経済を良くするって、どうすれば

経済政策と社会保障を考えるコラム


 *人は死せるがゆえに不合理、これを癒すは連帯の心

不思議なワニの口

2019年01月02日 | 経済
 日経のグラフィックデザイナーは、事実を取り繕うのに随分と苦労させられたのではないか。12/31の「核心・平成財政の失敗史に思う」という記事のことだ。歳出と税収の差を指す「ワニの口」が、この10年、実際には閉じつつあるのに、論旨に従い、あたかも開いているように見せなければならなかったからである。デザイナーは、平行状態にある歳出の上アゴが上がっているような形に整え、増加している税収の下アゴを平行に見えるような絵にして、事実を認識に合わせる作業をしている。

 人は、認識の枠組に従って、数字を受け取るものなので、強い先入観があると、事実が見えなくなってしまう。「財政赤字は膨大なのに、だらしない政治家は消費増税の先送りを繰り返している」という認識が強いと、この10年は財政収支が改善して来ているという、認識に合わない事実は、なかなか知覚できない。読者の皆さんも、筆者から指摘されて初めて、「本当だ。よく見ると変な図だな」と気づくと思う。別に、日経の記事をどうこう言うのではなく、犯しがちな失敗であり、常に注意すべきことなのだ。

 その証拠に、記事に出てくる人たちは、誰もが的外れなことになっている。財政審は「ゆがんだ圧力に税財政運営が抗いきれなかった」とするが、この10年の財政収支改善の事実を前にすると、「けっこう、抗ったんじゃないの?」となるし、経済同友会の意見交換会での「消費増税さえ対処療法」とか、「債務を解決する政治家は見当たらない」とかの意見は、意味をなさなくなってしまう。また、同友会の幹事は「消費増税を毎年1%」を提言するが、2014年の消費増税後も、年平均で1%増税を超えるペースで緊縮が実現されて来た事実を知ったら、驚くのではないかな。(参照12/23) 

 財政赤字が膨大で、政治家がだらしないのは事実だろう。しかし、財政収支は改善している。こうした辻褄の合わない事実は等閑視される。多くの人が言っているから、本当だろうという推測は、とても効率的な方法だが、時として誤る。筆者のように臆病で疑り深く、いちいちデータを確かめないと安心できない人間は変り者であり、仲間の輪に入れない寂しい存在だ。それでも、たまには社会のお役に立つ。財政再建に必要なのは、記事の財政学者が述べる「ショック療法」ではなく、まずは事実を知ることだと思うよ。

(図)

引用:日経新聞(12/31)より


(12/31までの日経)
 先端技術研究 中国が先行 8割で首位。

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コメント (2)   この記事についてブログを書く
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2 コメント

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Unknown (bnm)
2019-01-03 10:55:24
財政赤字=民間黒字なので、デフレ圧力下で財政赤字縮小=民間黒字縮小を目指すこと自体が、そもそも間違ってるんですね。

政治家は確かにだらしないですが、その根拠は財政赤字が膨大だからではなく、デフレ圧力下で積極的に財政赤字拡大に向かわない(財政出動しない)から、ということになります。
違和感ありました (H)
2019-01-07 13:41:06
財務省栄えて国なしですね

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