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経済政策と社会保障を考えるコラム


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1-3月期GDP1次・緊縮の地金が出たマイナス成長

2018年05月20日 | 経済
 一時的な要因が重なって、1-3月期GDPは、わずかながらマイナス成長になった。しかし、たまたまで済ますだけでは、経済を説明したことにならない。こうなる必然性があることを明らかにしておくべきだろう。それは、「どうすれば、デフレという病を治せるのか」という問いへの答えに通じる。経済学者にありがちな「栄養と休養を取りなさい」といった万能の処方ではなくてね。

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 今回のGDP速報は、物価や季節調整で揺れがあるようなので、名目成長率を前年同期比で見ることにしよう。すると、2017年度の各期は、+1.2、+2.0、+1.9、そして、今1-3月期が+1.4と推移していることが分かる。それなりの減速ではあるが、実質成長率の前期比が年率-0.6であるのとは、印象が違うと思う。中でも、消費は、名目と実質の差が大きく、名目が前年同期比+1.1であるのに対し、実質は-0.0にまで下がる。むろん、その差は物価の上昇にあり、2017年度の名実差は、0.2、0.4、0.7、今期の1.1と推移してきた。なにやら、デフレを脱出する勢いである。

 GDPの項目のうち、住宅投資、公共投資、輸出の三つは外挿的に決まり、当前ながら、これらが増えた分だけGDPは多くなる。また、それによって所得が増えるに連れ、消費も増える。そして、経済成長の原動力である設備投資は、需要を見ながらなされるため、パラレルに動く。この関係を示したのが下の図だ。ポイントは、設備投資は、低金利や低税率といった投資を甘くする「養分」で動くのではなく、需要動向というリスクに強く支配されているということだ。要は、いかに投資に甘くしたところで、需要を抜くような経済運営をしていては、なかなか成長しないのだ。

 もう少し、動きを見ていこう。現行の景気回復は、2016年後半からの輸出の急増が大きな要因である。そして、今1-3月期の成長が落ちたのは、輸出が鈍ったからと、ストレートに言える。むろん、今後、成長が回復するかどうかも、輸出次第だ。他方、住宅投資は3期連続の減で足を引っ張っており、鈍化した輸出がカバーし切れなかった。加えて、公共投資は、まったく成長に貢献していない。それは、政府消費も同様だ。結局、公的部門は、税収が上ブレる中で、緊縮を続けており、頼みの輸出が鈍ったために、「成長は二の次」という経済運営の地金が出てしまったというわけだ。

 財政には、それなりの意味があることは、過去の消費の動きが示している。公共投資が固まって執行された2017年4-6月期は、輸出が低下する一方で消費が伸び、次の7-9月期は、公共投資の剥落と住宅投資に減少に伴い、輸出の上昇があっても消費が落ち込んでいる。公共や住宅は、輸出よりボリュームが小さいものの、効き目があって、疎かにできない。アベノミクスは、これに無頓着で、成り行き任せなため、せっかくの外需到来のチャンスを活かせず、なかなか自律的成長へ移行できないでいる。

(図)



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 本来、経済は、ある程度、景気が回復してくると、輸出等の外挿的な需要ではなく、消費や設備投資自身の需要に反応して、自律的に設備投資が盛んになり、成長が加速していくものである。けれども、日本は、そうした事態から、あまりに長く遠ざかっている。自律的になる前に、緊縮財政でブレーキを踏み、そのうち輸出が力尽き、成長を失うことを繰り返してきた。こんな経済運営が、国内に投資しようとする企業の意欲を損い、負担を軽くしてもらうことだけを望むようにさせている。

 今1-3月期は、自律的成長へ移行できるかの境目にある。たまたまかもしれないが、名目では、外挿的需要が低下する中でも、消費は増勢を保った。雇用は引き締まり、賃金も上り坂にあって、5/17の3月機械受注では、非製造業(除く船電)でも底打ちが観測され、4-6月期の見通しは、民需(除く船電)が前期比+7.1%になったりと、極めて好調である。公的部門は、まったく成長に関知せず、財政再建を最優先にするアベノミクスの方針の下、民力だけで、よろめきつつ、次のステージに進もうとしている。


(今日までの日経)
 社会保障抑制 数値明記せず。荷主と運送業者 崩れた関係。米長期金利6年10か月ぶり高水準。消費増税後に需要喚起。介護 周辺サービスも提供 保険外併用の基準。検証・値上げの春。海外子会社の設備投資減、売上高との連動薄れる。ドンキは小売りへのアンチテーゼ。
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