5月のCTIマクロは、名目が前月比+0.1、実質が0.2だった。4,5月の名目の伸びは鈍ったが、実質は毎月+0.1が7か月続いており、年間+1.2ペースなのだから、順調と言えるだろう。物価高は喧しいが、CPI財の4,5月平均は前期比+0.8と落ち着いて来ている。6月の消費者態度は。前月比+1.7となって、4月のトランプ関税の急落を5,6月で取り戻した。この半年の物価高局面での低下によって水準は低いが、物価の落ち着きで浮上してほしいものである。
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2024年度の国の税収が判明したところで、2025年度を予想してみると、予算額から若干マイナスの77.6兆円となった。つまり、上振れなしだ。証券各社の企業業績見通しが振るわず、法人税は、2024年度決算額からはプラスにはなっても、高めを見込んだ予算額からは-1.6兆円になる。もっとも、企業業績は、着地までに変わることが多く、トランプ関税次第で、上にも下にも大きく動く。
税収の上振れは、防衛費に充てることになっているので、給付金の財源にはならないものではあるが、そのものがない。ただし、所得税の予想値は決算額から+1.6兆円だし、消費税は2024年度の+1.9兆円に続き+0.8兆円だ。2024,25年度の社会保障の予算額は+0.9兆円と+0.6兆円だけなので、なんでこんなに詰められなければならないのかというのはある。地方消費税も増えるし、公的年金の黒字も拡大しそうだ。
ところで、財務省の決算概要では、基礎年金拠出金等年金特別会計へ繰入1.8兆円を不用にしていたけど、こういう操作ができるものなんだね。国の会計全体ではカネの置き場所が違うだけにせよ、年金特会の黒字が縮み、積立金も目減りするのでは。昨年度からやっていたようだが、説明が必要ではないか。日経は、積立金にうるさいのだから、しれっと流されずに取材してほしいところだ。
(図)
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実質消費は年率1.2%で伸びている。これを何としても守らなければならず、少なくとも財政が足を引っ張らないよう注意が必要だ。その意味で、給付金はやらざるを得ないが、再分配の形が、これで良いとも思われない。消費税の伸び、社会保険料の重さからすれば、保険料連動型の給付つき税額控除しかないわけで、選挙では下らぬ議論が繰り広げられているけれど、早く行き着いてほしい。
(今日までの日経)
GPIF運用益、5年で98兆円。協会けんぽ、昨年度6586億円黒字。子育て世帯「母親が仕事」8割超す。夏ボーナス4年連続最高 5.9%増、非製造業が底上げ。賃上げ5.25%、持続力に不安。格差是正なくして財政再建なし・門間一夫。税収、昨年度上振れ1.8兆円 「2万円給付」に届かず。公金受取口座6300万に 給付付き控除は導入遠く。