脱帽ものですね。「付き人」の大学院生の視点で
書かれていますが、彼女が、読者が?ってなるところを代弁して尋ねているのも
うまいですね。疑問→解決っていう流れを組み込むことで格段に読みやすくな
っています。
ただ、解説にも書いてありましたが、事に及ぶ人物の心情があまりにも論理的す
ぎてこじつけ臭く、う~ん…となってしまうところがあります(個人的には壁の話
と頭蓋骨の話が特に)。でも、それを踏まえても十分に楽しめるのは間違いないか
と。興味があれば、ぜひ読んでみてください!
では、また次回。