経済を良くするって、どうすれば

経済政策と社会保障を考えるコラム


 *人は死せるがゆえに不合理、これを癒すは連帯の心

7-9月期GDP2次・設備投資の行方と消費の屈折

2018年12月16日 | 経済
 今回のGDP2次速報では、消費の推計方法が変更になったこともあり、改めて消費の動向に注目してみたい。変動がやや大きくなった点は意外だったが、全体的な傾向に違いはない。2014年の増税後、消費は、所得効果で大きく落ち込んだのに加え、増加速度も明らかに落ちた。そのため、増税しなかった場合と比べ、その差は14兆円まで開いている。2019年増税で、いかに駆け込みの反動対策をしようとも、速度を鈍らせる効果は防げまい。

………
 7-9月期GDP2次速報では、法人企業統計の結果を受け、設備投資が大きく下方修正され、前期比-2.7%まで下がったことが最大のポイントだった。災害という特殊事情がなければ、景気動向の見方を変えないといけないほどの大きな低下であり、名目値で見て、ようやく前々期を上回り、かろうじて自律成長を確認できるという危い内容だった。その背景には、年初来の輸出の衰えがあり、今後の製造業の設備投資の動向には要注意である。

 幸い、金曜日公表の12月日銀短観では、設備投資計画が引き続いて強いことが確認され、自律的成長は、まだ失われていないと見ることができる。短観で注目される大企業製造業の景況感も、事前の予想が悲観的だったことに反し、横バイに踏みとどまった。「先行き」については低下で、警戒感は強いものの、なんとか無事通過である。そうした中、10月の機械受注は、基調判断が下方修正されており、警戒感が自己実現しないか、心配なところだ。

 また、1次速報で最も足を引っ張った公共投資は、2次で更に下方修正となった。建設投資は、民間が盛んなことから、物価上昇による名実差が広がっており、手を抜けば、すぐさま悪影響が出る。今後は増税対策で増やすようだが、名実差で分かるように、供給力が逼迫している中では、効率が悪い。弱い消費を圧殺しておいて、逼迫する建設投資でカバーしようとする経済運営は、無理を重ねるものだ。

………
 我が国の経済運営での消費に対する圧殺の経緯は、怨念でもあるかのようだ。1997年の消費増税によって、消費の伸びは屈折し、デフレ経済に転落した。それでも、小泉政権期のあたりは、まだ年率+0.9程のトレンドで増えていた。リーマンショックと東日本大震災に見舞われても、元のトレンドに戻るかのような力強い回復を見せている。その意味で、長期停滞はショックによるものでないことが分かる。

 ところが、2014年の消費増税は、消費の屈折を再びもたらした。増税からの2年間はもとより、輸出に助けられたこの2年の回復局面においても、小泉政権期のトレンドより伸びは鈍い。いわば、消費屈折の構造改革がなされたわけで、もの凄い「反」成長戦略の実現である。しかも、円安による輸入物価高と組み合わせると、消費税は名目にかかるから、重みは一段と増す。今年度の実質消費が+0.5程度なのに、消費税収は+2.5%になる見通しだ。

 消費増税によって消費が屈折したせいで、それがなかった場合のトレンドとの差は、開く一方であり、8.4兆円の税収のために、14兆円もの犠牲を払ったことになる。さらに、増税後の鈍い消費増すら許せないらしく、増税前水準の回復に至らぬまま、2019年10月には、三度、消費の圧殺が断行される。来週、最新データで示すが、足下では財政収支が大幅に改善しており、危機的な財政状況ではまったくない。既に増税の理由は失われているけれども、この国では、合理性より御題目なのである。

(図)



………
 消費税と社会保険料という低所得層にも容赦なく比例的に負担を課す制度があると、成長の下でも消費が伸びないのは、ある意味、当然だ。それゆえ、経済運営では、還元のサジ加減とともに、自動的な還元のための制度化が極めて重要になる。「とりあえず、増税ショックの対策をドーンと」でやると、剥落の過程で長くデフレ圧力をもたらしてしまう。日本経済は政策どおりの結果を出しているだけだが、判断の基礎となる事実を確かめず、空気で決めているために、手段が目的化していることが分からなくなっている。そんな構図にある。


(今日までの日経)
 中国、消費・生産に打撃。税制大綱、10月消費増税へ対策厚く。預保機構の8000億円、財源に 来年度予算、国債発行額は減少。来年度 実質1.3%成長 政府、下方修正 高い見通し維持。

ジャンル:
経済
コメント (1)   この記事についてブログを書く
« 12/13の日経 | トップ | 12/20の日経 »
最近の画像もっと見る

1 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
ジャーナリスト (田村秀男)
2018-12-17 10:32:58
同感です。田村

コメントを投稿

経済」カテゴリの最新記事