経済を良くするって、どうすれば

経済政策と社会保障を考えるコラム


 *人は死せるがゆえに不合理、これを癒すは連帯の志

本コラムのマニフェスト

2010年05月20日 | 社会保障
 「政治」と「政策」の違いは、前者は利益配分であり、後者は、それを含みつつも、不合理の解消を目的とするところにある。選挙民の歓心を引くために「子ども手当」を配るなら、それは政治であり、少子化という不合理を正すのに効果的なものへと「子ども手当」をしていくなら、それは政策になる。

 日本政治の問題点は、既得権の破壊や再配分に引き寄せられ過ぎていて、社会的な不合理の本質を見究め、その解消を最小限の負担で実現する政策作りに知恵を絞ろうという意識が薄いことにある。ゆえに、「破壊」ばかりで「建設」がない印象を持たれる。

 本当に少子化を緩和したいのであれば、乳幼児期に集中して給付をしなければならない。「行動を変えられる大きさはいくらか」という本質から考えるべきなのだ。それには、本コラムが「小論」で言うように月8万円は必要である。しかも、その財源は「小論」のようにすれば、負担増なしにできる。

 正規・非正規の格差を解消するには、規制強化などの法的な解決策より、「130万円の壁」を撤廃することの方がはるかに効果的である。低所得層の保険料軽減に2兆円を要するが、所得税増税と組み合わせれば、増減同額にできる。そして、成長の促進効果で所得が伸びて、結局は、すべての人が得になろう。

 法人減税で設備投資を促すといった効果不明の政策より、ガソリンや電力消費に環境税を将来的に賦課することをアナウンスすれば、エコカーや太陽光パネルは、売れ行きが加速し、その需要を当て込んだ設備投資が増すことになる。これは、その量を確実に計算できる成長戦略になるはずだ。

 消費税が必要か否かの初歩的な議論や、経済情況を無視する政治的な財政再建論からも早く脱すべきだ。増税を許す経済情況はどのようなものかという、すぐれて経済政策上の技術的な問題への転換が必要である。十分な物価上昇率の下で、1%ずつ引き上げるという穏健な方式に、誰が反対できるというのだろう。

 以上のようなことを、本コラムのマニフェストとしよう。政治も必要だが、政策は政治を超えて幅広い理解を得ることができる。それは合理性に基盤を置くからである。本コラムは、政策研究を志す多くの若い人たちも見ている。そうした人たちに、このマニフェストをさしあげる。

(今日の日経)
 りそな1割上乗せだけで公的資金返済へ。空売り規制で欧米株が下落。社説・子ども手当は根本の設計から。大手銀、過払い金で高収益反転。収拾に時間、タクシン氏人気根強く。ギリシャいずれ離脱。学研・塾と保育所併設。社債発行、再開相次ぐ。大機・強い円幻想。広告・セキスイハイム太陽光発電アパート。
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