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経済を良くするって、どうすれば

経済政策と社会保障を考えるコラム


 *人は死せるがゆえに不合理、これを癒すは連帯の志

7/9の日経

2025年07月09日 | 今日の日経

 6月の景気ウォッチャーは前月比+0.8だったが、4月のトランプ関税ショックからの揺り戻しであり、冬からの物価上昇の下での景況感悪化のトレンド内に過ぎない。その物価高は、利上げに消極的な日銀が円安をぶり返させたためだ。物価高対策には、減税か給付金かではなく、本道の金融引き締めなんだよ。値上げができているのは、需要が強いということで、本物の景気悪化とは違うのだし。

 選挙は、与党敗北で過半数割れなら、非改選の多い維新との連立になるかな。その場合、公約の社会保険料の引き下げを本気でやるなら、保険料連動型の給付つき税額控除の導入になる。昨年、総選挙に負けた後、必要とされて用意できなかったものに戻っていくわけだ。時代の要請に、きちんと応えないから苦境に陥ってしまうというのは、こちらも同じである。

(図)


(今日までの日経)
 トランプ氏、日韓に相互関税25%通知 来月発動。与野党の結節点(中)高校無償化の先、社保改革 自民と維新。

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イシバノミクス・順調な消費は守れるか

2025年07月06日 | 経済(主なもの)

 5月のCTIマクロは、名目が前月比+0.1、実質が0.2だった。4,5月の名目の伸びは鈍ったが、実質は毎月+0.1が7か月続いており、年間+1.2ペースなのだから、順調と言えるだろう。物価高は喧しいが、CPI財の4,5月平均は前期比+0.8と落ち着いて来ている。6月の消費者態度は。前月比+1.7となって、4月のトランプ関税の急落を5,6月で取り戻した。この半年の物価高局面での低下によって水準は低いが、物価の落ち着きで浮上してほしいものである。

………
 2024年度の国の税収が判明したところで、2025年度を予想してみると、予算額から若干マイナスの77.6兆円となった。つまり、上振れなしだ。証券各社の企業業績見通しが振るわず、法人税は、2024年度決算額からはプラスにはなっても、高めを見込んだ予算額からは-1.6兆円になる。もっとも、企業業績は、着地までに変わることが多く、トランプ関税次第で、上にも下にも大きく動く。

 税収の上振れは、防衛費に充てることになっているので、給付金の財源にはならないものではあるが、そのものがない。ただし、所得税の予想値は決算額から+1.6兆円だし、消費税は2024年度の+1.9兆円に続き+0.8兆円だ。2024,25年度の社会保障の予算額は+0.9兆円と+0.6兆円だけなので、なんでこんなに詰められなければならないのかというのはある。地方消費税も増えるし、公的年金の黒字も拡大しそうだ。

 ところで、財務省の決算概要では、基礎年金拠出金等年金特別会計へ繰入1.8兆円を不用にしていたけど、こういう操作ができるものなんだね。国の会計全体ではカネの置き場所が違うだけにせよ、年金特会の黒字が縮み、積立金も目減りするのでは。昨年度からやっていたようだが、説明が必要ではないか。日経は、積立金にうるさいのだから、しれっと流されずに取材してほしいところだ。

(図)

………
 実質消費は年率1.2%で伸びている。これを何としても守らなければならず、少なくとも財政が足を引っ張らないよう注意が必要だ。その意味で、給付金はやらざるを得ないが、再分配の形が、これで良いとも思われない。消費税の伸び、社会保険料の重さからすれば、保険料連動型の給付つき税額控除しかないわけで、選挙では下らぬ議論が繰り広げられているけれど、早く行き着いてほしい。


(今日までの日経)
 GPIF運用益、5年で98兆円。協会けんぽ、昨年度6586億円黒字。子育て世帯「母親が仕事」8割超す。夏ボーナス4年連続最高 5.9%増、非製造業が底上げ。賃上げ5.25%、持続力に不安。格差是正なくして財政再建なし・門間一夫。税収、昨年度上振れ1.8兆円 「2万円給付」に届かず。公金受取口座6300万に 給付付き控除は導入遠く。

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7/2の日経

2025年07月02日 | 今日の日経

 6月の消費者態度指数は、前月比+1.7となり、4月のトランプ関税での急落を取り戻した形だ。ただし、3月までの物価高局面での累計-2.0の低下は取り戻せておらず、停滞感が続いている。他方、その背景となっているのが、財政の引き締まりで、国の税収は、定額減税分を含めると、実勢が前年度比+5.5兆円になっている。地方の税収は7掛けだから、増収の規模は+9.4兆円くらいか。加えて、厚生年金保険料は+1.2兆円程だ。負担を軽くしてくれという声が出るのも、やむべからざるところだ。

 還元の方法としては、保険料は消費税より遥かに大きいのだから、経済教室で佐藤主光先生が言われるように、保険料を定額で還付して一般会計で補填という方法だろう。まじめに考えれば、必ず、ここに行き着く。問題は、消費減税や所得減税でさまよっていることだよ。ところで、財務省は、他月と同様、7/1に税収の5月分を公表してほしい。行政統計とは言え、重要な経済指標を、毎度、日経に漏らすのは良くない。出せる情報は、迅速かつ公平に扱われるべきだ。今年は選挙公約にも絡んだだけに、強い批判が出る前に改めるにしくはない。

(図)


(今日までの日経)
 製造業の景況改善、予断は許さず 短観。飲食パート求人、2割減。国の決算剰余金2.3兆 円。かみ合わぬ関税交渉 米、貿易赤字削減に固執。税収最高の75.2兆円 昨年度、5年連続 企業業績が好調。大機・給付奨学金で若者に投資を。

 

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緊縮速報・財政赤字はバブル後最小を達成

2025年06月29日 | 経済(主なもの)

 1-3月期資金循環の資金過不足で見ると、2024年度の一般政府の財政赤字は名目GDP比-1.3%となり、バブル後の最小となった。財政再建派は、こうした数字は気にしてなくて、金利が不安だとかで、もっともっとだ。中央政府の改善幅は、2兆円の定額減税をしたにもかかわらず、GDP比1.3%もあり、さすがに締め方が急で、これで成長率に影響が出てないとは言えないだろう。インフレ対策に人知れず財政引締めをしてたということかね。

………
 2024年度の消費者物価の上昇率は、前年度よりわずかに低下したから、引締めにも意味があったのかもしれないが、2024年度の実質成長率は+0.8%にとどまったことを踏まえれば、政府支出や家計消費をもっと増やせていたらと思う。消費減税とか、大鉈すぎてバカらしいけれど、財政の調節が上手くないことは確かだろう。高度成長期に、予め税収増を見込んで支出や減税を仕込んでいたことは、今にして思えば、非凡な技だったわけである。

 部門別では、資金過不足の4四半期移動平均の推移を見ると、家計部門は、コロナ禍で大幅な資金超過になった後、徐々に低下してきていたものが、最近では、コロナ前の水準を下回るまでになっている。これと対称的なのが政府部門であり、家計が貯蓄できなくなった分、政府が借金を減らす構図だ。他方、企業部門は相変わらず貯蓄を続け、海外部門は投資が増えるという動きである。

(図) 

………
 5月の商業動態・小売業は前月比-0.2で、4,5月平均の前期比は-0.1にとどまった。振れが大きい統計とは言え、嫌な感じである。実質はずっと下がりっぱなしだが、名目がマイナスとなると6期ぶりになる。インバウンドに陰りがあるのか、百貨店などの各種商業の低下が大きく、食品小売業が久々にマイナスなのも効いている。物価高に着いて行けなくなったとすると重大だ。

 5月の労働力調査は、就業者が前月比+33万人、雇用者が+21万人の大幅増となり、この3か月の不振を取り戻した形だ。ただし、女性はもう一つ足りず、今年に入っての屈曲を拭い切れておらず、要注意である。5月の新規求人倍率は前月比-0.10だった。2か月連続減だし、幅も大きく、こちらも嫌な感じである。賃上げがあっても、雇用が伸びないと、所得と消費は陰るというものだ。

 インフレ下では、財政が締まりやすいので、とりわけ注意がいる。コロナ後に名目成長を果たした局面では、物価高に着いて行けるだけの所得が保たれていたことがポイントだった。いつものように無頓着に財政を締めていたら、この構図を壊してしまう。昨年は定額減税で春夏の消費を押し上げることができたが、今年は先送りになっている。物価高に負けて名目が伸びなくなっているのは、偶然ではあるまい。


(今日までの日経)
 「関税で値上げ」企業の4割。米へのデジタル税を問題視。世界株4カ月ぶり最高値。フェンタニル、日本経由か 中国組織が密輸拠点。

 

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6/25の日経

2025年06月25日 | 今日の日経

 4月の人口動態速報・出生は、前年同月比-3.2%だった。前月が-2.9%だったから、若干、減り方が和らいでようにも見える。むろん、過去1年間では-4.7%で、合計特殊出生率1.11人に向け驀進中だ。婚姻の過去1年は3か月連続で若干のプラス。出生の底入れまで1~2年はかかるかな。いずれにせよ、年金始め社会保障への影響はそら恐ろしいレベル。半分の人には、支える子供がいないわけで、将来の悲惨さは「独身税」どころの話じゃない。「独身税」への不満の根源は、使い途が持てる人へのもので、結婚したくてもできない人へのものじゃないからだろう。非正規への育児休業給付の財源だったら、受け止めは大分違うと思うよ。

(図)


(今日までの日経)
 こども家庭庁は独身の敵か?発信と炎上のジレンマ。イスラエル・イラン停戦。原油、5カ月ぶり高値。銀行デジタル投資が最高額。空気・水・光からアンモニア。米、イラン核施設空爆。日銀、株で1.8兆円稼ぐ。

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