経済を良くするって、どうすれば

経済政策と社会保障を考えるコラム


 *人は死せるがゆえに不合理、これを癒すは連帯の志

4-6月期GDPの結果を見て

2012年08月14日 | 経済
 昨日公表のGDP速報値は、年率1.4%成長だった。予想より低かったのは、民間消費の伸びが0.1しかなかったことが大きい。筆者は、家計調査から0.3くらいと予想していた。今更ではあるが、GDPの消費は、1-3月期に家計調査を上回る伸びをしていたのだから、低めの結果も念頭に置いておくべきだったかもしれない。

 また、今回の結果の難しさは、1-3月期の成長率が改定され、4.7%から5.5%まで高まったこともある。前期にこれだけ高まったのだから、そこから少しでも上乗せできれば、十分だとも言える。けっして悪い内容とは思われない。このあたりは、第一生命の新家さんやニッセイの斎藤さんも同様の見方をしているようだ。

 問題は、今後である。大方は、エコカー補助金の終了で、秋には消費が失速し、それまでに外需にバトンタッチできればというものである。こういうのを聞くと、日本経済の内在的な力を信じていないような感じがする。筆者は、外需、特に中国には、まったく期待していないし、早々に消費を見限ることもないと考える。

 2010年には、エコカー補助金が9月に打ち切られ、家電エコポイントが12月に半減された後、消費は、ボーナス月の12月から大きく落ち込んだ。当時は、消費が好調な時期でも、車と家電に頼り切った内容であり、立て続けの景気対策の打ち切りは、大きな打撃であった。その点、今年前半の消費では、サービスなどへの広がりも見られるため、車以外の消費が支えてくれる可能性もある。

 家計調査は、月末に7月の結果が出る。6月は天候不順もあって減らしているため、その反動で伸びるかもしれない。今の消費水準は、2010年を超えようというところなので、これを抜けられれば、エコカー補助金の終了後にも、何とか持ちこたえる希望が出てくる。消費の粘り強さを期待したい。 

 今日の日経によれば、景気への懸念を受け、「補正予算・本格検討へ」なのだそうだ。4月に3000億円規模の公務員給与カットを行い、春と秋に合わせて7000億円規模の年金削減も行われる。「景気より公平」なのだろうが、補正でバラまいては意味がなかろう。消費を大事に育てるという意識が欠けているから、こんなチクハグな政策になるのである。

(今日の日経)
 債権を株と一体課税、譲渡損益含め合算。シニアが拓く・終活で築く最期の安心。異常金利が世界で連鎖。消費増税・経済再生と両立、潜在成長力を高める必要。五輪メダル支援がさっそく成果。高速道割引の財源枯渇。景気は秋にも足踏み懸念。農地、相続で放棄増える。ガスプロムの輸出低迷。コンビに営業益1割増へ。電子書籍・理想遠く。もんじゅ必要性に疑問。円、輸出入企業の注文拮抗。経済教室・不確実性が景気に悪影響・川越敏司。

※酷いものだな。潜在成長率が1%もないのに、その1.5倍の増税をしてマイナス成長にならないわけがない。そんな増税を決めてから、成長促進策を探し回り、道筋は見えないとはね。真珠湾攻撃を決めてから、勝ち方を考えるようなもの。

※川越先生の論考はおもしろかったね。筆者も同様の考えの持ち主だ。ある金利と賃金の水準で設備投資するのが正しいかどうかは、他社も同様に正しいと判断するかどうかに依存する。自社だけが打って出ると、不況下から脱しないままでの設備投資になって、大損するからだ。川越先生は、「中央銀行が見通しを提供し」と言うが、これはダメだね。そんなもので経営者は安心しない。経営者が安心するのは、需要の底打ちなり、回復を見たときだよ。だから、財政政策は効く。ファン・チャートについては、境目が気になる。あるように見えて薄っすら無限に広がっていたりしてね。昔のコラム(2010/10/122011/9/25)も引いておくか。
コメント
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