私は地球で楽しく遊ぶために生きている

心はいつも鳥のように大空を飛び 空に吹く風のようにどこまでも自由に

尽くしすぎる女〜11〜

2016-12-09 19:46:58 | オムニバス恋愛小説
深刻な表情の夏美を見た後、一瞬躊躇しながら孝志は夏美の横に座った。
「話って何?」
孝志が夏美に言った。
「もう、演技はやめて正直に話してよ」
「何を?」孝志が驚いて理沙を見る。
「どうやら、私達のこと疑っているみたい」
3人の空間が重い空気に変わる。
「最近、夏美おかしいよ。疑心暗鬼になりすぎだよ。
どうしたんだ?」
夏美は孝志の方に身体を向き言った。
「その原因を作っているのはあなたでしょう!」
「僕が?どうして?」
「ラインをしても何日も返ってこない。
会いたいといえば、仕事でいそがしいと言い訳する。
他に好きな女ができたと思ったわ。まさか近くに恋泥棒がいたとは」
「ちょっと待ってくれ。理沙さんと僕のことを疑っているの?」
困惑の表情の理沙を見て孝志は呆れた声でいった。
「はっきり言うよ。その疑いは理沙さんに対して失礼だ。
僕が夏美に距離を置いたのは確かだ。でもその理由を
言ったら夏美が傷つくと思って言わなかった。
でももう無理だ」
「無理ってどういう意味?」
「夏美の存在が重いんだ…」
孝志が暗く淀んだ声で言った。


続く…


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