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経済政策と社会保障を考えるコラム


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4-6月期GDP1次・景気は転換点を迎えた

2018年08月12日 | 経済
 「後で思えば、あの時が転機だった」というのは、誰でも言える。その最中に認識するのは極めて難しいし、本当に転機に至っていたのに、次の展開で完結せずに終わることもある。それでも、ブログは自由なので、ここは「景気は自律成長への転換点を迎えた」としておこう。外れたにせよ、極めて難しい診断だけに、臆せず明らかにしておく価値はあると思うのだよ。絶好のチャンスを目の前に、この国は何をしていたかを、後に考えるためにもね。

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 景気の原動力は設備投資であり、設備投資は、金利や税制、まして産業政策ではなく、需要に従ってなされる。諸々のインセンティブより需要リスクが遥かに支配的だからだ。そして、景気回復の初期は、輸出・住宅・財政の追加的需要に従い、この段階が成熟すると、設備投資自身の需要や、設備投資が生み出す所得と消費の需要に反応して、自律的に設備投資が伸びるようになる。今は、その転換点を迎えたと見る。

 4-6月期GDP速報の特徴は、追加的需要が2期続きでほとんど増えない中で、設備投資が伸びたことにある。むろん、惰性に過ぎず、次期に下がるかもしれないし、法企もまだで、機械受注の予想も強いとは言えないが、このまま設備投資が順調に推移した場合、今期が転換点になる。また、追加的需要の動き次第だった家計消費(除く帰属家賃)が、その停滞をよそに、名目の最高額を明確に更新した。こうした動きは、設備投資を刺激する。

 家計消費は、実質では前期比+0.7だが、名目では+0.3にとどまり、物価の低下に助けられたところがある。その中で、耐久財が伸びている点には、好感が持てる。雇用者報酬の大きな上げ幅には、統計上の問題があるものの、家計調査でも勤労者世帯の実収入は高まっており、賃上げの状況からしても、程度は別として、雇用者報酬が増していることに間違いはなく、ボーナスの高まりが耐久財へ波及していると思われる。

 消費については、4-6月期は、勤労者世帯が良好なのに対し、二人以上世帯が振るわず、1/3を占める無職世帯との二極化が起こっていると考えられる。勤労者世帯にしても、雇用者報酬は伸びていても、そこから税・社会保険料を4割ほど払わなければならない。厚生年金の収支については、来週、解説の予定だが、2017年度は保険料収入が1.5兆円(+5.0%)も増えており、こちらでも、しっかり緊縮がなされている。

(図)



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 ようやくにして、景気は転換点を迎えたが、今年に入ってからの足取りは鈍いものだった。輸出の推進力が衰えると、途端にこうなるのは、下地では緊縮財政のブレーキがかかっているからである。GDP速報を眺めれば分かるように、公共事業は、実質前期比が4四半期連続のマイナスであり、政府消費も、この間の成長への寄与度の平均が0.02%を割り込む。政府は、成長に貢献しないどころか、足を引っ張っているのが実態だ。他方で税収は伸びているから、財政収支は劇的に改善している。

 一体、アベノミクスは、何を目指しているのだろう。財政再建でないとすると、金融緩和だけで成長を加速できるかの実験でもしているのか。それが無益なことは、とっくに証明されていても、そんな事実はなかったかのごとく、「一億総活躍」や「働き方革命」のキャンペーンで目先を変えるのみだ。需要管理を疎かにせず、少しでも財政で積極性を出していたなら、劇的に改善したのは、経済成長であったろう。

 ロシアW杯では、日本チームの一次予選突破のための時間稼ぎが話題になったが、筆者は一位通過を目指して攻めに出ないのが不可解だった。決勝トーナメントに進むだけでなく、そこでの勝利を期すには必須に思われたからである。輸出に恵まれれば、他力でもって成長はする。しかし、デフレ脱却という宿願を成就させるには、強気で攻めに出なければ、せっかくのチャンスを、それとも知らず、見送ることになる。結局のところ、日本はもっとやれるんだと、本心では誰も信じていないのである。


(今日までの日経)
 消費復調、持続に課題。GDP7-9月も年率1.4%増・民間予測。太陽光発電 真夏の支え。賃金 地方上振れ。異常猛暑、景況感冷やす・街角景気。
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