経済を良くするって、どうすれば

経済政策と社会保障を考えるコラム


 *人は死せるがゆえに不合理、これを癒すは連帯の志

緊縮速報・4-6月期資金循環・再分配への無関心

2024年09月22日 | 経済(主なもの)
 4-6月期の資金過不足を4期移動平均のGDP比で見ると、一般政府は-2.7%と前期から横ばいだった。定額減税のせいか、中央政府は前期比-0.3だったが、地方政府が+0.1、社会保障基金が+0.3となって相殺した形だ。税収減の影響は次の7-9月期に大きく出るが、地方と社会保障が人知れず緊縮を強めており、あっさり負担減になっていないことには、注意が必要だ。財政全体の締まり具合なんて景気には無関係だと、みんな思っているだろうが。

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 諸富徹先生の『税と社会保障』を読んだけど、非正規への育児休業給付が実現しなかったことを残念がっておられて、まったく同感だったよ。若い人には社会保険料負担が重過ぎ、少子化対策には再分配が必要とか、富裕層への課税強化とか、再分配のインフラがないとか、専門家には重要な課題だと分かっていることが、世間的には無関心なままにあるのが身につまされる。 

 与野党でトップを選ぶ論戦が繰り広げられているが、若い人の負担軽減や少子化対策の具体策を示してほしいものだ。曖昧なもので済まされる状況ではないだろう。出生率の低下には歯止めがかかっておらず、東京都は、2023年1月に高校生以下に月5000円の給付をすると発表したが、2024年前半の出生数の減少率は、全国平均より良いものの、神奈川県と変わらず、大阪府より悪い。既に決めている児童手当の増額以外の策が必要だ。

 そもそも、結婚した人ではなく、結婚に踏み切れない人への支援が肝要と識者から言われているのに、既に生まれている子供へ支給しても、効果が薄いことは分かり切っている。社会保険料の上乗せまでして肝心なことを実現できなかった岸田政権を、誰も批判しないし、乗り越えようともしない。しょせん、いくらやってもムダみたいな気分なのだろうか。解雇規制の緩和と同じくらいの熱意で突っ込んでほしいものだ。

(図)


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 社会保障の財政収支が良いのは、雇用が拡大し、資産価格が高まったからである。それで財政検証も、少子化が進んだにもかかわらず、悪化せずに済んでいる。しかし、こうした幸運は、少子化の穴埋めではなく、若い人の負担軽減や乳幼児期の所得保障に使うべきものではないか。結局、それが少子化を緩和し、財政を改善するのである。あきめるのは、それからである。


(今日までの日経)
 自民新総裁は成長ファクターか。日銀、揺れる利上げペース。畜産向け配合飼料、15年ぶり下げ幅。米、利下げ局面へ転換。


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