monkeyさんにコメントをいただいて、
のぼせ上がったので、
即更新です。
相変わらず単純な競輪王です。
さて、イベント事なんかの一発勝負の授業(講座)と違って、平生の授業で行うことに関しては、実にさまざまな制約があります。
① すぐにネタが準備できないといけない。
いくら面白い学習活動でも、すぐに手詰まりになるようではダメなわけです。イヤでも何でも、授業は週2~3回、ほぼ確実に回ってきますから。
② 後始末が短時間でできるものでなくてはならない。
生徒から回収したブツを、次の時間(下手すりゃ翌日)に生徒に返却できないようではダメなわけです。
③ 何らかの学習効果が見込めるものでないといけない。
「あ~、楽しかった」で終わってはイカンわけです。
④ 短時間で準備できるものでないといけない。
わずか50分の授業のために、4時間も5時間も費やすようではダメなわけです。
などなど。今パッと思いついただけでもこれだけの制約があるんですね。
で、オイラは、大体の授業を「小テストとその解説」方式で組み立てています。どうも今の学校の生徒たちは、「懇切丁寧に説明してもらう授業」に慣らされていて、「自分で考えて答えを出す」経験が、絶対的に不足しているように感じていたからです。
しかしながら、一つだけ、この方式が取れなかった科目がありました。
現代文です。
国語の教師でなくても、おそらく「国語(現代文)の試験の採点って大変そう」と思っている方は多いんじゃあないでしょうか。
国語という「自然言語」を扱っている以上、一つの内容に対して、表現の仕方が複数存在するわけで、実際、記述現代文の採点というのは困難を極めます。まあ、「困難を極める」というのはオーバーだとしても、「一つの問いに対して答え方が複数存在する」というだけで、一筋縄では行かないだろうという点はご理解ください。
つまり、普通に現代文の授業に記述問題の小テストなんかを盛り込むと、手間が掛かりすぎて早晩破綻する、ということです。上記②の「後始末に手間が掛かりすぎる」というヤツですね。
今まで、オイラはこれが怖くて、現代文の授業には小テストを導入できずにいました。
当然、生徒たちは、「自分で考えて書く」ということをほとんどしなくてすむことになります。「自分で考えて書く」ということをしていないわけですから力もつきませんね。
そうと分かっていても、毎時間記述問題を作成し、それを評価する、ということには莫大な手間とヒマがかかりますから、「これじゃダメだ」と思いながらも、ごまかしごまかし、現代文の授業をやってきたわけです。何のためになっているんだかよく分からない授業を。
そんなある日(って、最近なんですが)、ふと思いつきました。
穴埋め問題の逆をやったらエエのと違うか?
と。
よくありますよね、穴埋め問題。
たとえばこんなやつ。(テキトーに作ったので、内容は不正確かも知れません)
>> ( )は、( )という形で( )と直接的に結びつくことによって、( )の影響力を排し、
>>( )の権威を確立することに成功した。
>> 空欄に当てはまる語を、次の語群から選べ。
>> 朝廷 御家人 鎌倉幕府 源頼朝 御恩・奉公
これを、次のようにするわけです。(国語の問題ですから、本文があると想定してください。)
>> 本文の記述によると、源頼朝が成し遂げたのはどういうことか。60字以内で答えよ。ただし、解
>>答に際しては、語群に挙げる語を、漏れなく、順序どおりに用いること。
>> 語群 御恩・奉公 形 御家人 直接的 結びつく 朝廷 影響力 排し
>> 鎌倉幕府 権威 確立
これが「穴埋めの問題の逆」というヤツです。
上の普通の穴埋め問題は、知っていればできます。知識さえあれば、特に考える必要はないわけです。
ところが、下の場合、知識に関することはすべて語群に書いてあります。
ただ、語と語の関係については、本文を読んでよく考えないと、ちゃんとした日本語になりません。
実際やってみると分かると思いますが、コレ、結構難しいんですよ。
「源頼朝」と「御家人」の関係(「御恩・奉公」という「形」で「結びつ」いている)とか、
「鎌倉幕府」と「朝廷」の関係(前者は後者の「影響力」を「排し」ている)とか、
「『鎌倉幕府』の『権威』」の根拠(「朝廷」の「影響力」が及ばないこと)
についてきちんと考えられていないと、まともな日本語として成立させ得ないんですから。
だから、「語群」にほとんど答えが書いてあるように見えますが、ちゃんと国語の問題としては成立するわけなんです。(あと、「確立」という言葉の用法についても分かっていないとまともな日本語になりません。)
しかも、語群の語を「順番どおりに用いる」という制限がかかっているため、
採点も非常にラク
です。これだと、毎時間でもできるんです。
まあ、問題を考えるのはやっぱり大変ですが、これとて普通の記述問題を考えるのに比べたらずいぶんましです。通常、記述問題を作るときは、解答が拡散し過ぎないよう(あまりにも多くのバリエーションが生じないよう)に、周到に作る必要があるのですが、使用語彙を決めておくことでその手間が大幅に省けるからです。
この方式をはじめてまだひと月ほどですが、飲み込みの早い生徒は、既に変化の兆しを見せています。最初まったくデタラメな文を書いていたのが、ずいぶんマシになってきているんです。
なんでこんな簡単なことに今まで気づかなかったんだろう……。3年生の授業は残りあとわずかとなりましたが、最後まで続けてみるつもりです。
【解答例】 御恩・奉公という形で御家人と直接的に結びつくことによって朝廷の影響力を排し、鎌倉幕府の権
威を確立すること。
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これは、大したもので、ヒット商品のようなものですね。大いに勉強になりました。
この度のアイディアにしても、ホントならもっと早く思いついていないといけないと思っています。
せめて去年の今頃に気づいていたら、今の3年生はもうちっとマシになってたんじゃないかなあと思うので……。
もうほとんどの生徒は進路が決まってしまい(早っ!)、「学力」というものに価値を見いだしていませんから、今のオイラは、ほとんど
敗 戦 処 理 の ピ ッ チ ャ ー
の心境っすよ……。(グスン……)
>>従来の発想を逆転させたアイディアや仕組
>>みで課題や難局を乗り越えようという姿勢
でも、工業技術の世界なんかでは、コレってたぶん、当たり前のことですよね?
そういうアイディアを生み出すために、プロ同士が意見を戦わせて不可能を可能にしていく……、みたいな。
教師の世界にはまったくそういう面はありませんね。教師同士が話をするとしたら、どうでもいい世間話ばっかり……。
今の職場のそういうところが一番嫌いです。
なんか最後、愚痴みたいになっちゃいましたね。スンマセン。
いつもmonkeyさんのコメントは励みになります。これからもどしどしご指摘ください。